第一話:希望の光が、長門《われ》を呼ぶ!!








 2日前、















 Aaaa────────♪








 不気味なほど美しい声と共に、森が爆ぜる。


 やがて、影の落ちた森へ、一体の巨大な身体が叩きつけられる。


 それは、地球で言えばカブトムシ、の様な、人型に近い姿の巨大生物だった。


 だが、立派なツノは半ばから折れ、強靭な身体はあちこちの外骨格にヒビが入り、白い血を流して片方の翼がむしろ取られている。



 ズゥン!


 痛々しい姿の巨大生物へ、一歩踏み出す不気味な巨影。



 中心部分は、まるで女性の彫刻の様。


 だが獣と言うべき4つ足の下半身は、爬虫類然としたゴツゴツと盛り上がる体表を持つ。


 両腕は、地球の東洋の龍の頭が生え、恐ろしい形相で吠えている。



 ブワサァッ!!!



 広げる翼はまるで悪魔。

 その風に煽られ、森を燃やす炎がより一層強くなる。










「ハークレスが……倒された……!!」


「森の守り神が……!!」



 怯えるハイエルフの老若男女。

 戦士たちですら、武器を落としそうになる。



 倒れた巨大なカブトムシに似た生物は、この森最強の守神だった。

 だが……呆気なく傷つき倒れ、今にも死にそうになる。


「「強すぎる」」


 ハイエルフをかき分け、30cmほどのカブトムシの背に乗る二人の15センチほどの妖精の様な少女たちが現れる。


「おぉ、エリアル達よ……!」


「あんな力……生まれて初めて見ました」


「あんな力……一体何のために……?」


 彼女達は、そっくりな顔でそう疑問を呟き、あの怪物を見る。


「ハークレスがやられてしまった……もう終わりだ……!」


 誰ともなく、絶望の声を上げるには充分な異形の姿と強さ。

 生まれた森が消えていく…………


「…………あれ、王様は?」


 ふと、あるハイエルフが周りを見て言う。


「どこに……?

 王は最後まで我らを逃していた……」


「…………!!

 この気配!?!」


 ふと、エリアルと呼ばれた小さな妖精達が、乗っていたカブトムシを飛ばして何処かへ向かう。


「ワン!ワン!!」


「奴に何かあったんだな、エリアル!?!」


「戦士ブルティ、そしてガーディ、彼は……!!」


 追ってきた一人の屈強な戦士ハイエルフとそれについてくる一匹の犬ともに、彼女達は急ぐ。



          ***



 一つの影が、走る。

 木々を軽々しく飛び進み、山を上り頂点へ。


 その小さな山は、所々岩が露出し見た目以上に険しい道のりを作り出す。

 現地のハイエルフ達は、『鉄の山』と呼んでいる。

 山自体が砂鉄がよく取れる、赤茶けた石の多い山だ。



 その頂上、


 開けた場所に、焼け焦げた土が点々としたそこに、巨大な機械が置いてあった。



 ブォン………………ブォン………………



 機械の中央に、青く光る多面体の何かが鎮座し、心臓の鼓動のように明滅を繰り返す。


 弱々しく見える。だが、ゆっくりなだけで決して止まらない事を彼は知っていた。



 影は、一人のハイエルフの男だ。

 精悍な顔に鋭い意志を秘めた目でそれを見つめ、持ち出したものを取り出す。


 ブォン……ブォォォン……!!


 光が強く、鼓動が速くなる。

 ハイエルフの男の手には、同じ多面体があった。




「「────待ちなさい、ジャグルム」」



 ピタリ、と動きを止め、ハイエルフの男は後ろへ少し顔を動かし目だけを向ける。



「追い付いたかエリアル。ハークレスの巫女達よ」


「ジャグルム。ハイエルフ達の王」

「なぜ、それを持ち出したのですか?」


 フッ、と片端の口を曲げて笑うジャグルムという名のハイエルフ。


「ハークレスがやられた以上、俺たちハイエルフの寿命もそう長くはなかろう?

 ならば……」


「その『箱』を開けてはいけない!」


「開けなければ俺たちが死ぬ!!」


「ジャグルム!!」


 す、と顔の反対側から伸びる刃。

 見れば、一人の戦士が槍の刃先をジャグルムに向ける。


「ブルティか……止めるならお前と思っていた。

 巫女の家系だ……コイツの恐ろしさは俺以上に分かっているだろうな」


「ジャグルム、俺たちの王……!!

 お前は聡明なはずだ……なぜ、降って来たその『箱』を……!!」


 フッ、と笑うジャグルム。


 瞬間、槍を片手ではたき落とし、振りかぶって再び向ける動きより速く剣を抜きブルティの首筋前に突き立てる。


「邪魔をするな。俺は……お前を殺す気にはなれん」


「ああ……お前は、全てを救う気なのだ友よ!!」


 ブゥン、と剣を振り払い、渾身の槍の一撃をジャグルムに向ける。


 突きは、捕らえた顔の左を通り過ぎ、再び振るわれた剣が槍を半ばから叩き切る。



「……!」


「幼少の頃から、決め手は決まっていたな。

 ……遅ければ俺がやられていたか……」



 ガブリ、と編まれたブーツのような具足に噛みつく牙。

 主人の危機に、歯を立てる忠犬が左足に見える。


「……心配するな。勝負は決した」


 歩き出す。

 しかし、ジャグルムの足からガーディは離れない。

 あろうことか、ブルティもその腰に掴まり動きを止める。


「行くな……行くな……!

 行かないでくれ……!!」


「……っ、退けぇ!!」


 振り払う。

 そして明滅を強める、あの多面体へ同じものを持っていく。


「辞めなさいジャグルム!!

 それが何なのか分かっているのですか!?!」


「分かっている!!」


「分かっていない!!それは、死の呪いが詰まった箱!!!

 開けては……中のものを解き放ってはならない!!!」


「死の呪い……上等だ!!

 これがあればあの怪物を……!!」


 再び、体が掴まれる。


「辞めろジャグルム……!!」


「離せブルティ……!!」


「妹が死んだ。義理の弟であり友まで消えるのか?」


 ブルティは泣いていた。

 思わず、足が止まり彼を見る。


「…………レナイが、死んだんだぞ……俺の妻が……!!」


 だが、より一層力を込めて振り払う。


「託されたんだ……お前も、皆も……!!」


「辞めろ!!辞めてくれ!!!」


「呪いが俺に向くと言うのならば、この俺が背負ってやる!!


 奴を倒せる力があって……!!」



 ガコン、と多面体二つをつなげる。



「なぜ今使わない!!!」



 ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!


 光が明滅を止め、より一層強く輝く。


「いけない!!」

「箱が開く……!!」


「ジャグルムぅぅぅぅ!!?!?!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 キィィィィィィ!!!!


 眩しい光が、全てを包んだ。








































「…………、っ!?!」



 目を開くとそこは、


 太陽の暑さや強烈な日差しを感じるも、その色は全く感じない。


 いや……不思議と自分達の色は見える。

 まるで世界から異物と思われているかのように。


 見回せば、木の板のような床、そして見慣れぬ建造物の壁。


「ここは……?」


「お前達も……!?」


 気がつけば、ジャグルムだけではない、全員がここにいた。


「なんだ、あの見渡す限りの水は……!?」


「これは…………」


 ふわり、と漂う潮の香り。

 山も、砂浜も見えない、広い広い水。


「海、か……?」



 海には、見慣れぬ船が…………まるで城のような巨大な船達が並んでいる。


 そして気付く。


「ここは、船の上か!?!」


「なんだと……!?」


 彼らは、巨大な船を見たことがない。

 ずっと内陸に住んでいた……


 だが、壁の脇を走れば、ややあって頭上に二つの筒が見える。

 筒の生えた巨大な構造物が二つ。


 ハイエルフの身体能力でそれに乗れば、筒の向く方向の反対側に巨大な城が─────


 そう、俗に言う『マスト』が見える。



 そして、


 そんなマストすら小さく細く感じる、もっと巨大な『艦橋』がその背後に見える。




「ここはなんだ……!?」


「分からん……こんなものを作れる者がいるかどうかすら……!!」



 巨大な船だ。彼らの乗る『砲塔』ですら、彼らの部族が全て住めそうなほど大きい。


「……あれは、銃、か?」


「あんなにたくさん……ん?」


 機銃の位置を見ていたジャグルムは、一瞬放射状に広がるマスト部分に腰掛ける何かが見えた。


 それは、見たこともない異国の装束、黒く長い髪から生える獣の耳、そして白と赤の犬や狼に似た生き物の面を被る、幼い少女の様な姿のなにかだった。



「誰だ!?」


「どうした!?」


「あそこに……!?」


 しかし、目を話した隙に姿が消えていた。


「……今、何かいたんだ……!」


「何か……?」


 何もいない。


「二人とも……気をつけて」

「見られています……先ほどから……!!」


 しかし、エリアル達は乗って来たカブトムシの上で震えている。


「……俺も嫌な感じだ、ジャグルム」


「……おい、ガーディはどこだ?」


 ふと、犬のガーディがいない。

 泣き声も聞こえない……


「アイツは……野生の狼にはない賢さがある……!

 そんな奴が離れるだなんて余程だ……!」


「いやと言うほど知っているさ……!」


「……俺は探す。お前達は?」


「……オーガが出るか、蛇が出るか……!」


 二人は、ナイフや剣を取り出して、砲塔の上を降りる。

 後ろでカブトムシに乗ったエリアスが続き、周囲を警戒して。


 目指すは、艦橋方向。




 ─────ウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!




 半ばほど進んだ瞬間、サイレンが鳴り響く。


 ザザ、と音を立てて、館内無線に何かが混線する。


『───エイブル作戦開始!

 投下、10分前!!』


「……なんだ?何を言っている……??」


 そんな声が聞こえ驚きつつも、静かに歩み進む。


「ガーディ……!ガーディ……!!」


 声を押し殺して呼んでみる。

 反応はない。


「…………!」


 瞬間、エリアス達が乗っていたカブトムシの速度を上げて進む。


「どうした!?」


「「います」」


 何、と聞く前に前へと進んでいき、否応なしに進まざるを得ない二人。










「ハッハッハッハッハッ……!!」


 艦種近く、二つの砲の下、


 ガーディを撫でる人物が一人。


「ガーディ!!」


「!?

 誰だ貴様は!!」


 それは、女だった。

 問われてガーディの頭を撫でるのを辞め、ゆっくり立ち上がる。


 変わった格好だった。

 肩やお腹を露出させた、エルフの女でもしないような格好だ。


 だがそのプロポーションで完璧に着こなしている、ひょっとすればこちらと同じぐらい背が高い女。


 そして、振り向いた顔には、恐ろしい蛇の顔を模した仮面を被っている。



 一瞬、文字通り蛇に睨まれたカエルの様に、一行いっこうは身体が縮こまってしまった。


「ガーディ!」


 ガーディは、何も恐れていないかの様にこちらへ走り、ブルティに飛びかかりそのまま抱き抱えられる。


「コイツはなんだ?

 ……エリアル?」


 カタカタと震えるエリアルの二人。


「「……!!」」


「何?」





「────お主達は指揮官ではないな?」





 突然背後から声がかけられる。


 振り向いた瞬間、目を疑う。


 いた。


 忘れもしない、あの面。

 獣の面を付けた、異国の装束の少女がいた。


 気づいた瞬間、ジャグルムの額に冷や汗が流れる。


(なんだこの暗く巨大な……!?!?!)


 威圧感、恐怖、存在感…………


 とにかく、逃げ出したい気持ちが無限に沸き起こり、にも関わらず足が動かないほどの重圧。



 見てくれは、里の幼い子供のよう。


 だがその重圧は子供のものではない……!



「なんだ貴様は!?!」


 声を張り上げて、ようやく動けるようになる。


「そして人間でもない……見れば分かるかの」


「貴様こそ人間ではないな!?!

 森の奥の邪悪な神か!?」


 ジャグルムが剣を構えて問う。


 切っ先が獣の面の前まで来ても、子供の姿と思えない落ち着きはらった態度で視線をジャグルムへ向ける。


「なぜ『建造』した?」


「けんぞう……?

 あの箱を開けたことか?」


「なぜだ?」


「俺の、仲間を、民を守るためだ!」


「コアフリートリアが、なんなのか分かってしたの事なのか?」


「あの『箱』の事か!?ならば当然だ!!

 にえが必要と言うのならば俺を使え!!

 お前の力で……我らの国を……森を!!」






「お前一人で、事足りると思うのか?」





 背後から、あの蛇の仮面の背の高い女が問う。


「な……!?」


「お前は、お前だけにそんな価値があると思うのか?

 我らがもしも、貴様の願いを果たしたとして、


 その代償がお前だけ、とお前が決められる立場なのか?」


「なんだと……!?!」


「我々がお前の願いを叶えたとして、そのままこの拳の、この力の矛先がお前の護りたかった物に向かない保証があると思っているのか?


 お前は、我々の力をなんだと思っている?」


 言葉に詰まるジャグルム。


 全くその通りなのだ…………都合の良いことばかり言える立場ではない。






 何もできない、何もできなかった


 無力ゆえに、今、


 この目の前の恐ろしい存在に頼むのだ






「……ぅぅ、ぐぅぅぅぅぅうぅううううううう!!!」



 ギリギリ、と歯を砕かんばかりに噛みしめ、屈辱と無力感の最悪最低な味を飲む。


 それでも、


 ジャグルムは頭を下げた




「…………俺は……!!

 ハイエルフの里の王などという……肩書きに似合わない無力な男だ……!!!


 だが……それでも頼む……!!

 俺の国を……!!!

 俺の民をぉ……!!!


 救ってくれ……力を、貸してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!!!!!」





 涙。


 自分の情けなさ全てを搾り取ったような涙が流れてくる。


 それでも…………頼み込むしかなかったのだ




「…………なぜ、そこまで?」


 ふと、獣の面の者が問う。



 なぜ……なぜ…………




「なぜ……??


 …………俺は……生まれて200年の月日、この森の、俺の友と過ごしてきた…………」



 なぜ、と問われて、ついそう言葉が漏れ出す。



「西の森は……ヒルが多く、よく食いつかれたなぁ……

 拳骨の痛みと火の扱いは父が教えた……薬の塗り方と優しい抱擁を母が教えてくれた……


 覚えているか、ブルティ。

 初めて勇者の滝に俺たちが飛び降りた時を……


 高さに恐怖したなぁ……飛んだ時に死を感じ取った……だが飛び降りてみれば、対した高さでもない。


 なぜ、聖なる剣もなく、偉大なる勇者も所縁ゆかりなどあまりない場所が勇者の名を冠するか分かった。


 勇気とは…………恐怖を乗り越える力。

 勇者に特別な武器も力もいらない…………恐怖を乗り越える力が心に有ればいい。


 …………そんな大切な場所が……今……!!」



 ぐ、と拳を握りしめる。



「今……消えようとしているんだぞ……!?!


 蹂躙されている、燃やされている……!!!!


 なのに……なのに俺たちは何も出来ない……!!!


 何も…………何もかもやってダメだったんだぞ……!!!

 ダメだったんだぞ……!!!!!」


 ダン、と振り下ろした拳が床を叩く。

 ジャグルムは、大の大人と思えないほどの大量の涙を流す。


「……うぅぅ…………

 頼むよぉ……!!もう……本当に何も出来ないんだ……!!

 俺の妻が…………コイツの妹も死んでしまった…………屈強な戦士たちも、ただ平和に暮らしていた皆もぉ……!!!

 助けてくれ…………助けてくれよぉ……!!」


 涙のまま、見ていられないほどの弱音と願いを吐く。

 見ていたブルティも同じように泣き始め、エリアル二人も惨状を知っているがゆえに悲痛な顔を浮かべる。




「………………技の」


 ふと、そう声をかける長身の蛇の仮面の女。


「力の。御主おぬし……まさか?」


 答えるは、狐面の少女。


「…………言っておくが、我らの力は破壊しか産まない、戦いでしか使えない『時代遅れ』の力だ」


 そして、蛇の仮面の女はそう言葉を紡ぐ。


「何……?」


「お前たちの世界とは恐らく別の世界たち、

 いくつかの歴史の中、我が名を持つ『戦艦』は『世界最強』として生まれた」



 ジャグルムの言葉に、蛇の仮面の奥から何かを懐かしむかのような言葉が紡がれる。



「だが、時代は進みやがて我らは出撃するも活躍せず、時代に取り残され……


 守るべき次世代の主力すら満足に守れず、そしてついには出撃すらできなくなった」



 ややあって、悲しげな狐面の言葉が流れた。



「何を言っている……?」


「そこの小さな者は分かっておるだろう?


 我らの、正体は…………」







「「この場所そのもの……!!」」







 エリアルの言葉に、二人の仮面の女がわずかに反応する。



「……いえ、」

「この立っている場所そのもの、と言うべき……」



 瞬間、ジャグルムとブルティが見上げる。


 巨大な艦橋。威風堂々というべき建造物に。




「この艦こそ我らが墓標。

 そして我らの力そのものよ」


 静かに、狐面の少女が答える。


「我らが沈んだ場所。

 ここには我々と同じ艦達が、今も『その時』に備えて眠りきれず、ただ待っている」


「その時……??」


「お前達の……願いと同じ時だ」



 そう言って、二人の面の女が並び立つ。



「我らが未だ水底に帰らない理由は一つ」


「我々を作りし人を守り、海を取り戻すため」


「お主らは提督ではない」


「だが、助けを求める無辜の民」


「助ける理由は、充分」


「我々の力を貸すのも当然」




「我らは、」


「我々は、」







「「戦艦、長門ながと」」








 今、白黒の世界の上空で爆撃機B-29が、21キロトン級の原子爆弾を落とす。




「我らの力を、」


「我らの技を、」



 ふと、二人の間に突然、


 誰かが現れる。





「─────お貸しします!!!」





 3人目の人物が片手を上げた時、背後で太陽のような光が爆発する。


 瞬間、二人の仮面の女達の色が戻り、


 迫る核爆発の光を背後に、3人目の人物へと重なる。
































 ─────それは朝日よりもなお眩しく、



 山から立ち昇る、圧倒的な光量の柱。



「なんだぁ!?

 何が起こった!?!?!」


「来る……!!」

「何か巨大なものが……!!!」



 現実に引き戻されたジャグルム達の目の前、


 あの鋼鉄の山が崩れ、砂鉄が、鉄鉱石が光の柱に吸い込まれる。




 ジャグルム達は、見た。


 巨大な、要塞のような船。

 そしてそれが、光の中で形作られ、『変形』し、




 光を纏うような巨人へと、変わる様子を




「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」






          ***



 Quaaaaaa───────────!!!!


 やがて、巨大な悪魔が全身から赤い光を発しながら、いまだハイエルフをはじめとした森の住人達のいる方向を向く。


 住民達は、もはや逃げない。

 いや逃げられない……!!


 その美しさが返って恐怖を呼び起こす女性型の顔、その口の前に赤いエネルギーが集まり、




 瞬間、



 光が、辺りを包む。





 爆発。黒煙が上がり、そして…………



「…………?」


 未だ、まぶたの向こうから照らす光と、自分の身体の無事に気づき、皆が目を開く。




 その目の前には、

 巨大な巨人が、その巨躯を光らせ、


 片腕を上げ、もう片方を曲げたポーズで、こちらに背を向けて立っていた





 Qua……!!



 途端、あの怪物が恐れ慄く。







『────我が名は長門ながと


 ビッグセブン、長門!!』






 巨人が、凛々しい声でそう名乗る。




『希望の光が長門われを呼び!!


 光を纏いて、闇を撃ち砕く!!!』




 とともに、戦いの姿勢を取る。


 巨大なる戦いが始まる合図だ





          ***

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