第17話 変身



「でやあああ!フンっ!ボルカニック・スラッシャー業火空斬!!」


俺は魔法と剣の合わせ技を巧みに使ってアーカスと殺りあっていた。しかし、アーカスは余裕の笑みを浮かべながら指だけで全てを弾く。


「やっぱりみんな弱いなぁ……。世界最強と謳われていた皇帝もそこの仮面も、みんなよわぁい。はっはっは。もっと楽しませてよ?」



アーカスは紫色の魔法陣を出現させてそこに召喚魔法を使ってアルティメットゴブリンとやらを召喚した。


「さぁ、このゴブリンを倒せることができた者から、ぼくと殺り合う許可を出そう。ぼくに傷一つ付けられないようじゃあ。無理だと思うけどねぇ。おおっと、あの魔法を止めなくては」



アーカスはウールラに向かって黒い玉による魔法攻撃を行った。無論、指から放たれた。ウールラはエクスカリバーから究極魔法を放ち、サド、ベド目掛けて襲う。しかし、それはサドとベドの目の前で急にUターンして、皇帝目掛けて発射された。


が、皇帝に当たる前に黒い玉によって究極魔法は防がれた。衝突して究極魔法は消滅した。



「貴様……ウールラ!!我に絶対の忠誠を誓うのではないのか!!魔法に不備があるのか?」


「不備?そんなのないわよ。私はね、蘇生してくれた陛下に感謝はしているわ。でも、私を操るこの魔法が非常にやっかいだった。だからこそ、解除させる方法を必死に考えていたのよ。そしてようやく解除に成功したけど、さすがにバレるのはまずいから見つからないように頑張ってましたの。今がチャンスだと思ってたんだけどなぁ……残念」


「どういうこと……だ」



「陛下、彼女は初めからあなたを暗殺する気だったんですよ。まあ、ぼくがいなければあなたは死んでいただろうね。ぼくに感謝しなよ!!ねぇ!!」



「さて、茶番は終わりだ。ボーマと言ったかな?君はこの中の誰よりも強いみたいだけど、まだ本領を発揮できないみたいだ……ね……グフッ」


「お褒めの言葉ありがとうアーカス。君はここで死んで貰おうか。仇を討つためにもな。貴様自体が仇なんだよぉおおお!」


俺は不意打ちに成功してドヤ顔を作りながらも、背中から刺した剣をさらに置くへ刺す。鈍い血が出る音がするが、まだやめない。息の根が止まるまで終わらせるわけにはいかない。


「は、はは。不意打ちとは……。騎士道に反するんじゃなぁあい?して殺られたわけだけど。やっぱりまだまだだね」



アーカスはそう言うと腕にはめていたリングを取り外してリングに魔法をかけた。すると、剣が少しずつ体内から戻されてやがて背中から離れた。


さらにアーカスは姿をどんどん変えて、まるで鬼のような形相をしていて体に筋肉が張り巡らさていて爪もデカくなっていて顔には角が二本あった。体の色は紺色。


まるでモンスターそのものみたいだった――。


『 グフッ、グフフフ。ハハハハ!ついに私は覚醒した。私の名前はイネビュラ。アルティメットゴブリンを遥かに上回る強さをもった魔獣である。貴様らに勝ち目などないわ。ハーハッハッハッハ!やれ、アルティメットゴブリン』


イネビュラと名乗る黒の後継者はファンタジー系によくある人が魔物へ姿を変えて話す声になっていた。


見た目的に人型で某モンスター狩りゲームに登場する、ディア○○○みたいな姿をしている。


姿を変える魔法のアイテムか……。アルティメットゴブリンの相手はイスリアたちに任せたいのだが、彼女たちはもうこの場にはいなく、脱出を図っている


やはり俺がこの2体を相手にしないといけないのか。俺はイネビュラに姿が変わった時に咄嗟に後ずさりして床に降りていた。黒の後継者も姿が変わったと同時に床に降りていた。


皇帝も含めると2体と一人か。って……きつすぎね!?しかもイネビュラは例えモンスターになったとしても魔法使えるはずだし。やばくね!?


俺は人生最大の危機に直面していた――。

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