第58話「圧迫の悪夢」
そして側溝の俺に、ヒバリはいきなり覆いかぶさってきた。
有無を言わさず唇を合わせて激しく舌を突っ込んでくる。
(おい、せっかく側溝に隠れてるのに、お前の体は丸見えじゃないか)
テレパシーによって俺はヒバリに問いかける。いくら側溝が大きめでヒバリが小さめとはいえ、側溝セックスは隠せるもんじゃない。
(すぐ済むから、大丈夫。男なんだから堂々としてよ!)
そういう問題でもないと思うのだが。
とはいえ、ヒバリの激しい唇のせめと、柔らかで滑らかな右手の動きが俺の種子島を刺激して、状況に関係なく俺の男爵は側溝で即効にギンギンとなる。
(ピンチな状況なのに、聖夜ってこんな時も元気じゃん。さあ、時間がないからさっさといれてよ)
そうやって耳元でささやくひばり……たぶんロリコンなのだろう俺は。ヒバリにささやかれると弱い。
さて、そういわれちゃ、しょうがない。ヒバリの方の準備が整っているかははなはだ疑問だが、速攻でぶっこませていただくぜ。
「おらあっ!」
―――
入れた瞬間にヒバリは上に乗ったまま、見たことのないスピードでグラインドしていく。そのスピードはまさにスーパーソニック!
「お、おい、激しすぎるぞヒバリ!」
俺は思わず声をかけて制しようとする。もちろん、マッハに燃えるヒバリはそんなことでは止められない。
(ねえ、聖夜。本当にありがとうね)
音速グラインドを続けながらヒバリはテレパシーで俺に語り掛ける。
(……な、なんだよ。急に)
急にありがとうとか言われたらなえるぜ。
(あなたを殺そうとした私にやさしくしてくれて本当にありがとう)
(……気持ち悪いな、別に優しくしたつもりはない)
結構ひどいプレイを要求したつもりだからな。
(……それでも、私は嬉しかったから)
そういいながら、さらに腰の動きを激しくするヒバリ。音速から亜光速になったような動きだ。
これは、やべぇっ。
(ダメこんなんじゃ、足りないこれくらいのもっこりパワーでは増長天には勝てないわ。もっともっと、ギンギンにしてよ)
(いや、もうイキそうだ、というかさすがにそろそろ気づかれるぞ)
そもそも戦いの最中に何をやってるんだ、俺たちは。大体こんなことやって、おれのドーンのパワーが上がるとでも?
そう疑問に思っていると、ヒバリは俺の右手を握り、そしてヒバリの首元へと誘導した。
「ねぇ、しめて…… 私の首を思い切り」
テレパシーではなく、俺にそうやってささやく。首絞めプレイはたまにやっているプレイだ……これをやるとしまりが違う。
望むがままに俺はヒバリの首に力を加える。その瞬間、ぴくんとヒバリの体が跳ねる。たまんねぇ、やっぱ、これをやると快感が段違いだ。
するとヒバリが声を漏らす。
「あ、ああ、た、たりな……もっと、つよく……」
(な、なにを言ってるんだ。俺の力を知ってるだろう。これ以上の力で締めたら……)
(だ、だいじょうぶ、ね、お願い、しめて、ころして、わたしを)
……コロシテだと? もちろん文字通りじゃないのはわかってる。
だからその言葉に思わず俺は反応、いや興奮してしまう。
「セ、せいや……私を……コロシ……て」
思わず、俺の手に力がこもる。とんでもない身体能力を手に入れた俺の握力はもちろんとんでもないわけだが。
「……あ、あぁ……」ヒバリのか細い声が漏れる。
しめるほどに、しまっていく。そんな状況なのに、ヒバリの動きは止まらない。そして俺の興奮も、射精感も止まらない。
かつてないほどのパワーが俺にみなぎっていくことを感じる。これ以上首を絞めたら本当に殺してしまいそうだが、それでも興奮で力が入ることを止めることができない。
「あぁ、せい、せいや、いいよ。愛……してる、このまま私をころして」
「ひばりぃっ、ひばりぃっ!」
―――
興奮した脳のまま、欲望のままにヒバリの首を絞めて、そして最大限の精を解き放った。かつてないほどの射精感が解放され、また一気に虚無が訪れた。
「はぁ……はぁ……」
俺は息を切らしながら、あることに気が付く。
手で握りしめているはずの、ヒバリの首の感触がなくなる。発射したばかりのはずなのになぜかまだ、俺の銃身は圧力を受けている。
あわてて、ヒバリからおれの銃身を引き抜いた。
ど、どういうことだ。ヒバリが小さくなっていく……。
と同時に、俺の肩が側溝の壁に触れる。さらにそのまま側溝の壁はみしみしッと音を立てていく。
やがて俺の全身が締め付けられるようになり痛みを感じた。
すぐにバキバキッというとんでもない音とともに。側溝の壁が崩れ始めた。
(こ、これは俺が巨大化しているのか!)
ヒバリが小さくなったわけじゃない。
側溝どころか、周辺のコンクリートを破壊しながら俺の体がどんどん大きくなっていく。破壊にともなう痛みもあるが、もうそんなことをが気にならないほど俺の体が巨大化していく。
どれだけ、大きくなったかわからないくらいで、巨大化が止まった。俺の巨大化のおかげで破壊されたコンクリ―トや建物の粉塵のおかげですっかり俺の視界は灰色に染まっている。
そして俺は、ゆっくりとたちあがった。
粉塵と、そしてピアニッシモのまいた紙吹雪がなくなったときに目の前に増長天の姿が現れた。
『な、なんだ貴様は』
増長天は驚きを隠せない表情で、自身の大きさの二倍はあるだろう俺の姿を見上げるのだった。
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