第3話 実力の差

「ふんっ!」


俺は気合いを入れながら、敵ことイスリアの剣を受け流す。そして、俺は反動で後ろに後ずさる。


「さすがは剣豪……簡単には、1本取れそうにないな」


この試合は1本先取。先に相手を戦闘不能――つまり、武器を手から離すか転ばせた方の勝ちである。剣での戦いは初めてのはずなのに、俺はイスリアといい勝負をしていた。


「へっ、褒めても勝ちは譲らないぜ」


俺はどうやら、酒を力の かてとしているらしい。酒を飲めば飲む程、剣の腕が上がるってどういう体だよ……。と、思考しているうちにイスリアの剣が俺を横から斬りつけようとするので、危うく腰を斬られるとこだったが見事俺は交わして見せる。


「ほう、不意打ちをあっさり交わされてしまうとわな。私の本気はこっからだ。」


彼女の本気がどんなものかと、考えていると彼女はなにやら呪文めいた言葉を発している。


「アウルト・ソー・ギルティ・ウーラ」


彼女がそう唱えた直後。彼女の体の周りに巨大な竜巻が発生し、竜巻を体に纏わせながら俺に斬りかかってくる。


「これが私の本気……。風属性最強魔法を自身に纏わせて体自体に風属性を付与して、敵に向かって飛斬 エアスラッシュという技を放つ。飛斬!!!」


彼女のエアスラッシュ!!という叫び声と共に彼女の体に纏わりついていた、竜巻が剣に巻きついて剣を横に彼女が振ると、飛ぶ斬撃が俺の剣目掛けて飛んでくる。


この圧倒的力を前に俺は立ち尽くしてしまい、剣を弾かれて後方へ剣が飛ばされた。


「私の本気を前に立ち尽くすなどバカけてるよ君。剣豪の名が恥じるわ。それとも、ちょっとの間剣の道を休んだだけでこの有様?バカバカしい」


俺は無言で彼女の言葉を聞いていた。彼女は、『戦える貴族』としてかなり有名らしい。いくら俺のような、剣豪でもすぐに打ち負かされるのは当たり前だ。


「いやぁ〜お見事な魔法と剣の融合技。さすがは戦える貴族で有名なクルーツ家の当主様だ」


観客役をしていた一人のエルフ族であろう老人が感想を述べながら拍手をすると、周りもそれに呼応するかのように拍手をする。


「はは、さすがの俺でもあんたには適わないようだな。いやぁ〜参った参った。でも、剣豪と認めてくれるよな?なんにせ、俺は手加減をしていたのだからな。はっはっはっは」


「手加減をなされていたとは。それに、気づけなかった私もまだまだだな。話があるから着いてきてくれないか?」


おそらく話とは殺人事件のことだろう。


「おう、いいぜ」


こうして俺はイスリアに導かれながら、目的地を目指す。


俺とイスリアは、その後を着けてくる何者かがいるとは気づきもせずにただただ目的地を目指すのであった。

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