第7話 モーセは二人
だからきっと大丈夫。
僕がこんな言葉を使うときは、だいたい大丈夫なことは起こらない。
放課後を知らせるチャイムが鳴るや否や、僕は忍者のようなスピードで机の上を片付け始めた。1秒でも早く、安心安全という名の自分の部屋へと帰りたかったからだ。
シャーペンや消しゴムを筆箱に入れ、開いていた教科書やノートを鞄へと突っ込む。精密機械のような淀みのない動作で荷造りを整えると、僕はイチニノサンのテンポで立ち上がろうとした。その瞬間、不意に頭上から声が聞こえた。
「ねぇユッキーっ」
はぁい☆ と語尾に星をつけて返事をしそうになるそのリズムカルな呼びかけに、僕は慌てて開きかけた唇を閉じる。
そして恐る恐る声がした方を見上げると……
「……」
僕の視線の先、ほんの数十センチ向こうには、心奪われそうになるほどの美しい笑顔で自分のことを見つめている莉緒さんの姿。
あまりの驚きと恥ずかしさで、僕は息も言葉も飲み込んでしまう。
瞬き一つできずに固まっている自分に、莉緒さんが柔らかくそっと瞳を細めた。
「この後、なんか予定ある?」
これだけ至近距離で話しかけられているにもか関わらず、夢見心地の僕の頭は、まさか莉緒さんが自分に話しかけているのだとは理解していなかった。
唇ひとつピクリとも動かさない自分の視線の隅では、同じように石化でもしてしまったのではないかと思うほどこちらを見て固まっている高砂。
何のパントマイムコンビだよ、と余計なツッコミが頭の中に浮かんだ時、自分のことを見つめていた莉緒さんがクスクスと笑う。
「ユッキーは相変わらず面白いなっ」
折り曲げた人差し指を唇に当てて、愉快そうに笑う莉緒さん。そんな姿でさえ絵になってしまうほど綺麗なので、やはり元ハリウッドスターは只者ではない。
そんな彼女に視線が釘付けになったままでいると、莉緒さんの潤んだ唇がそっと開いた。
「それで、この後は空いてるの?」
宝石のような瞳で真っ直ぐに見つめてくる彼女に、僕は思わず視線を逸らしてしまう。
さすがにこれ以上返事をしないのはマズい。そう思い、僕はプルプルと震えっぱなしの唇を恐る恐る開いた。
「ま、まあ……」
空いてるけど、の六文字が言えなかった。どうやら今の僕にとって莉緒さんとのコミュニケーションは二文字が限界らしい。
それでも自分の拙い返事に、「ほんとに⁉︎」と目を輝かせた莉緒さんは、突然僕の左腕を掴んできた。
「じゃあ今からユッキーに学校案内してもらおーっと!」
「…………へ?」
一瞬僕は、莉緒さんが違う国の言葉を話しているのかと思った。それぐらい、理解できなかった。
誰もが予想もできなかった展開と莉緒さんの言葉に、再び教室の空気が凍りつく。
「ほら、早く行こうよ!」
そう言って莉緒さんは、僕の左腕を掴んでいる両手にぐっと力を入れて僕を立たせようとする。
「ちょ、ちょっと……」と抵抗するような声を漏らすも、心はすでに惹きつけられているのか、僕のお尻は難なくすんなりと持ち上がってしまう。
そして莉緒さんは、立ち上がった僕が逃げれないようにするかのように、あろうことか僕の左腕に両腕を絡ませてきた。
え⁉︎
思わぬ展開に、一瞬頭が真っ白になる。
シャンプーなのか香水なのか、女の子特有の甘い匂いが僕の意識をさらに惑わす。いや、そんなことより……
爆発寸前の心臓を胸の内で感じながら、僕はゴクリと唾を飲み込むと視線だけを左下に向ける。
そこには、ぎゅっと体を寄せてきた莉緒さんの豊満な胸元に挟まれた左腕。
そのあまりに神秘的かつ感じたことのない柔らかさに、僕の身体が火を噴きそうなほど発熱する。
「ちょっ、これはマズ……」
「ほらほら、早く!」
ニコリと笑った莉緒さんは、左手で僕の鞄を持つと、そのまま僕を拉致していくかのように教室の扉へと向かっていく。
その間、左腕をずっと包み込んでいる柔らかな温もり。
そして、僕の命もろとも全身に突き刺さる殺気に満ちた無数の視線。
……どうやら、安心安全という名のマイルームには、まだまだたどり着けそうにはないようだ。
そんなことを頭の片隅で思いながら廊下に出た瞬間、僕に向けられた殺意の濃度が一気に増したような気がした。
視界には、今から放課後の時間を楽しもうとしていたはずの生徒たちが、その足をピタリと止めて一斉にこちらを見ている。
女子は変態でも見るかのような視線を僕に向け、男子たちは親の仇を討つかのような殺気溢れる目を向けてくる。
が、ぴったりと僕の身体に密着している莉緒さんはまったく気にしていないようで、優雅な足取りで廊下を進んでいく。
「まずは、どこから行こうかなー?」
まるでピクニックにでも来たかのように、莉緒さんが楽しそうな口調で言った。どこに行くも何も、このままだと僕は間違いなくあの世行きだ。
「ちょっと待って!」と命の危機を感じてやっと声を発した僕は、思わず足を止めた。
「え、えーと……これは、どういうことなの……」
町田さん、とその名前を呼ぼうとした唇がピタリと止まった。そして同時に脳裏には、いつも窓際の席で本を読んでいる町田さんの姿が浮かんでしまう。
……変な感じだ。
僕にとって町田さんは、あの町田さんなのだ。
結局名前を呼ぶことができず中途半端なまま固まっている僕に、同じように足を止めた莉緒さんはけらりとした声で言った。
「どういうことなのって、私とユッキーの昔からの仲じゃん」
「え?」
その言葉に、僕の頭がますます混乱する。
わけがわからない……なぜ? なぜ僕と莉緒さんが昔から繋がりがある設定になってるの⁉︎
ぎょっと目を見開いたまま固まっている僕に、莉緒さんは悪戯っぽく目を細めると、じーっと顔を近づけてくる。
「あ、さてはユッキー私のことを忘れてるだろ? ひどいなーもうっ」
彼女は唇を尖らせてそう言うと、わざとらしく顔をぷいっと背けた。というか、何から何まで仕草が可愛すぎて泣ける。まるでこれは、イメチェンした町田さんと仲直りできた気分みたいにな……
って、ちがぁあう!!!
町田さんの姿を再び思い浮かべて我に戻った僕は、心の中で盛大に叫んだ。
僕の純情な初恋と、恋愛における何もかもの初体験は、町田『静』さんにすべて注ぐと決めているのだ!
僕は自分の信念を取り戻すと、勢いよく首を振って雑念を振り払おうとした。……が、彼女の胸元に当てられたままの左腕のせいですぐに煩悩が邪魔をする。
すると再びこちらを見てきた莉緒さんが、口を開いた。
「昔はよく遊んでたのに、覚えてないの?」
そう言って莉緒さんがまた悪戯っぽくニヤリと笑う。それを見て僕は何度も目をパチクリとさせた。
え?
僕があの莉緒さんと遊んでいたって?
ないないない! そんなことは絶対ない!
だって僕が遊んでいたのは町田静さんであって莉緒さんとは……
ぐるぐると意識も黒目も回している自分に、莉緒さんがさらに追い込みをかけてきた。
「ほら、色んなことして遊んでたじゃん。かくれんぼとか新婚さんごっことか……」
新婚さんごっこ?
その言葉を聞いた瞬間、僕は思わず言葉を飲み込む。おままごとならまだしも、新婚さんごっこってあまりにもピンポイントでドンピシャで当たっている。
でも……
いやいやいや、たしかに新婚さんごっこはやったことがあるけど、あれは間違いなく町田静さんとの思い出だ! だって言い出したのが静さんなんだから……
全身に冷や汗という汗を流しながら、僕はもう一度あの日の記憶に意識を向ける。ぎゅっと目を閉じ、真っ暗になった世界の中で、問題の場面を正確かつ精密に再現してみる。
幼稚園の頃、
「ねーねー、しずは今から新婚さんごっこしたい! だからユキくんは旦那さん役で、あとねー、りおちゃんは……」
⁉︎
幼い頃の静さんの言葉に、僕は「え?」とさらに意識を集中させる。すると、ぼんやりと浮かぶかつての光景に、僕と静さん以外にもう一人の女の子の姿がチラリと……
莉緒ちゃんいたーーー⁉︎
莉緒ちゃんいたよ! たしかにいた!
ってか何で? 何で僕忘れてたの⁉︎ というよりどうなってんのこの展開⁉︎
僕の記憶の中だと、静さんはずっと一人っ子だったけど⁉︎
慌てて目を見開いた僕を見て、隣でクスクスと莉緒さんが肩を震わせている。
「やっと思い出したんだ。まあでも、私は小さな時にお父さんと一緒に引っ越ししちゃったし、忘れてても仕方ないか」
「…………」
驚きの真実に、僕は終始言葉を失う。ちなみに僕は、町田さんの家庭をずっと母子家庭だと思っていたが、どうやらそれも違ったらしい。
呆然と立ち尽くす自分に、クスクスと笑い続けていた莉緒さんは呼吸を落ち着かせるように大きく深呼吸をすると、今度はふっとその長い睫毛を伏せた。
「ってことは、あの『約束』も覚えてないか……」
先程までとは違ってぼそりと呟かれた彼女の言葉に、「え?」と僕は思わず聞き返す。
けれど小さく首を振った莉緒さんは、何事もなかったかのように再び太陽みたいな笑顔を向けてきた。
「ね! 私まず『食堂』に行ってみたい!」
ぶんぶんと僕の左腕を振って上目遣いでお願いしてくる莉緒さん。お願いです。そんな可愛すぎる仕草で僕の心をこれ以上刺激しないで下さい。
かつて自分が莉緒さんと関わりがあったという驚きが、リアルタイムでの彼女との恥ずかしいやりとりの中で薄れていく。いやそれどころか、そのやりとりのせいでますます殺気立っているギャラリーがやばい。
「……」
ふと顔を上げて周りを見た僕は、折に入れられたモルモットさながらの恐怖心でゴグリと息を飲んだ。
まるで自分たちが見世物になっているかのように、僕らの半径3メートル以内には誰も近づいてこない。
が、その先一歩向こうには、血走った目で僕のことを睨みつけてくる男子たちや、もはや罪人でも見るかのような冷ややかな目で睨んでくる女子たちがわんさかいるのだ。
おそらく、血に飢えた男どもが飛びかかってこないのは、莉緒さんの放つオーラがバリアになってくれているからだろう。
「あ、あの……やっぱり今日は……」
やめましょう。なんて言葉を言う前に、莉緒さんはえいっと可愛い声を出して右足を踏み出すと、再び僕を連れて廊下を歩き始めた。
その姿、まさにモーセ。
彼女が進み出すと、まるで花道でも作るかのようにさーっと人混みが綺麗に分断されていく。
いや花道っていうより……これ絶対地獄道でしょ!
無数の冷たく殺気立った視線を浴びながら、僕は莉緒さんに連れられるまま廊下を歩いいた。
もはやどっちが道案内をしているのかわからない状態。しかも食堂、こっちじゃなくて反対だよ?
そんな間違いも正すことができないほど、僕はあまりの恐怖に声を出すことができなかった。
視界には、いつ飛びかかってくるのかわからないほど殺気立った野蛮な連中。
斜め向こうにいる茶髪の男子はさっきからチャキチャキとなぜか右手にハサミを持っているし、反対側にいる理科研究部の男子は、コポコポと不気味な音を立てる薬品が入ったフラスコを構えている。
野球部のみなさんに関しては、晴れているはずなのに廊下で素振りしちゃってるからね。というよりそのバッドの高さ、ボールを狙うっていうより人間の頭狙ってませんか?
さーと全身から血の気が引くのを感じながらも、莉緒さんに引っ張られるまま僕はおぼつかない足取りで歩いていた。きっと校門を出る頃には、僕の体は頭蓋骨だけになっているだろう。
そんな恐怖を感じているのは僕だけなのか、莉緒さんは一切周りの状況は気にする様子もなく先ほどから僕に楽しそうに話しかけてくる。それが可愛いのなんのって……だから違うって!
僕はギャラリーの殺気立った視線を遮る意味も込めて、煩悩を振り払おうとぶんぶんと首を振った。
けれど、どれだけ違うことを考えようとしても、僕の意識の2割は殺意ある視線に、そして8割は莉緒さんの胸が当たっている左腕へと向けられてしまう。
それが9割にレベルアップしそうな時、不意に莉緒さんが聞いてきた。
「そういえばさ、ユッキーって彼女いるの?」
「い、いるわけないじゃないですかっ!」
免疫力ゼロの会話に、僕は思わず顔を真っ赤にして即答した。すると一瞬きょとんとした表情を見せた莉緒さんは、すぐにクスクスと肩を震わせる。
「……」
なんだろう。急にすごく虚しくなってきたぞ? 恐怖心や羞恥心はどこいった? なんで孤独心が心のど真ん中で堂々とあぐらをかいてんの??
そんなことを思いながら、僕は大きくため息を吐き出す。
町田さんに僕の初めてを全て注ぐと決めた自分は、彼女と付き合うことができない限り一生孤独のぼっち野郎。
それはつまり、一皮剥けて大人になることもできない永久童貞……っていうのはどうでもいいけれど。
けれど……やっぱりそれは、ちょっと虚しい。
はあと再び大きなため息を吐き出した時、「そっか、ユッキーは彼女がいないのか」と僕のことを見つめながら呟いた莉緒さんの言葉に、豆腐のように打たれ弱いメンタルが悲鳴をあげる。
それ以上追い詰めないでと両目を泳がせていると、「そっかそっか」と莉緒さんは意味深な声を漏らした。そして、その口元をふっと和らげる。
「あのさ。もしユッキーが良かったらなんだけど、私と……」
なぜか少し声色を変えて話し始めた莉緒さんが、僕の顔からそっと視線を逸らした。
と、その時。
前方に視線を向けた彼女が、「あっ」と小さく声をこぼした。何か見つけたようなその反応に、僕も同じ方向を見る。
げっ!!!
視線の先、思わず心の中で叫んでしまった僕の視界には、艶やかな黒髪をなびかせて凛とした姿勢で前から歩いてくる町田さんの姿が映った。
それはまさに、もう一人のモーセの姿。
……最悪のタイミングだ。
いくら町田さんとは絶縁状態とはいえ、敗者復活戦を望んでいる僕にとって、この状況はマズイだろう。
僕は深海魚のように息を潜めて気配を消そうとした。が、左腕に美しい人魚姫がくっついているのでどっからどう見ても注目の的だ。
しかもあろうことか莉緒さんは、「おーい!」と町田さんに向かって左手を降り始めたではないか!
「シズー!」
「……」
美女が美女を呼ぶ光景に一瞬見惚れつつも、町田さんと目が合った瞬間に思わず呼吸を止める。
なぜなら、無言のまま近づいてくる彼女は、かつてないほど憎悪の込もった目で僕のことを睨みつけていたからだ。
ひいいいっ!
一歩ずつ堂々と近づいてくる町田さんに、僕は声にならない悲鳴をあげた。あれはもう人を見る目ではない。害虫か、はたまた汚物を見る目だ。
駆逐だ……僕は初恋の人に駆逐される……
唾を飲み込むこともできないぐらい、僕は恐怖のあまり動くことができなかった。そんな自分の二歩前で、町田さんは足を止めた。
「姉さん、こんなところで何をしているの?」
本当だったんだ、双子の姉妹って。
危機的状況の中で、僕はそんなことを確認した。いくら顔が似ているからとか、担任が
紹介していたからと言っても、こうやって二人が話しているところを見るまで実感が持てなかったからだ。
「……」
悲しいかな。どうやら町田さんの視界、いや世界には僕は存在していないらしく、こちらには一切目を合わそうとはしない。
僕はこれ以上傷つかないようにと、そっと二人のそばからフェードアウトしようとした。
が、掴まれた左腕がグイッと莉緒さんの方へとさらに密着する。
「ユッキーに学校案内してもらってるとこ! シズも一緒にどう?」
……はい?
わずか数秒のやりとりで、僕の頭は完全にフリーズした。
一触即発という言葉がぴったり似合うほど敵意と嫌悪感丸出しの町田さんは、莉緒さんの言葉に「へー」と氷のような冷めた声を漏らす。
「私はこれから部活があるので遠慮しておくわ。それに……」
そう言ってチラリと自分のことを睨みつけてきた町田さんに、僕は怖過ぎてすぐに視線を逸らした。ヤバイよこれ……絶対僕に対しての敵意だよね?
そんなことを思いながら、僕はゴクリと唾を飲み込む。
あの小学校での事件以来、町田さんが僕のことを嫌っていることはわかっていたけれど、まさかここまで嫌われているなんて思わなかった。
でも……
普段であれば近づくことさえできない初恋の人。それが今、目と鼻の先、手の届く距離にいる。
嫌われているのはわかっているけど、避けられているのもわかっているけど……これはもう一度話せるチャンスなのではないか?
どうしても町田さんと再び接点を持ちたいと願う恋心が、こんな状況でありながらも無謀な願望を抱いてしまった。
理性ではどうすることもできないその衝動に従うように、僕はおずおずと唇を開く。
「あ、あ……」
「それじゃあ」
NO―!
思わず英語が飛び出した。
それほどまでに、衝撃的短時間での幕引き。
あわあわと唇を戦慄かせる自分の前で、町田さんは一切振り返ることもなくスタスタと背を向けて歩いていく。
僕はそんな彼女の後ろ姿に向かって、まるで親に捨てられた子供のように、力なく右手をわずかに伸ばした。もちろんそれに、彼女が気付くことはない。
「ま、町田さん……」
ぼそりとただ呟いた名前だけが、かつて自分があの子と繋がりがあったことを思い出させてくれる。
前途多難、いや、一寸先は闇。
まったく希望の光が見えない僕の恋路は、いつか陽の目を浴びることはあるのだろうか?
はあ、とこの世の終わりみたいなため息を吐き出した時、隣でじーっと僕のことを見ていた莉緒さんが顔を覗いてきた。
「もしかしてさ……」
突然至近距離に現れたもう一人の町田さんの顔に、僕は「うわっ」と赤面して慌てて後ろに下がる。落ちたり上がったりと、今の僕の心はその辺の絶叫マシーンよりも激しいようだ。
「ビックリした……」と声を漏らす自分に、莉緒さんはまたもクスクスと笑っていたけれど、ふいにその表情から笑顔が消える。
そして、心の奥底まで見透かすかのような真っ直ぐな瞳で僕の顔を見つめると、その真紅の唇をゆっくりと開いた。
「ユッキーって……シズのこと好きなの?」
「…………はい?」
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