第32話 テスト最終日
そして今俺はテスト二日目を迎えようとしている。
「はぁ~。絶対に殺される俺はもうだめだ終わりだ」
俺が落ち込みながら学校に向かっていると後ろから騒がしい声が近寄ってくる。
「賢ちゃ~ん!!!」
俺は後ろを振り向くと朝から元気なくるみが俺の方に走ってきた。
相変わらず元気でとてもテスト二日目だとは思えない。
「おはよう。くるみ」
「おはよう!。賢ちゃん」
「朝から元気だな」
「当り前だよ!今日でテスト最後だよ!」
「まぁ、確かにそう思えばいいのかもな」
はぁ~。早く終わらせてゲームしたい、漫画読みたい。
テストの事なんて忘れたい。
「ねぇねぇ」
「ん?」
くるみが俺の袖を引っ張りながら呼んだ。
「テスト終わったらどこか行かない?」
くるみは少し小声で俺に言ってきた。
なぜ小声になるって思ってしまったが確かに人も多いし俺なんかを誘うのが恥ずかしいのだろう。
「そうだな。同好会全員でどこか行くか」
俺がそう言うと少し不機嫌な顔をして「そうだね」と言った。
その後話は終わり「先に行くから」と言って俺から去って行った。
俺は疑問になったが別にいつもの事だろうと思いそのまま学校に向かいテストが始まった。
テスト最中俺は頭を抱えそしてギブアップをしてしまい結局いつもと変わらなく問題は半部しかわからなかった。
テストが終わりみんな腕を上げたり机に顔をくっつけたりとだらけ始めた。
俺もテストが終わったと思い機嫌が良くなりまなに今日みんなでどこかに行かないかと誘おうとまなの方に向いたら。
「うそでしょ。この私が・・・」
「でもありえない・・・」
なにやらぶつぶつとつぶやいている。
俺は普通に話しかけてみたが。
「お~い」
反応がないどうやら俺の声が聞こえていないのだろう。
「でも。大丈夫私は天才だから・・・」
俺はその様子を見ていた時萌が俺の方に来た。
「賢お疲れ」
「おう、萌もお疲れ~」
話していると萌も気づいたのかまなの方を見た。
「桜さんもお疲れ様」
萌が言っても反応がない。
反応がないため俺に聞いてきた。
「ねぇ、どうしたの?桜さん」
「さあな、俺も話しかけても返事がないだよ」
「ふ~んまぁ、帰りのホームルーム終わってからでいいか」
「ん?なにかまなに用事でもあるのか?」
「うん。今日午前授業だし同好会のみんなでどこか遊びに行きたいなって」
「あ~。そういえばくるみも言ってたな」
「そうそう、私も七瀬さんに言われて」
なんだやっぱりくるみもみんなと遊びたかったんじゃないか。
てっきり二人で遊びたかったのかと思ったけどそうじゃなかったか。
まぁ、そうだよな、俺となんて遊びたいなんて思わないよな。
だってくるみ俺の事好きじゃないし。
「ならくるみのところに向かおうぜ?せっかくだし雄二も誘うか」
「そうだね」
「それじゃあ、帰りのホームルームが終わったら誘いに行こうぜ」
「うん」
萌は頷いた後自分の席に戻り帰りのホームルームが始まった。
すぐホームルームは終わり、萌は俺の方に来た。
俺は席に立ちカバンを持って向かおうとしたが肝心のまなが返事もくれない。
ただブツブツとつぶやいているだけ。
またしばらくすると今度は急に立ち上がった。
「お、どうしたまな」
俺はすぐさままなに声をかけるとズルズルと俺の方に近づき両手を俺の肩に乗せて力強く握ってきた。
「い、痛いぃぃ!!!!」
「離せ!まななんだよ急に!!。おい!萌!ぼーとしてないでまなを俺から離れさせろ!」
俺が萌に助けを求めると萌はしばらく俺が痛めつけられているのを眺めている。
こいつ、後で覚えてろよ。
「い、いいから離れろ!」
俺はまなの手を離そうとすると余計力を入れてくる。
俺の肩を痛めつけるだけでなにもしゃべらない。
おい、まさか情緒不安定化?
そしてしばらくすると力を抜き始めて俺の肩から手を離し顔を下に向いてる。
「あなたのせいよ」
「なに?」
上手く聞き取れなかった。
ぼそぼそまた言い始めた。
「あなたが私を勉強に誘ったせいで」
今度は普通の声のボリュームで言ってきたが。
「お、俺のせい?」
「そう、これでもし私が教えた数学が九十点以上取れていなかったらどうなるかわかるわよね?」
そう言って少しずつ顔を上げてニヤっとした顔で言ってきた。
恐怖でしかない。
怖い。死ぬ。終わる。
俺はこんなところで死にたくはない。
だが、今回のテスト全然だめだ。
はっきり言える。
終わりました。今回のテストはアウトです。
正直教えてもらったところほとんど忘れてしまいとても九十点なんてとれるわけがない。
ましてや半分取れるかも問題だ。
つまり俺はここで終わるってことだと思う。
覚悟はできている。
みんな今までありがとう。
「なんでさっきブツブツとつぶやいていたの?」
萌はまなに先ほどブツブツとひとり言で言っていた事が気になり聞いた。
「それはね、今回の数学のテスト思っていた以上に難しくて。今回とてもいい数字は出来ないと思うの」
「それはこのバカ男に勉強を教えたせいで私は勉強できなかったから」
俺に向かって指を指しながら答える。
「なるほどね」
納得をする萌。
「たしかに今回は全体的に難しかったね」
「私はみんなで勉強する前に一人で勉強したからなんとか解けたけど」
「たしかに今回は勉強しとかないと点数を上げるのは難しいね」
待てよ。今回そんなに難しかったのか?
てことは俺が点数低くても問題ないってことか。
だってそうだろ?この二人も難しいと言っているんだから俺みたいなバカはもっと難しい。
俺はすこしほっとした。
それに気づいたのかまなが俺の方を見てきた。
「賢?あなたは別よ?」
「はい?」
「あなたはこの私に教えてもらったのだからいい点数取れておかしくはないのよ?」
俺は威圧感があるまなに言い返す事ができなくてただその間の流れで返す。
「そうだよな!。俺天才の人に教えてもらったからいい点数取れていると思うよ!」
うぅ、俺は流れで言ってしまった事に後悔をする。
「いい点数取れていると思う?いいえ違うわ。いい点数取れているでしょ?」
「あ、はい」
もはや何も言えない。ただ言わされているような感じだった。
それを見ていた萌は困っている顔をしていた。
そこでの会話は終わりみんなで集まり遊ぼうって話だったがまなは用事があると言って断られてしまった。
最初に提案したくるみも両親と用事があるからと言って今回は遊ぶ事が無くなり途中まで帰り道が一緒の萌と帰宅をしている。
「ねぇ、賢本当に大丈夫なの?」
「なにが」
「いや、桜さんに言った方が良いと思うけど」
どうやら萌は俺が問題を解けていないことをわかっているようだ。
「大丈夫俺は覚悟できている」
「そんな覚悟いらないから」
「普通に謝ったら許してくれるよ」
萌はそう言うが俺は許してくれるとは思えない。
どう思ったら許してくれると思ったのか非常に気になる。
俺はまなとの出会いから振り返ってみる。
最初は『感謝しなさい』と言われて許嫁に勝手になっているし。
調理教室では勝手に姿消して探してみれば教室でのんきに本読んでいたし。
沙夜の写真だってそうだった俺が心配しても俺が悪いと言ってくるし。
こいつ許すと言う言葉はないのだ。
だから俺は本当の事を言ったところで許してはもらえないだろ。
過去の振り返りを終えて俺は萌に言った。
「やっぱり無理だわ。あいつが許すはずがない」
「そうかな?」
「え?」
「たしかに昔は少し変な人だったけど今は少し変わったと思うけどな」
「だって賢のために勉強を教えてくれたんだよ?」
「あんなに嫌だって言ってたのに」
「それって賢に良い点数取ってほしいからだと思う」
「本当にそうだと思うか?」
「うん」
萌は頷き俺は明日問題が解けなかった事を告げようと思う。
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