第28話 桜まなは素直じゃない
というわけで俺たちは写真部同好会に入ったのだが正直何をすればいいのかさっぱりわからん。
リーダはもちろん作り始めた咲なのだが。
「それで何を撮ればいいのかしら」
まなが咲に質問をする。
「え~と写真は自分の好きなの撮ればいいと思うっス!」
「自分の好きな?」
「そうっス!思い出に残る写真とか今しか撮れない写真とか!」
「なるほどね」
まなは納得をしたのか自分のスマホを出してカメラを開いた。
「おい、まな一体何を撮ろうとしているんだ?」
「なに賢私が何を撮るのか気になるのかしら?仕方がないから教えてあげなくもないわよ?」
こいつ、いつも何故俺の時だけこんなにも毒舌なのかさっぱりわからん。
こいつが夜一人だと怖くて俺の母さんにいつも電話してるの後輩たちに言ってあげようかな。
それはさておき一体なにを撮るのか俺はまなを観察してみることにした。
この空き教室で初めてなにを撮るのか。
カメラを自分の方にしてなにやらポーズをし始めた。
こいつまさかと思うが自撮りをしているんじゃないだろうな。
俺ほ異変に気が付いたのかこちらに目を向ける。
「なにかしら賢写真を今撮っているのだけれど」
「いや、なに撮っているのか気になって」
「あ~賢気になっていたわね、教えてあげるわ実は」
まなが教えようとしたときなにやら騒がしい方に目を向ける。
「せーの!」
カシャ!と写真を撮った音がした。
そこにはくるみがスマホを持ち沙夜と咲と萌と一緒に撮っていた。
「うわ~!みんなかわいい」
くるみが喜びながら言った。
「そうすか!私はそんな可愛くないっと思うっスけど、他の三人は可愛いっス!」
「いやいや!咲ちゃんも可愛いよ!」
くるみは咲に可愛いと笑顔で言うと咲は少し照れている。
それを俺とまなは見ていたのだが俺はすぐまなの視線に向ける。
こいつは何故仲間に入れてあげないのだろうかと。
たしかに自分から『友達はいりません』などと言っていたから仕方がないが。
女子が騒ぎながらみんなで写真を撮っているのにこいつだけ自撮りしてるとか少し可哀そうにも見えてきた。
俺が可哀そうな目でまなを見てるとその視線に気づき恥ずかしそうに言ってきた。
「べ、別に私も一緒になんて思っていないわよ!自撮りの方が私は可愛くとれすし!」
なんとまあわかりやすい反応をしている。
仕方がない。
「お~いくるみ」
俺はくるみを呼びまなも仲間に入れてはどうだと言ったのだが。
「え~桜ちゃん?!いいけどこの前夜が怖くて一緒に帰ったときにさ」
くるみはまなが夜一人で帰れなく一緒に帰った話をしてくれた。
『桜ちゃん?!だ、大丈夫?!』
まなは怯えながら歩いていてすこし足もプルプルしている。
『べ、別に怖くないわ!私一人でも帰れるわよ!ま、まあ七瀬さんが怖くて一緒に帰れないから帰っているだけのことよ』
(あ~もしかして桜ちゃんめんどくさいタイプだし私が怖いからっていい訳されたの少しやだな~)
「って感じでずっと言い訳ばっかしておまけにその日の夜好きなドラマあったのに見逃しちゃったんだよ!」
「そ、そうなのかそれは災難だったな」
くるみも色々あっただな。
「だから謝ってほしいじゃなくて素直になってほしいよね」
「なんか最初の転校初日も友達作らないとか言ってたでしょ?」
「きっと素直じゃないだけなんじゃないかなって」
「だって前も私たちと一緒に帰ったし友達作らないなら賢ちゃんの家だってこないよね」
まあ、許嫁の関係もあってきただけだと思うのだが。
「それに素直になれば桜ちゃんもっと女子からも人気になると思うだよね!かわいいし!」
くるみはまなと仲良くなりたいのかもな。
素直になってほしいのだろうきっとそれはくるみだけじゃなく萌だって咲だって沙夜だってまなが素直になれば仲良くなれると思う。
「わかった少し言ってみるよ」
「うん!」
くるみはみんなの場所へと戻り俺はまなのところに向かった。
「おい、まな」
「な、なによ今絶賛自撮り中なのだけれど」
こいつどんだけ自撮りしているんだ。
「いいから少し素直になったらどうなんだ?」
「素直?」
「そうだよ、お前素直じゃないからみんなとも打ち解けていないんじゃないか?」
「なにを言っているのかしら賢」
まなは少し目つきが変わり不機嫌な顔になった。
「私は友達なんていらないのよ」
「私はあなたとけ」
まなが俺と許嫁だといいかけようとした瞬間ドアが開き彩香先生がきた。
「みんなそろそろ時間だから今日の同好会終わりね。
「は~い」
そう言って彩香先生は出ていき帰る準備を始めた。
まなはカバンを持ち先に出て行った。
「賢ちゃん私たちも帰ろ」
「おう」
結局まな以外のみんなと下校をした。
途中からみんなとバラバラになり俺とくるみだけになってしまった。
ついこないだまでは一緒に帰ることなんて考えられなかった。
昔に戻った気分になり少し俺は嬉しく思う。
「そういえばさ、桜ちゃんとの話どうだった?」
「まあ、最初から素直になれって言われて素直になれるわけないよな」
「そうだね」
帰り道を歩きながらくるみとまなに関しての話をしている。
そして自分の家が着いた時。
「まあ、明日もあるし同じクラスだし隣席だし話す機会はいっぱいあるよ!頑張ってね賢ちゃん!」
くるみは笑顔で言って大きく手を振って帰って行った。
俺は自分の部屋に行きベットで横になった。
たしかにまだ時間はある。
許嫁もあいつらの事もこれからのこともな。
とりあえずまなを素直にさせるしかないよな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます