もしシュターメイア王国にクリスマスがあったら・前日譚




「フィー、フィー、クリスマスの予定はある?」


「ふつうに仕事だが」


「それはわかってるよ。夜の話」


「夜? 何もない」


「じゃあ俺と過ごしてよ」


「……こう言うのもなんだが、それはすごく誤解を生む言葉だし、行為じゃないか?」


「そうかもしれないけど……フィーと過ごしたいんだ」


「私はさすがにそこまで誤解を助長させたくないんだが」


「クリスマスは恋人だけの行事じゃない。家族と過ごすものでもあるだろう?」


「私とお前は家族ではないんだが」


「でも家族のように大事に思っているんだ。……俺の家族はもういないから、一緒に過ごすならフィーがいい」


「……。……わかった。外に食べに行くのか? それとも用意するか」


「一緒に過ごしてくれるの?」


「その言葉を聞いてそれでも断れるほど私は非人間じゃない。……私だって、ともに過ごす家族はいないわけだしな」


「料理は俺が用意するよ! 腕によりをかけて作るから期待してて」


「そんな暇があるのか?」


「暇は作るものだよ。フィーと過ごせるクリスマスのためならなんだってできるよ」


「そこまで気合を入れなくてもいいとは思うが。まあ、期待している」

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