第10話 東領の独立宣言
私に先程起きた現象……による、痛みはもう治まってるしダブルソルジャーは気づかぬ内にすでにやられているようだった。
「残るはあと、あの岩で体が構成されている魔物だけ……」
私は、イスリア=フォン=クルーツ。魔力覚醒により得られたものは、風属性最強魔法がひとつ。アウルト・ソー・ギルティ・ウーラだった。
「この魔法を唱えたら、あいつを倒せるのかな……」
私は、呟きながらどうやったら倒せるか考えている。考えていると、ネオ・グランデが喋り始めた。
「なにをブツブツ呟いているのだ。戦いはここからが、本番だぞ。私の召喚できる魔物の中でも守りとして優秀な、このガーディアンゴーレムが貴様を倒す」
ガーディアンゴーレムって言うんだあの魔物……。私は、冷静だ。彼を倒す戦法より、まずはガーディアンゴーレムを倒す戦法を考えた方がよさそうだ。
「ねぇ、ガーディアンゴーレムの苦手とする魔法はなに?」
グランデに訪ねる。
「は?教えるわけなかろう。魔力覚醒した貴様に教えてしまったら、 話にならなくなるではないか」
「やっぱりそうくるよねぇ」
私は静かに舌打ちする。わかりきったことではあったが、本当に教えないとは……。お互いに睨み合いっこをしていると。
グランデの後方からカルトンの声がした。
「たしか、ネオ・グランデと言ったな?おい、部隊の兵は全滅させたぜ。どうするよ?」
さすがカルトンというべきか……。カルトンは、私がネオ・グランデ相手に戸惑っていた間に全滅させたらしい。私はカルトンに一声かける。
「カルトーン!ご苦労様!こっちは、私がなんとかしておくから!お父様に状況報告しておいてー!」
「……」
カルトンは口をポカーンと開けながら、ガーディアンゴーレムの方を見ていた。しばらくすると、カルトンは大声で。
「な、な、なんで英雄譚に出てくるガーディアンゴーレムがここに!?まじかっけぇ!イスリア!わかった!」
彼は、昔から英雄譚ものが大好きである。それに対して私は一切興味なかったので、普通の対応(?)を初めて見た時していたはず……
彼は未だに目をキラキラさせながらゴーレムを見ている。すると、グランデは
「君は英雄譚が好きなんだね?いかにも。どの英雄譚にも必ず出てくるガーディアンゴーレムである。そんなに好きな英雄譚に出てくる、魔物と現実でやりあえるのはさぞ嬉しかろう。ガーディアンゴーレムよ、カルトンの相手をしてやれ」
すると、ガーディアンゴーレムは機械音を鳴らしながらカルトンの方にゆっくり向き、ついに動きだした。それに対してカルトンはというと
「こ、光栄です!ほ、本当に動いてる!目の前にいる!イスリアごめん!ゴーレムと戦わせてくれ!」
彼はワクワクしながら言ってくるので、仕方なく
「はいはい。でも、死ぬんじゃないわよ」
私は、彼に届くような声で対応した。
すると、カルトンからわかった!という元気な返事がきた。
ネオ・グランデが口を開き、喋り始める。
「これも君が待ち望んでいたことだろう、イスリア?一対一の真剣勝負といこうではないか」
剣と魔法ではあまりにも差がありすぎる。私は、さっき覚えた風属性最強魔法を使ってみようと決意する
「ええ、その通りだわ。でも、剣と魔法では差があまりにもデカイわ。だから、私に秘策があるの」
ちょっと口調が変わってしまったが、私は魔法陣を自分が立っている真下の地面に意識しながら作成していく。すると、一瞬で魔法陣が完成する。
「アウルト・ソー・ギルティ・ウーラ」
私がそう呟くと、魔法陣からかなりデカイ竜巻が発生する。その瞬間、周りの木々は激しく揺れ、落ち葉も激しく移動する。私の髪も、バタバタ揺れる。
グランデの服と髪も激しく揺れる。グランデが驚きながら言ってくる。
「そ、その魔法は……風属性最強魔法!?」
私は剣を高々と上げて
「私の風属性最強魔法にして、最強剣技である
私は気合いを入れながら風を纏った剣を横におもいっきり振る。するとエアスラッシュは、見事なストレートを描いてグランデ目掛けて襲う。
「や、ヤバい……避けなきゃ……。避けなければ、俺は死んでしまう……」
グランデは、咄嗟に避けようとするがエアスラッシュの速度があまりにも速いため、秒でグランデに追い付き、見事首をはね飛ばす。ガーディアンゴーレムも、同時にその場から消える。
「ああ……ガーディアンゴーレムが……うぅ……」
カルトンは泣きそうだが、それを堪える。ついに私たち兄妹は皇帝直属のグランデ兼賢者他、約3000の兵から成り立っていた部隊を全滅させた。
これが、私たち二人の初陣である。
そして、私たちは屋敷へ戻ったーーー
「よくやってくれた、二人共!みな、彼女たちを褒め称えよ!」
瞬間、屋敷の大広間にて大拍手が沸き上がった。わーーと、みんなが叫ぶ。中には指を口に咥えてふゅーふゅーと鳴らす者もいた。
「す、すごい大歓声だね……」
私が小並感で感想をボソッと言っったら、カルトンに届いていたらしく。
「当たり前だろ?これが、反乱軍にとって最初の防衛戦……というよりも、俺ら二人で敵の猛攻をしのいで守りきったのだから」
「そ、そうだよね……」
大歓声を浴びたあとは、反乱軍のみんな(まだ、クルーツ家と約1000の兵しかいないけど……による宴が開かれた。
宴は長時間続き、深夜から朝にかけて行われた。そのあと私たちはぐっすり眠り、昼間になってから起きて屋敷の外へ出てた兵士たちは、屋敷の前で綺麗な列を整える。
屋敷の壁にある登壇できる場所の真ん中にクリスタル父様。右に私。左にカルトンが並ぶ。
そして兵士たちの向こう側には、多くの東領の住民たちがざわざわしている。お父様は、手を高々と上げながら演説をする。
「我らクルーツ家は見事に、賢者が一人ネオ・グランデを討ち取った!その証拠にネオ・グランデの生首がここにある!我々の勝利を記念して、本日!ここにて、クルーツ家が治める帝国東領は独立を宣言する!」
そのあと、一瞬静まるが……突然、民、兵士の全員が歓声と盛大な拍手を送る。民の一人が叫ぶ。
「やっと我々は独立できるのですね!領主様!!本当に感謝しかありません!我々国民は、帝国の悪政にどれほど耐えてきたことか……!!ありがとうございます!お礼にならないと思いますが、私を兵士の一人にさせてください!」
それに続いて我こそはと、大勢の民が名乗りをあげるのに対してお父様はというと
「静まれい!兵隊への志願はものすごく嬉しい!だが、みんなはまだ兵士としての実力は物足りないだろう!なので、君たちには特別な訓練をしてもらおうと思う!明後日に我こそはという者たちは屋敷の前に集合せよ!」
オオオ!!という歓喜の声が迸る。こうして、お父様の演説は無事に終わりを告げた。そしてこれは後に、独立宣言と呼ばれるようになる……。
それに呼応するかのように次々に他の領でも、独立宣言が発表された。これは皇帝を怒らせるのに、十分な策略であったーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます