その4

 とある森の中、同じ日の泉。

 それはもう、ひと目で落ち込んでいるのが分かる凹んだ顔。


「あんたが落としたのは金の斧だけか? それとも、銀の斧も?」

「金だけです。銀はこの通り――ああっ!?」

「おいっ、あぶねえなあ!」

「間一髪、セーフでした」

「しっかり持っとけよ。そんなんだから、金も無くしたんだろうが」

「というわけで、もうしばらく金は預けておいてもらえませんか。金銀揃ってないと、めちゃくちゃ叱られるんです」

「何が“というわけ”か知らんけど、見つかる当てはあるんだろうな?」

「頑張って探します」

「いっそのこと……」

「くれるんですか?」

ちげえよ! 水抜くか? 泉の干上がらせちまえば、底から出てくるだろ」

「なんと恐ろしいことを! 泉が涸れると、私も涸れてしまいます」

「あー、そこはやっぱり泉の女神なのか。泉と一蓮托生なんだな」

「死にはしませんが」

「弱る?」

「ええ……肌ツヤが悪くなります」

「それくらい我慢しろよ!」

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