アバンタイトル

 ブーーッ……! という、劇場で聞く効果音が響いた。真っ暗でなにも見えない。一体ここはどこだろうか?


「ようこそ、アスタリア戦記の世界へーー」


 凛とした声音を響かせると共に、ばん……と突如スポットライトが光始めた。その光の先に一人の人物が、ステージの上に立っていた。


「はじめまして、司会はアスタリア王国の女神、アーシェ・アーガリアが務めます。それでは、スクリーンをご覧下さい」


 カチッ……とスクリーンに映像が表示される。これは……パワーポイントを使ってるのか?


「えーまずこの物語に入る前にアスタリア王国について簡単に説明しますね。アスタリア王国は人口おおよそ二千万人――人間、エルフ、亜人などが住む大きな島国です。時折民族争いとかはありますが、基本平和な国です」


 フムフム……と頷く。


「だが、アスタリア王国の年紀から二百年前に突如「ゴルゴーン」と言う邪竜が現れました。そいつは表舞台にはほぼ出て来ず、洗脳魔法を使って我ら国民を洗脳し、我らの国では邪竜洗脳者と呼ばれていました。そして洗脳者による人々の惨殺事件が国全体に広まり、邪龍による国家転覆が近づく事に恐れた我ら王国は邪竜洗脳者殲滅作戦を踏み切りました――これがアスタリア大戦と言う殲滅戦争です。アスタリア戦記はアスタリア大戦中で起こった恋物語です。家族に反対され、戦で会えない、まるでロミオとジュリエットみたいなお話――」


 ……話が膨大すぎてよくわからんけど、とりあえずロミオとジュリエットみたいなお話って事ですね?


「まあ、ロミオとジュリエットのようなベースです。なぜ家族から反対されているのか、なぜ二人の恋は秘密にしなければならないのか、一体どうやって付き合う事が出来たのか――それは、この作品を読み進めていく内に明らかになるでしょう」


 ほ、ほう……なるほど……。



「まぁ、正直私の話を聞くなら本編に入れって言われそうなのでここら辺で終わりにします。それではアスタリア戦記――どうぞお楽しみください」

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