第12話 聖剣
ネオ・グランデがイスリアによって殺られたころ帝国北領にある王宮では――
王宮内が揺らぎ始める。轟音とともに、地響きのような感覚を浴びる。この現象の原因は、ネオ・グランデの死に関係している。なぜならこの現象は――
「な、これはまさか――。あやつが死んだ……ということなのか……」
皇帝は狼狽えている。この現象が治まると、私たちが今いる玉座の間に異変が起きる。玉座の間全ての壁から紫色の結界が外れたと思った直後、それは綺麗な音を出して消滅した。
結界が消滅したと同時に私を縛っていた『魔封じの鎖』が綺麗な白い光となって消滅した。この現象はつまり、魔法を使った者が死んだということになる。
これにより、私は縛りから解放されたため魔法をバンバン使えるようになった訳だ。私は皇帝を殺すか、移動魔法で逃げるか悩んでいた。
しかし、10分経ち皇帝が動き始めたため、これはまずいと思った私は皇帝殺害を決意した。
「残念な結果になったわね、皇帝。反乱軍がネオ・グランデを倒したということになるわ。私が今からなにをするか、言わなくてもわかる……よね?」
「貴様……まさか」
皇帝はやはり驚きを隠せないようだ
「その通りよ、陛下様♡」
私は、武器生成魔法を秘かに唱える。意思した剣が空中にできた金色の魔法陣から出現する。
その剣の色は切っ先が金、柄が黒で柄の形がかっこいい。この剣の名は、英雄譚に出てくる武器の中で最強と謳われる武器である。
その名も……
「その剣は……エクスカリバーではないか……」
「ええ、そうよ。これがあなたを討つ武器となるの」
私が剣に意思を集中させる。すると、私が剣に想像した通りにエクスカリバーの周りに無数の金色の光が瞬く。美しい……。この世界における美しい物の中で、一番美しいだろう――
そして、光がひとつのまとまりとなり剣の先端に太い光が集まった線ができる。
すなわち光線である。
「喰らいなさい。これが、私の現時点で使える魔法の中でも最高火力を誇る魔法……。その名も、
皇帝に向かってエクスカリバーをまっすぐ突きつける。するとエクスカリバーの先端に集まっていた太い線は一気に、光速で皇帝目掛けて発射された。
しかし皇帝は、なぜか余裕な表情をしている。私はこの時察してしまった……。彼にはこれを上回る最強魔法があるのだということを。
魔法と剣技が融合した技が、皇帝の腹を思いっきり抉った。轟音が王宮内に轟く。しかし――
皇帝は紫色の魔法陣を光線が当たる前に秒で体の前に作っていて、見事に光線を魔法陣が飲み込んだということになる。
さすが皇帝――恐るべし。
皇帝は、「フンっ」と気合いを入れると魔法陣から私が皇帝に向けて放った光線が出現する。それは私目掛けて一直線し、ついに私を捉えて腹に風穴を開ける程の威力だった。光線は風穴を開けたあと、後ろにあった壁に激突し、再び王宮内が揺れる。鳴り響く。皇帝は勝利の笑みを浮かべながら、
「私の勝利だウールラよ。しかし残念だ……。君のような賢者を一日で二人も失ってしまうとわな……。ああ……実に無念だ……」
皇帝の失望感あふれるセリフを聞いたあと、私は静かに床に倒れて息を引き取った――
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