第14話 やっぱり女子はこんなもの

「面白かったねぇ〜」


 立川愛奈は瑠璃花と、パンフレットを手に興奮気味に話しをしている。

 その傍らで、阿部の威圧的な応援?の所為で、殆ど内容なんか頭に入っていない僕が、女子の可憐なるキャッキャ……を尻目に、ボーとすれ違う異性達の視線を観察する。

 ショッピングモールですれ違う異性達の視線が、それは静かに瑠璃花とその横で弾ける様に語る愛奈に注がれている。


「奥田、思い知ったか?」


 勝ち誇った様に阿部が言う。


「阿部……俺にどうしろと言うんだ?……」


 思う存分小声で呟いた。


「今日告白するんだな」


 すると、聞こえる筈が無いと思っていた阿部が、驚く程の地獄耳で言ったから、僕は唖然と阿部を見つめてしまう。


「俺達が作ってやったチャンスだ。絶対無駄にするなよー」


 肩を組む様に言うと、耳元で囁くからちょっとキモい。


「ファイトだ奥田!」


 ガツンと野球少年の阿部に、背中を思う存分叩かれた。


 ………やめろ〜阿部。恥ずい………


 僕と阿部が戯れ合っていると思ったのか、瑠璃花はそれでもちょっと冷ややかな目を向け、阿部のこんな性格を何故だか受け入れている愛菜は、とても楽しそうに笑っている。




 佑君・佑君・佑君・・・・・・



 瑠璃花が僕に冷たくなったと、お部屋の先生達はちょっと僕に同情的だ。


「………やっぱり女子は、こんなものよね………」


「あー、女の嫌な処だわ」


 なんて、人生の先輩先生達は語り合っている。

 今現在このクラスで一緒にしてはいけないのは、僕と佑君だ。

 瑠璃花大好き佑君が、事有るごとに僕を目の敵の様にするからで、僕も瑠璃花と一緒に遊ぼうと、目に見えてへつらう様な処があるからだ。

 ………と人生大先輩の、先生達は思っている。

 僕自身はそんな気持ちは無いが、それでも今迄の関係上、優しかった瑠璃花と遊びたい気持ちが大きいから、きっと側から見れば諂っている様に見えるのだろう。

 そして最近の瑠璃花といえば、佑君と僕に挟まれて、それは嫌がるとか困惑するとかといった様子を、見せているわけではないらしい。

 先生達が言う処の


 ………女の嫌な処………


 が丸出しなのだ。


「まったく……二人の男を手玉に取っているわよね……」


「もう瑠璃ちゃん……こんな小さいうちから、そんな事を覚えちゃイケマセン」


 先生達は僕と佑君が、関わり合わない様に遊ばせながら言った。

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