第31話 まなと一週間スパルタ勉強

テストが始まる少し前の話をしよう。

それは一週間前勉強会初日の話だ。

俺の家には許嫁三人と親友の雄二がいた。

なんとか嫌々な行動をしていたまなだったが、仕方がないと今回だけ一緒に勉強することになったのだが。

「なんでこんな簡単な問題もわからないのかしら」

まなは俺に数学の問題を出してくれたのだが俺は十問中一問しか答えられなかった。

俺は数学が大の苦手。

あんな数字だらけの問題を解けって言うのがおかしいのだ。

だいたい数学なんて割り算とかけ算とたし算引き算ができればいいのではないのかと思う。

別に開発者になるわけでもなく科学科になるわけでもない。

何故こんな意味のわからない問題を解かなければならないのか。

俺は心の中で文句と疑問を思いながら今まなに説教をされている。

「あなたそもそもかけ算すらできていないのよ!」

俺は先ほどかけ算すらできていればいいと自分が言っていたのにも関わらずどうやらかけ算もできてないらしい。

今回に関しては文句も言えない。

まなは嘆息をして頭を抱えている。

「バカだとは初めからわかっていたけどここまでバカだとは思わなかったわ」

「おい!初めからってなんだよ!」

「あなたに会ってからよ。どう見ても顔から口調までバカ丸出しじゃない!」

黙って聞いていれば言いたい放題好きにいいやがって!

たしかに俺はバカだからあながち間違ってはいないのだが、どうにもコイツに言われると腹が立つ。

だいたい勉強は頭いいらしいが他のところはバカだし怖がりだしおまけに素直じゃない。

俺よりも酷いと思うのは俺だけなのだろうか。

一方後の三人は。

「う~んわからない~」

くるみが頭を抱えながらわめいていると萌が優しく教えている。

「七瀬さん大丈夫私が丁寧に教えてあげるから」

萌は微笑みながら言うとくるみは涙目になりながら萌に抱き着いた。

「ありがとう!朝田ちゃん!やっぱり持つべきものは友達だよ!」

「はいはいじゃ進めますよ~」

萌はくるみが友達と言ってくれたのが嬉しかったのか少し照れていた。

雄二はやる気がないのか寝ている。

あいつ普通に寝てやがる。

俺は萌が優しくくるみに教えているのを見てまなに試しに聞いてみた。

「あの~桜さん僕にもあれくらい優しく教えてはくれませんか?」

「無理ね」

「即答かよ!!」

「あのね、私は仕方がなくあなたに教えているのよ?。しかも強引にここに来させられて。」

「そ、それは」

「それに、勉強するなら私一人でしたかったのに賢が教えてくれって言うから教えてあげているのにそれに加えて優しくしてくれって図々しいにもほどがあると思うのだけれど」

正論を言われは俺は素直に謝り勉強を続けた。

厳しい時間は終わり時刻は夕方の五時になった。

「そろそろ時間ね」

まなが荷物を片付け始めた。

「少し暗くなってきたな。平気か?一人で帰るの」

「平気よ」

「そか」

まなは自分のカバンを持ち立ち上がった。

「それじゃあまた、明日」

「お、おう」

ドアの前で立ち顔を振り向いた。

「そういえばまた明日もここでするのかしら?」

「え?うん」

「そう、それじゃあ」

「おい、待てよ明日も勉強会着てくれるのかよ」

まなはため息をして俺の方に振り向いた。

「当たり前でしょ?今回だけってのは今回のテスト期間だけってことよ」

まながそう言うとみんな喜んだ顔をしていた。

「うん!じゃあね!桜ちゃん!」

くるみが言うとまなは少し照れたのかすぐ体をドアの方に向き出て行った。

なんと言うかやっぱり素直じゃない奴だよな。

まなは家から出てしばらく歩いていると少し微笑んだ顔をしながら自宅に戻って行った。

そして翌日。

「なんで昨日と同じところ間違えるのかしら!」

今日も放課後俺の家にみんな集まり勉強をしている。

俺はまなと二人で勉強をしており、後の三人で勉強をしている。

正直萌と雄二はぎくしゃくするかと思ったが普通に三人で仲良く勉強をしている。

俺はそんな三人を眺めていると闇のオーラをまとったまなが俺を睨んでくる。

「賢あなたはよそ見なんかしている暇がないのよ?」

「あなたが誘ったのだからしっかりと勉強をしていい点数とってもらわないとね」

俺はニヤッとした顔がすごく怖くてもし良い点数取れなかったら殺されてしまうのではないかと思ってしまう。

それに比べて天国のような世界にいる二人。

萌はかなり頭がよく毎回学年一桁だ。

その人に教えてもらっている二人がうらやましすぎる。

「さぁ、賢覚えるまで勉強よ」

「嫌だ!!!!!!!」

その後約四時間近く勉強をしてなんとか覚えることができた。

そしてテスト前日。

「さぁ、賢明日からテストが始まるわよ」

まなが問題のプリントを持ちながら言った。

「やっとか。やっとテスト」

「なに安心しているの?。本番はこれからよ?」

「え?」

「あなたテストが本番なんだから当たり前でしょ」

「そ、そうか」

なんだろ、俺からしたらこの一週間が本番のような感覚ですごく緊張をしていたのだが。

だが、今日でこの勉強会も終わり。

俺とまなのところにくるみたちが集まってきた。

「ねぇねぇ!せっかくだし今日はみんなでやろうよ!」

くるみが案をだしてきた。

正直俺からしたら二人でやった方が効率は良いと思っていたのだが。

くるみが満開の笑顔で言ってくるもんだから断ることができなかった。

「いいぞ。まなもいいよな?」

「えぇ構わないわ。私だけじゃこのバカ男手に負えなかったし」

「お、おい!ど~いう意味だよ!」

「そのままの意味だけど」

こいつ相変わらず性格は悪いままだ。

言いあっているとそこに萌が混ざってきた。

「桜さんが無理なら私が教えてもいいけど」

もしかしたら許嫁の中で唯一まともなのは萌なのではないかと一瞬思ってしまった。

萌が言うとまなはため息をした。

「はぁ~。別に無理とは言ってないわ。ただ私だけじゃ手に負えないってことよ」

まなは少し焦った表情にも見える。

まさかと思うが俺と一緒に勉強をしたいとか思ってたりしているのだろうか。

まさかな、俺の事そーゆ目で見てないと思うし。

まなが言うと萌は少し黙りこんだ。

「な、なんで黙るのかしら」

まなが言うと萌はしゃべりだす。

「あ、別にただ桜さん少し変わったなと思って」

「ど~ゆうことかしら」

「だって前まで手伝ってほしいなんて言わなかったし」

「べ、別に手伝ってほしいなんて言ってないのだけれど!」

「この男がダメダメで私だけや手に負えないって言ってるだけよ!」

焦り少し早口になり少し顔も赤くなっている。

まなって案外顔にでるタイプだよな。

「ちょっと賢!さっきからなに私の顔を見てニヤニヤしているのよ!」

まなは思い切り右手で俺のほっぺを叩いた。

「いてぇぇ!!!。ってめぇ!!!なにしやがる!!!」

「ふん!あなたが私の顔をやらしい顔をしてたから叩いたのよ!!」

「誰がお前なんかみてやらしくなるんだよ!!」

またいつものように俺とまな言い合いをしている。

それを見ていた三人はやれやれとした顔をして眺めていた。

その後みんなで勉強をした。

これがテスト一週間前の話だ。

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