第2話 貴族と剣豪

「な、、クルーツ家だって!?クルーツ家って……帝国を反対する者達が作った軍隊である反乱軍を見事勝利に導き、国王を追放してこの帝国の再建に全力を尽くしたという……あのクルーツ家!?」


「はい、その通りです主人。要件を言い忘れていましたね、私は独断で最近この街に起きている連続殺人事件を調査していました。手がかりを得るにはまず、情報収集をしなきゃいけないということであなたを訪ねました。なにか、この事件について知ってることはありませんか?一刻も早く犯人を捕まえて、住人を安心させたいのです」


俺はなにを言ってるのかを理解した。つまり、ここに来たのは情報収集のためらしい。


「さっきから気がかりなのですが、そこのカウンター席に座ってる客人は誰なのです?かっこいいくせにぐうたらしてて気持ち悪いです」


「す、すまん!おい若僧!さっさと金払って店から出ていってくれ!話の邪魔だ」


「……。そんなこと言わないでくださいよぉ〜。金ないって言ってるじゃないですか。コホン。無礼な態度をとってしまいすみません。俺の名前は、ストレンジャー・ボーマ。少年の頃は剣豪 けんごうと呼ばれていた……。今は、見ての通り落ちこぼれとなってしまったが。あんたの言う殺人事件、俺が解決してあげましょう。その変わり、酒代払ってくれないかな?」


「な、お前は剣豪だったのか!?私こそ無礼を働いてしまいすまない。もし、本当にあなたが剣豪ならば是非、お願いしたい。その前に、私と1戦交えてくれないか」


おっとここでイベント発生か……。俺、剣の腕には自信ないんだよなぁ。ま、なんとかなるっしょ


「ええ、受けましょう」


「こりゃえらいことになりやがった……」


俺が賛成の意を示し、酒場の主人は驚きとっさにダッシュで酒場を出て、街中を走り回りながら住人たちに声をかけているようだ。



「はぁ……」


「どうした?イスリア。溜息なんてついて」


「会ったばっかの女性に呼び捨てだなんて、ほんとにあんた失礼すぎる。ま、話してあげるわ。あの店主……。街の住人に大声で呼びかけしていたら、私のことがバレてしまうのに。」


「なるほど……だから溜息をついて、最悪って気持ちを表していたんだな」


「説明ありがと。さっさと酒場を出て、店前で1戦するわよ」


「あいよ」


俺は酒場をイスリアと一緒に出て、店前でお互い約50mの距離をとって剣を構える。



俺って剣持ってたんだな……。てか、鞘が腰に刺さってるなんて知らなかったぞ。


「では、準備はよろしいか?剣豪」


周りにぞろぞろ人が集まっていく。いよいよこの世界で最初の戦闘が始まる。気を抜かないようにしないと。


「ああ、いつでも準備はオーケーだ。あんた、貴族らしいな。あんたみたいな、優しい貴族がいるなんて思わなかったぜ」


「それは……どういう意味かなっ……!!」


最後の一言に力を込めながら言ってきて、剣をまっすぐ前に突きさす形で突進してくる。


「どういう意味かは、自分で考えな!」


俺は向かってくる剣を下から上へ持ち上げる形で迎え打つ。


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