第50話「壊血の信徒」
タ スケル……?
おかしなことを言う女だ。
俺をここまでぼろぼろにしておいて、どの面を下げて俺に助けを懇願しているのか? どっかいかれてるんじゃねぇかとも思う。
だが、しかし。
このままだとシルアは、ヒバリを殺すであろう。
どうする……。
結局のところヒバリが不幸な少女というのは嘘であった。
すべて俺を油断させるための方便に過ぎなかったし、そもそも年齢的には少女でもなければまして幼女でもなんでもない、ただのBBAだったのだ。
どこに助ける理由があるというんだ!
……
……‥……
「やめてやれ、シルア」
「——!?」
「ヒバリを殺すな」
「何を言ってるかわかってるの? 今、なんとかしないと、またフィールドが回復して手に負えなくなるわ。そして、あなたがその状態でどうやって、ビヴァーチェを御するというの?」
「いいんだよシルア、これは俺とひばりの戦いだ、邪魔をするな」
「でも……」
「……聞こえてるだろうヒバリ。最後の戦いだ!お前自身の意志で俺の上に乗れ、そして入れろ!」
そして、倒れたままのヒバリの体がぴくっと反応した。
亀甲縛りのまま身動きは取れないはずだが、腹筋の力だけでゆっくりと上半身を引き上げた。
その様子をシルアとピアニッシモは黙って見守る。
「——きゃはははははっは、面白いじゃないの人間。その状態でサキュバスの私と本領域で戦うというのね? いいわ、のってあげるわ、話にも、お前にもね!」
ヒバリはそのまま立ち上がろうとするが、残念ながら、両足は折りたたまれた状態のままで縛られているので、それはかなわない。
無理やり体を起こそうとするから、バランスを崩して再び地面に転がってしまった。
むしろ、よく上半身だけでも体を起こせたものである。
「……ピアニッシモ、脚の縄を外してやれ」
俺はか細い声でピアニッシモに命じた。大声を出すほどの元気は俺にだってもちろんない。かろうじて出血が収まって、皮膚がつながっているだけなのだ。
しぶしぶ、ピアニッシモはヒバリの足の縄を消去する。もともとピアニッシモの具現化能力で生まれた縄である、ほどく必要すらなかった。
「ねぇ聖夜、本当に大丈夫。ビバーチェの性欲はサキュバスの中でも異常よ。今の状態でまともに戦って無事で済むはずが……」
ピアニッシモはそういって、心配そうな表情を見せる。そして足のロープ以外は決して消そうとしなかった。
「……大丈夫だ、俺は決して負けねぇ」
「きゃはははは、お兄ちゃん、手加減なんかしないからね」
足の縄がなくなったヒバリは立ち上がり、仰向けのままのおれにゆっくりと近づいてくる。
「……ビバーチェ、言っておくけど絶対に上半身の縄はほどかないし、あなたの能力も封じさせてもらうわ。正々堂々、どちらかが果てるまでの戦いをしなさい」
シルアは何かを覚悟したように、戦いの開幕を宣言した。
「……もちろんよ、おねぇ様。こんなぼろぼろの状態のたかが人間に、夜伽で負けては、サキュバスなんかやってられないわ。ピアニッシモとは違うのよ」
それを聞いて、シルアは俺の夢の空間から姿を消して、ピアニッシモもまたそのあとに続いた。ピアニッシモはずっとひばりを睨みつけていたが。
二人がいなくなったことを確認して、ヒバリは俺の太もものあたりに腰を下ろした。
———ズキッ!
と身体に痛みが走る、刺された場所に座るもんだから、否応なく熱さが俺を襲った。
「ぐぁっ」
思わず変な声を出してしまった。
「あらあら、大丈夫ぅ、こんなことで? ここから長いのにー、お兄さんが挑んだ勝負なんだからね?」
そして、どういう原理かは知らないが、パッとヒバリの赤い色のアンダーウェアがきえた。おそらく、これも具現化された衣服であるのだろう。
そこにあらわれるのは
きれいな、きれいな、本当に何もないすべらかな、なめらかな。
現れけり。
それは、ヒバリの縄化粧と合わさって、俺のジュニアを再び世界チャンピオンに輝かせるのに十分だった。
「ふぅん、元気いっぱいじゃん。前戯なしとか、サイテーだけど、このまま入れるわよ」
「……バカヤロー、前戯なら、これ以上ない激しいやつをさっきまでやったろうが」
そう、あんなに激しい前戯はない、痛みと感情がいれ混じった壮絶な語り合いだった。それをなかったことにはさせねぇ。
証拠に、ヒバリよお、ここから見てもわかるほどにお前も興奮してるじゃねぇか。
そしてお互いの興奮のせいで、再び俺のモッコリ様は、つながっていた皮膚を再び裂くことになった。痛みが来るはずだったが、アドレナリンがすべてを打ち消した。
もう痛みも不要。
言葉も不要。
ただ、体をぶつけあうのみ。
来い! ヒバリ! 決着をつけてやる!
挿入される俺の小宇宙。
———
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