Part.5:デッドヒート・バトル








 ル・ファンタスクの一撃で吹き飛ぶエル型D.E.E.P.


「追撃!!」


 その背後へ一瞬で周り、ウェポンライザーの銃身の下に付けられた回転刃を叩き込む。


「殲滅!!」


 打ち上げられたエル型へ、再び13.8センチ単装速射砲を放つ。


「ついでに一発!!!」


 さらに、サマーソルトキックの要領で55cm魚雷を叩き込む。


「ル・ファンタスクちゃんは〜……絶好調!!


 なんですけどねぇ……!」


 爆発すら一瞬にして時間が遅くなり、吹き飛んだエル型D.E.E.P.が空中を緩やかに落ちるル・ファンタスクの高重力空間。


 しかし、見た目にすらル・ファンタスクの与えたダメージがないのは、その効果ではない。



「硬いか……エル型を撃ち抜くには、やっぱり戦艦級の攻撃が必要……っと!」


 言うや否や、パチンと指を鳴らす。




「フギュッ!?!?」


「うぉ……っと!」



 背後でサウスダコタが顔面から岩にぶつかり、全員が元の速度へと戻る。





「動ける!!

 よっしゃあッ!!!」



 瞬間、夕張が腰へ巻くは『試製零型フリートライザー』。

 一斉にスイッチを下ろし、レバーを握る。


《3、2、1》


艦装フリートライズッッ!!!」



 ガシュン、


 瞬間、頭上に現れる巡洋艦夕張。

 分解、リング状に変形して夕張を包み、


 凄まじい蒸気と共に、艤装が装着される。



「艦装、キタ─────────ッッ!!!


 実験巡洋艦夕張!!

 タイマン張らせてもらうぜ!!!!」



《SCREW ON》


 一番右のバックルのスイッチを押すと同時に、機械式義手の右腕自体が分解、エンジンとスクリュープロペラに変形する。


「オラァ!!」


 エル型D.E.E.P.にぶつかり、よろけさせる物の、スクリュー部分がガキョンとねじ曲がる。


「げぇ!?!

 なんだこれ死ぬほど硬い!!!」


「夕張ィ!!伏せろ!!」


 瞬間、あのリング状の物体が現れてビームが放たれる。


「のわぁぁぁぁぁ!?!?!?!」


 爆ぜる地面と共に吹き飛ばされる夕張。

 それをキャッチするサウスダコタ。


「うぉっと!?」


「危なかったな夕張ィ!!

 でも伏せろっつたろ夕張ィ!?」


「悪ぃ悪ぃ!ついつい!!」


「やってる場合ですか!!

 このクソ硬エル型をどうにかしないと!!」




「CUT IN」



 瞬間、別方向から夕立と時雨がカットインを使う。



「「食らえ!!」」



《夕

 立

 デ

 ス

 ト

 ロ

 イ ブ ラ ス ト》


《時

 雨

 デ

 ス

 ト

 ロ

 イ ト ー ピ ド ー

   フ ィ ー バ ー》




 夕立の放った砲弾が狼のような口になり両腕両足を拘束し、同時に放った時雨の両腕の4連装魚雷発射管ごと放たれた攻撃に、夕立の懇親のカットインが追撃し出力が増した一撃が命中する。


 爆炎、そして……



「弾着……」


「効果なし……!」


 爆炎の中に無傷の影を確認する。



「そこの君、」



 ふと、ビシリと夕立を指差すエル型D.E.E.P.


「『前任者』が聞いていたより……弱いね」


「!」


「まぁ、んじゃあ仕方ないか」


「ッ、何言ってんのよ!」


「姉さん!!!」


 激昂した時雨を抑える夕立。

 だが、その手が一番震えているのは…………





「会話している暇あるの?」


 瞬間、大きく振りかぶっていたティルピッツの特大のハンマーが振り下ろされる。

 エル型の身体ごと地面にクレーターを作り、メリメリと食い込ませる。


「まぁ、隙にはなったけど……あれ?」


 しかし、驚くべきことに敵は無傷。

 戦艦の攻撃で、である。


「…………痛い」


「傷ひとつないくせに」


 ティルピッツはそのまま無表情で再度ハンマーを振り上げて振り下ろす。

 戦艦並みの装甲、パワーで、なおも下のエル型にダメージが見えない。


「痛いものはいたのだけれどね」


「そうか。


 


 瞬間、何を思ったかティルピッツは自分の砲の砲弾を取り出し、パキンと割って中のフリートブルーを撒く。


 瞬間、打って変わって相手は避ける行動をとり、照準もつけず反撃する。


「ティルピッツ!?!」


「やっぱりそういうことか。

 硬いんじゃなくって、速いんだ。治るのが」


 直撃した中、青い傷口に痛いとも言わずティルピッツは言う。


「手応えが変だから、そんな気がしてた。

 治さなければ、勝てるってことか」


「そう上手くいくかな?」


「私がやるんじゃないから」


 その言葉を待っていましたと言わんばかりに、背後から振り回される鋼鉄のシャフト


 ヴォロシロフの握った武器が、砕氷機能を遺憾なく発揮し、赤く染まる凄まじい熱量をぶつける。


 ズキャアン!!


 打ち上げられたエル型D.E.E.P.の傷が炭化し、ややあってカサブタのように剥がれ落ちるのが見える。




「なるほど、高熱なら……!」


「オレの出番かぁ!!!」


 ボボボ、とジェットエンジンのような音と共に、両腕の艤装に砕氷機能の炎を纏ったソオブラジーテリヌイが飛ぶ。


「シャオラァッ!!!」


 ズガン!ズガン!!ズガァン!!!


 グレネード、いやもはや爆撃の音の様な爆発音と共に焼いて焼いて焼き尽くす連撃。


「ガングート!!」


「よろしくてよ」



《CUT IN》


 全砲門、そして破氷艦首を模した手持ち砲撃武器を構えたガングートの目の前に落ちる。







《Гангут

 л

 и

 н

 к

 о

 р в з р ы в》






 瞬間、砲弾ではなく純粋な熱量が放たれて敵を包む。


 地面をマグマに変え、赤く光らせ陽炎が見えるほどの熱を受けて……



「──ぐっ!?」


「これでもなお、ミディアムって所なのね」


 そう呟き、ガングートはパチンと指を鳴らす。


「聞いてたわね!?

 出番よ吹雪型!!!」



「「応ッッ!!」」



 瞬間、駆けつけていた白雪と東雲が飛び掛かり、腰のベルトのレバーを一度引いて戻す。




   冷       冷

 一   閃   穿   孔

   獄       氷






 白雪が対艦刀を鞘に一度戻し、東雲が槍を引き絞る様構える。



 瞬、





 二人がエル型D.E.E.P.の後方に現れ、白雪が抜いていた刀を振り払い、鞘に納める。


 瞬間、空間に切れ目が入った様な光がD.E.E.P.に見え、



 シュパパパパパパパパパパパッ、ズンッ!!



 細切れに切れ込みが入り、最後に何かに貫かれた穴が開き、








《  白  雪     《   東  雲

  デ ス ラ ッ シ ュ 》   デ ス ピ ア ー ス 》







「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッッ!?!?!」





 分断、そして一瞬で全てが凍る。

 そして、パリィンとガラスの様に割れて、雪の如く砕け散る。


 一瞬その場の大気があらぬ方向へと暴れ、全てを吹き飛ばす。

 ふぅ、と息を吐き、白雪と東雲が姿勢を戻す。


「…………流石にクラスノ艦の超高熱から我々吹雪型の極低温では、治しきれ無いだろうな」


「我ながら変な血じゃの。人と混ざると色変わるだけでなく凍りつくとは」



『───まったくだね、恐ろしい力だ』



 瞬間聞こえる声に全員が身構える。


 砕け散った体のあった位置に、光の球が浮かんでいるのが見える。



『死んじゃったじゃないか……まぁ言い方が変なのは認めるけど。

 しょうがないから一度『お母様』の元に戻るよ』


 そう言って、その光の球はすぅ、と何処かへ登っていく。


「待て!!」


『ああそうそう、帰るなら早めにね。

 ここは間借りしてボクが持たせてただけだから……』



 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!



「まさか……!?!」



          ***



「この野郎!!硬いじゃねぇか!!」


 ネフィリム級の一体は、岩石を取り込んだずんぐりむっくりした団子の様な姿だった。


 それがひたすらに硬く、いかにビッグセブンの火力といえど通らない。


(残りのエネルギーは、普通に戦ってりゃ2分ぐらいしか持たねぇ……だったら!!)






 陸奥は、G-フリートライザーを構える。


 ヒュン、と音を立て、上の液晶に出てくる──54式フリートライザー。



「まずはコイツだ!!」


 開いたカバーは空母、浮き出る文字は『鳳翔』。

 脇のスロットへ、フリートライザーを入れる。




《AUTHORIZE:HOUSHYOU!

 CONECT-ON》


「借りるぜ鳳翔!!!」





 一瞬、ビッグセブン陸奥の姿と鳳翔が重なり、鳳凰をイメージさせる仕草と共に周りに、燃える九五式艦上攻撃機が現れる。


「あらよっと!!」


 翼の様に広がった攻撃機達が、一斉にネフィリムへ向かい爆撃を行う。



 Quaaaaaaaaaaaaa!!!



 その熱量、まさに火の鳥の如き。



「そんでもってコイツだ!!」


《AUTHORIZE:FUBUKI

 CONECT-ON》



 再び陸奥と重なる吹雪のシルエット。

 主砲が白く光り、放たれた砲弾が焼けた体表を急激に冷やす。


 ピシリと入る亀裂を見逃す陸奥では無い。

 瞬間、右手をピースサインに変える。


「これは別にピースサインじゃねーぜ?

 後2秒でお前は終わりって意味だ!


 行くぜ!!」


 カシュン、とGフリートライザーを押し込む。



《GIGANTIC-CUT IN》



 瞬間、第三砲塔が体から離れる。


 変形。光の刃を纏う巨大な手裏剣となり、かざした右手で高速回転を始める。




「我流戦艦忍術、奥義!!」



 瞬間、姿が消える。




 見失ったネフィリムが気配に振り向いた瞬間、陸奥の顔がある。



「後ろだ!!」



 直後、『背後』から亀裂に突き刺さる砲塔手裏剣。

 傷口を突き抜けた刃側の持ち手を掴み、





「必殺爆砕手裏剣!!」





 引き金を引く。





《ギガンティック

  陸  奥

 ビ

 ッ

 グ

 セ

 ブ

 ン ス ピ ン ブ レ ー ド 》




 爆破。


 手裏剣主砲、16インチ戦艦砲が内部で火を噴く。

 残心のように手裏剣を構えて、爆発を背にキメポーズを取る。





「フッ……決まったぜ……!!」




 ビーッ!ビーッ!ビーッ!


 瞬間、艦橋内が赤く染まり、警報が鳴り響く。



「いっけねぇ!?!

 もうエネルギーがねぇ!!」


 ビッグセブン胸部の菊の紋章が点滅を始める。

 このままでは残り1分足らずで燃料が切れる。


「チッ……限界までやったら再出撃に24時間……今なら16時間で済む!!」


 G-フリートライザーのスイッチを押す。


 瞬間、ビッグセブン艤装が光の包まれ───艤装が分解されG-フリートライザーに格納される。



「やっべぇ、エネルギー配分ミスっちまった!!

 長門姉が生きてたらドヤされるぜ!!」



 ひゅー、と200mの高さを降りる陸奥は、笑いながら言う。






「……長門姉……今一体どこの海を流離ってんだ……?」



 何もない宇宙。

 陸奥は落ちながら、そんな事を考える。


「あんた……あの時まで、世界中に派遣されているのが好きだったな……


『海はいい。全部同じに見えて、どこも全く違う。

 綺麗さも恐ろしさも、全てひっくるめて……

 私はそこを渡れる力があって心底良かったと思っている』


 だっけか」



 遠くに見える星の海。

 そこは、もしも船で進めたら……








「オレ……いまなら分かるぜ……

 海はいい所だな……」







 地面の近く、突然現れた巨大なD.E.E.P.が、バクン、と陸奥を飲み込む。




「────オイオイ、死にそうな事言うからって酷くねぇか?」



《WEIGH ANCOR》



 スパン、とD.E.E.P.を割り、通常艤装を纏って陸奥が飛び出す。


「オレはまだ長門姉の場所には行かねぇ。

 なんせ……後輩も弟子もいるしな!」


 ドン、とそれほど離れていない距離で爆発音が鳴る。




「───陸奥さーん!!無事ですかー!!!」




「なんでぇ、いつもの言動の割に師匠思いじゃねぇか!」




          ***



「まったくもう!

 ビッグセブンの稼働時間は短いんですから、調子に乗らない!!」


「ヘイヘイ、分かってるって!

 ったく師匠思いな奴だぜ!!」


 弟子になった覚えないんだけどなー、ボク!!


「みんな!!加賀さんのとこ見えてきた!!

 でもすごいことになってるよあれ!!」


「うげぇ!?!

 何あの数ぅ……!!」



 高雄さん、鳳翔さんの言う通り、





「もぉ〜、なんで私達フリートレスの邪魔をするんですかぁ〜?

 やっぱり害虫は絶滅させなきゃダメなんですね〜?」


「ホアチャ!ホアチャァッ!!

 平海ピンハイ、私達完全に貧乏くじだぁ、ホーイッ!!!」


「フッ!!寧海ニンハイ姉さん!これじゃキリがない!!」


「ぐぬぬぬ……これはお姉ちゃんでも防ぎきれないィ!!」


「全員口を動かしている暇があるなら一発でも多く叩き込め!!」


「ママァ!!これは流石に無理だぞぉ!!」


「リットリオ!!落ち着きなさい!!

 やっぱ無理よママァ!!」







 まずい!あんな数を相手じゃもたない!!


「オイオイ、こりゃどういう状況だよ!?

 なんつーか、寄ってたかってって感じじゃねーか!?」


「こんな数じゃあーしの攻撃でも辛いんすけどぉ……!」


「右に同じィ……」


 しょうがない……!


「タシュケントさん、!」


「あ、お前!?」


 左腕に付けてある黒色のフリートライザー型デバイス。

 ウェポンライザーの端末を抜いて、入れ替える。




《LIMIT OFF》



 瞬間、ボクの艤装の胸部装甲が展開。

 コアフリートリアと連動する艤装用エネルギーコアが露出。

 ついでにボクの髪の毛は銀色に変わって瞳もいつもの黄色から赤へ。



「え、なにそれ!?」


「みんな、ボクが10秒で道を開けます!」


 ボク本来のフリートライザーを左腕に装着。

 画面の『ARE YOU READY?』のボタンをタップ。




《START UP》



 カウントスタート。

 10秒。素早く右腕に装着した酸素魚雷ショットで一体を倒す。

 9秒。続け様に大体50体。この状態は常時カットイン状態だからすぐに相手は液状化して崩れ去る。


 8秒。ようやく相手達が異変に気づいた頃、武装を変更。50口径12.7センチ連装砲を右足に装着。


「───タァァァァッ!!!!」


 7秒。一体に放った砲弾が直前で円錐状にエネルギーフィールドを展開。

 中心に向かって蹴りを放てば、ドリルのように相手を抉って貫く。


 6秒。ジャンプ。再び放つ砲弾。

 大体100体以上を砲弾でロックオン。



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」



 5秒。76体撃破。新たに100体ロックオン。


 4秒。200体以上撃破。数えるのはやめる。



《3》


「まだ……!」


《2》


「あと100体……!」


《1》



 爆発が響く中、ボクは加賀さんの前に降り立つ。



《TIME UP》



 瞬間、艤装の排熱機構が発動して全身から蒸気として熱を排出。

 髪の色と瞳の色が戻って、一息。


「ふぅ〜……!!」


「島風!!やったな!」


「ええ……ぐっ!」


「オイ!?大丈夫か!?!」


 あーダメだ。

 やっぱり、まだこれ調整必要だな……体がキツい……!


「なんとか……みんな合流は!?!」


「助かったよ島風くん!!

 すごいね、本当に!」


「お前、そんなことできたのか!?!

 この野郎!!免許皆伝だ!!」


「そう言ってもらえて……頑張ったかいあるけ……ぐっ!!」


 思ったよりダメージが辛い。冷や汗が出てきた……


「大丈夫ですか島風ちゃん!」


「吹雪……ごめん肩借りる……!」


「仕方ない!お前たちが先に元の世界に戻れ!!

 翔鶴!!残りの奴の回収をしに行くぞ!!」


「加賀さん……

 来ましたよ……!!」



 瞬間、曇った顔で言う翔鶴さんの視線の先、








「数が多すぎるぞコレェ!?!」


「怯むな!!あと少しなんだ!!」



 ボクが倒した数なんて、ほんの一部と言わんばかりの数の群れが、


 残りのみんなを……まるで餌が投げられた池の鯉のように……!!



「グッ……!」


「やめろ島風」


「でも……!」


「お前は良くやった。

 残りは任せろ」


 ボクの肩を叩いて、加賀さんはそう言う。

 …………酷い無力感がのしかかるようだった。


「大丈夫ですよ〜島風ちゃん♪

 皆さん歴戦なフリートレスですしぃ、今は一度元の場所に戻りましょ?」


 吹雪の言うことが最もだとは思う。

 でも……やりきれない気持ちでいっぱいだった……



「……みんな、無事でいて……!」





          ***


「とは言ったが……どうする!?!」



 友軍との距離100m

 だが、数が多すぎて道が開けない。





『加賀さん!!こちらの艦載機が間に合いません!!!』


「大鳳!!持ち堪えられるか!?!」


『私の搭載機の数では厳しいです!!』


「誰も打開策は!?!」


『私はエネルギー足りないでーす。

 ステイツのダコタさーん、あなたは?』




「あたし加減無理だファンタスクゥ!!」




『無線入らない音声だ……』


「万事休すか!!

 もたもたしているとゲートにもくるぞ!」



「……加賀さん」



 ふと、翔鶴が珍しく険しい表情を見せる。


「どうした翔鶴?何か考えがあるか?」


「……



 瞬間、加賀の表情が驚きに染まり、向こう側で聞いていたヨークタウンが思わず動きを止める。



「……正気か?例え無人といえど、」


「これは我々にしかできません。本当はこんな機能つけては欲しくはなかったけれども……」


「……背に腹は変えられないか……!」



 加賀はすぐさま自分のゼロ──零式艦上戦闘機に爆装させ、すべての艦載機をカタパルトアローへ装填する。






「ヨークタウン、どうしたんだ!?」


「……最悪な手段で助けられるというのか。

 だが皮肉にも……これしかないらしい」


 いうなり、サウスダコタを掴んで伏せさせるヨークタウン。


「ぶぇ!?」


「全員伏せろ!!


 『カミガゼ』が来る!!」















 大東亜艦は知っている。

 かつて、国を守るためとはいえ、最低最悪の戦術が使われた歴史を。



 ステイツ艦は覚えている。

 その最低の攻撃手段の恐ろしさを。



 曰く、尊い人命を紙屑にしたもの

 されど、結果的に戦争終結を速めたもの






 零式艦上戦闘機が、九九式艦爆が、彗星が…………全ての艦載機がD.E.E.P.の群れに飛んでいく。




「「コード・神風!!」」








 慣らされる翔鶴と加賀の指。







 瞬間、艦載機が爆ぜた。







          ***

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