第3話

 楓が怒って教室から出て行った後、肩を誰かに叩かれた。

「お前、楓ちゃんと喧嘩してただろ〜」

「俊哉か、おはよう 別に喧嘩って言うよりは向こうが勝手に怒って出て行っただけだよ」

ニヤニヤしながら僕に話しかけてきた生徒は、野村俊哉という名前で僕の友人である。同じクラスだ。俊哉とは小学校からの付き合いである。僕の幼馴染全員と仲も良い。顔はフツメンかな。

「またまた〜、真也がしょうもない事言って怒らせたんだろ?」

「違うって、向こうが勝手に怒り出しただけだって」

「まー真也、鈍感だもんなー」

「何が?」

「何でもねーよ」

僕がよく分からないでいるとチャイムがなり、俊哉は自分の席に戻って行った。楓も何事も無かったように戻って来た。全くよく分からないやつである。SHRが終わると、そのまま1時間目の授業が始まる。僕達は真面目に授業を受ける。そのまま授業は進んでいき、午前の授業が終わる。昼休みの時間が始まった。

「真ちゃん、お昼食べに屋上行こ?」

「おう、屋上でも弁当食べれるし行くかー」

「私、まだお昼買えてないから、真ちゃん先、屋上行っててよ 私は購買でパン買ってから行くから」

「わかった」

そういうと楓は早歩きしながら購買に向かった。僕は弁当を持って学校の屋上へと向かう。俊哉は他の友達と昼休みを共にするので屋上には着いて来ない。僕はバイトはしてないので、お金はあまり使えない。なので、母親に弁当を作って貰う。楓はコンビニでバイトをしており、お金は稼いでるし弁当を持って行くと、家に帰ったら弁当を洗わないといけないからめんどくさいという理由で昼は食堂か購買のパンで済ましてる事が多い。屋上に着いて適当な所に座ろうとすると

「おーい!!真ちゃーーん!!こっちこっち!!」

声がいる方向に向くととそこには、妹の夏菜と純平、それに、真子と祐介が一緒にご飯を食べていた。僕達は昼休みは幼馴染6人で一緒にいる事が多い。場所は食堂の時もあれば、屋上で過ごす事もある。でも食堂だと他の生徒がたくさん入って来るので混むし、何よりも真子と純平の人気が学年男女問わず人気が高いため食堂だと真子と純平は声を掛けられる事が多い。一方で屋上だと、屋上でお昼を過ごす生徒は僕達以外はあまりいないため、屋上だと静かに昼休みを過ごせる。2人は昼ぐらいはゆっくりと6人一緒に過ごしたいという理由から屋上で過ごす事が多い。僕は4人のいる所に座る。後から、購買で買ったカレーパンを持ってきた楓が座る。楓と祐介以外は全員弁当持ちだ。祐介は朝の内にコンビニでおにぎりを買っておいたらしい。6人でご飯を食べていると、夏菜が話掛けてきた。

「ねー、6月の初めに体育祭があるじゃない?今日、SHRで言われたんだけど今日の6時間目のLHRでもう体育祭に出る競技を決めるの?まだ4月中旬なのに早すぎない?」

この学校はちょっと変わっており、6月に行われる体育祭の競技を1カ月半以上前に決める。今は4月中旬だ。何でも、1カ月半以上前に体育祭に出る競技を決めてもらって、クラスで体育祭に出る競技の練習をして貰い、クラスの絆を深めて欲しいそうだ。

「この学校は変わってるんだよ、まーでも、本気で優勝を狙ってるクラスは練習が1カ月半以上もできるから良いんじゃないか?」

と祐介は言う。祐介と純平は運動部の血が騒いでいるのか体育祭には燃えているようだ。僕も卓球部所属ではあるが体育祭はどちらかというとめんどくさいと思う方である。体育祭に限らず、僕は学校のそう言ったイベントはどちらかというと苦手である。夏菜、楓、真子の3人は真子は生徒会長を務めているが、楓と夏菜は部活に入っていない。そんな女子3人組も学校のイベントは楽しみらしく燃えている。真子が話す。

「皆んなはもう、出る競技決めてたりするの?」

「んーまだ、どんな競技があるか、わからないからなー、6時間目になったら決めるさ」

と純平は言う。

「私はやっぱり、借物競争かなー、ほら!!借物競争ってどんなお題が出るかとか楽しみじゃない?」

楓は昔から体育祭になると必ず決まって借物競争に出たがる。これは小学校の頃からずっとだ。小学3年生までは借物競争以外の競技も出ていた。楓は足は早い方であり、小学3年生まではよく、100mリレーによく選ばれていた。足が早い楓は100mリレーではよく1位になっていた。しかし、小学3年生の運動会の時に100mリレーで他の生徒と競ってる途中につまづいてしまい、こけて、その年の100mリレーでは楓はビリになってしまった。その翌年からつまづくのが怖くなってしまったのか、100mリレーに出なくなった。そのかわりにその年に借物競争に出たことによって、楓は借物競争の面白みを知り、以降、楓は体育祭は借物競争しか出なくなっている。

「真ちゃんは、どの競技に出るの?」

真子が聞いてくる

「僕は、50mリレーに出るよ」

僕も体育祭で出る競技は決まっている。それは、50mリレーだ。理由は、体育祭で、全校生徒による準備体操が終わった後すぐに50mリレーが始まる。走る距離は50mだけだから早くに終わるし、何よりも最初にやってくれるお陰で、後の出番は大体、学年ごとによるダンスぐらいなのでそれまでは、ほぼゆっくりできる。

「俺はとりあえず応援団長に選ばれたからな!!他の競技も必要だが今は応援団長に集中だ!!何より最後だし」

と祐介は言う。

「真子ちゃんは何出るの?」

夏菜が聞く。

「私は生徒会の仕事があるから、疲れる競技には出たくないのよねー、だから私も楓ちゃんと同じ借物競争に出ようかな」

「まー、まだ出るって決まった訳じゃないから6時間目のお楽しみって事にしとこうぜ」

と祐介は言う。その後、昼休みが終わるまで後10分を切っていたため、各自の教室に帰っていく。5時間目の授業も眠気と戦いながらも真面目に受けていく。そして、6時間目のLHR、体育祭の出る競技を決める時間がやって来た。

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