第44話 〜私の師匠〜
エルシーさんが私の家に泊まりに来た理由...、それは。
「1週間程山籠りするので、お子さんをお借りしたい」
そう、彼女は私の親にそう伝える為だけに泊まりに来たのだった。
何より驚いたのは、私も親の答えが「いいよ」の即答だったことである。
(いや!親なら考えるそぶりくらい見せるよね普通!!)
心の中でどんなに突っ込んでも仕方ないのだが、それはそれとしておこう。
〜夜〜
寝る前になると彼女はこう言ってきた。
「明日から山に籠る事にした、かなり厳しい修行をするつもりだから覚悟しておいてくれ」
なぜ急に彼女がここまでしてくれるようになったのかはわかりませんが、これはチャンスだと言うことに変わりありません。
「はい!エルシーさん...、いえ!師匠!!」
「し...師匠?」
「鍛錬中は師匠と呼ばせてください!」
彼女は一瞬顔を引きつらせたけど、少し考えた後にこう答えてくれた。
「まあ、いいけど」
「ありがとうございます!!師匠!!」
今は彼女の事を師匠と呼ぶことにしたのは、彼女に敬意を表し尊敬する為だ。
こんな呼び方をしなくても、私は彼女を尊敬し敬うつもりではあるのだが、やはりこういう呼び方をするといかにも特訓という感じがして心地よい。
簡単に説明すると自己満足である。
その方が自分の伸びが良くなると思うのでこういう呼び方をしたいだけなのだった。
「明日準備ができたら近くの山に籠るからな、現地に着いたら1週間厳しい特訓のスタートだ」
「はいっ!、よろしくお願いします!!」
明日から始まる特訓に期待を膨らませつつ、私は布団に潜り込むのだった。
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