もしシュターメイア王国にハロウィンがあったら
「フィー、今日が何の日か知っている?」
「知っているが、別に乗る気はない」
「そう言わないで。決まり文句を言ってくれるだけでいいから」
「……。後の展開が手に取るように見えるから、乗るのは卑しいようで嫌なんだが」
「でもフィーが言ってくれないと、無駄になってしまうよ」
「そんなことはないだろう――が、そう言っても、お前は引かないんだろうな。『トリック・オア・トリート』。……これでいいか?」
「うん。はい、フィーの好きなお菓子だよ!」
「……お前これ、全部有名店の人気商品じゃないか。一体どれだけ気合入れて準備してるんだ」
「フィーにお菓子を際限なく渡していい日だからね、頑張ったんだ」
「頑張るところが違うし、ハロウィンはそういう日じゃない」
「俺にとってはそういう日なんだ。だから返すのは無しだよ」
「笑顔でゴリ押しするな。わかってるから返しはしない。――代わりに少しもてなされていけ。わざわざ研究室にまで来たんだ。茶を飲むくらいの時間はあるだろう」
「フィーからお茶に誘ってくれるなんて嬉しいな。喜んでご相伴に預かるよ」
「あいにくとここまでされて何もせず帰すほど人間として終わってないからな」
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