あなたのために、やったこと [250文字] ※微グロ

 某日、著名な小説家が行方をくらませた。

 捜索届けが出され、ニュースにもなった頃、一人の女が件の小説家の殺害を自供した。


 女は小説家のかねてよりのファンであり、彼が著作の後書きに記した彼の夢を叶えるため、彼を殺したのだと語った。


 しかし、被害者の遺体は一向に見付からず、女も遺体が何処にあるか分からないと言う。


 そんなとき、とある公園から被害者の遺体の一部が発見された。

 木の枝に引っかかっていた風船から腐敗臭がするとの通報があり、その風船の中から被害者とDNAの一致する肉片が見付かったのである。


「空を飛びたいと、言っていたので」


 それから全国各地で、肉片入りの風船が続々と見付かった。

 だが、まだ全ての風船が回収された訳ではない。

 恐らく今もどこかに引っかかっているのかもしれない。


 彼の一部を内包した、赤い風船が。




お題:本・冷酷な殺戮・風船・ミステリー

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