第36話 劇の主人公とヒロイン

翌日の朝俺はいつも通り学校に向かいホームルームが始まろうとしていた。

彩香先生は教室に入り生徒は全員席についた。

「それでは朝のホームルームを始めます。起立」

先生はそう言い始めた時生徒は立ち上がる。

その時廊下から足音が聞こえてくる。

そして足音は消え教室のドアが開く。

汗を少しかきながら生田と新藤がきた。

生田が遅刻するのは珍しい。

そして何より驚いたのは新藤が学校に来たことだ。

昨日の件からさっそく学校に来てくれるなんてさすがに俺も驚いた。

「お、遅くなってすいません!」

そう言う生田と疲れた顔をしている新藤。

「珍しいね。生田さんが遅刻するなんて。それに新藤さんやっと学校に来たのね」

彩香先生は微笑みながら言う。

新藤は彩香先生の顔と体をじっと眺める。

さすがの彩香先生の不思議に思い「何かな?新藤さん」

「すごい。綺麗です!先生!」

「え?」

急に言い出す新藤に思わず声を出す彩香先生。

生田も「ちょっと!麗奈!急に何を言い出すの?!」

「ん?だってさ前まで剥げている爺さんだったじゃん?でも今はこんな綺麗な先生だなんて学校に来てよかったよ!」

新藤は目を輝かせながらそう言い出す。

クラスのみんなも呆然となる。

先生は話を戻す。

「と、とりあえず学校に来てくれて私も嬉しい。さあ、席に着いて」

「は~い」

返事をして席に着く新藤と生田。

いつも通り授業が進み。

そして学祭の準備の時間が始まる。

俺とまなは黒板の前に立ち話を進める。

「それでは脚本は新藤さんに書いてもらえる事になりました」

『おぉ!!!』とみんなが騒ぐ。

まなは話を続ける。

「ですが条件があります」

そうまなが言い出すとクラスの皆は黙りだす。

「条件とは私が女性ヒロインになる事です」

まなが言った後クラスの皆は文句を言うのかと思ったがその逆だった。

「別にいいんじゃね?」

「うん、桜さん綺麗だしやってほしい!」

「頼むよ!」

などクラスの皆は納得をしてくれた。

まなは少し微笑むがすぐに真剣な顔に戻る。

「では話を続けますが主人公なのですが私に似合った人でないとダメだと新藤さんに言われました」

「そんなの坂木しかいねえだろ」

「そうね、桜さんと坂木くんでいいと思う」などクラスの人たちが言い出す。

「お、俺?!」

「当り前だろ。お前ら付き合っているとか噂にもなっているぐらいだしいいんじゃね?」

「そんな適当な!」

「では、私と賢になります」

真顔でまなは決めた。

「おぉおい!なに勝手に決めているんだよ!」

俺はまなに言うとまなは俺の方を向き。

「私とじゃ嫌なの?」

「別に嫌じゃねえけど」

「なら決まりました」

クラスの人たちもますます盛り上がり騒ぎ出す。

「それでは、新藤さん脚本お願いします」

「決まったね!なら僕もせいっぱいやらせてもらうよ!」

こうして主人公とヒロインが決まり脚本ができるまで劇の話は終わる。

この時朝田は少し納得しない顔をしていた事を坂木と桜は気づいていなかった。

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