第22話「覚醒の天使」
「……勘違いよ聖夜! 痛みこそ快感よ!」
気を失いそうになる俺に、倒れているはずのピアニッシモから声が聞こえてきた。耳からじゃなく、脳内に直接話しかけられている。
勘違い……?
痛みこそが快感だと……?
そういえば、先ほど倒れていたピアニッシモの顔は、ただ痛がってるというような感じではなかった。
あれは昨日俺と一戦交えていた時に見せていた最後のころの表情、限界に近づいてる時のピアニッシモのイキ顔に近かった。まさか、あの女はこの電撃を本当に快感だと思ってやがったのか……いかれてるぜ本当に。
「……耐えられているなら、私だったら快感でしかないわ、むしろ今のあなたがうらやましい、本当は私がそれを……あーぁっ」
ピアニッシモはわけのわからない話を脳内で繰り広げ、勝手に艶声をあげる。
何言ってやがる、こんなのが気持ちいわけがあるか!
いや、でも待て……
だんだん身体が慣れてきやがったぞ。
どうしようもなく、そして、とんでもなくいてぇ、まるで、四肢を全部チェーンソーで切り咲かれるくらいの痛みだが……なんだ、ピアニッシモが言うように気持ちいいかもしれないと思いだしたら、少し楽になってきたような。
死ぬほどいてえっけど、でも、どこか少し。あ、ああっ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっつ」
そして思わず変なこえで叫んでしまった。
やべぇ、やべぇ。
電気……気持ちいかもしんねぇ。いや、普通だったらもう死んでんだろうけど、俺は今、死の先の快感を味わってるかもしれねぇ。うひょぉーーーーーーこれ以上食らったら死ぬぅーーーーーーーーーっ。
「な、なんなんだ、お前、なんで死なない? 何で笑ってるんだ?」
笑ってるだと……?
そうか、俺はいま笑ってるのか……。
苦痛で脳内が馬鹿になってしまったちがいねえ。最高にハイってやつだぜ!いいぜぇいいぜぇ、気持ちいいZE!
「……ぅぅぅっ、おい、はげ、もっとだもっと強くできねぇのか? 足りねえぇぇんだよ、こんなんじゃ死なねぇぞ俺はぁぁっ」
声が出せるようになった、そして俺はなぜかヤーハダを前にして挑発をしてしまう。
「——なめるなよ人間! よかろう手加減なしだぁ!」
ヤーハダの抱きしめる力、そして電圧がさらに強まるのを感じた。
「ぐぇあーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」
あああ、おれは思わず今までにない位の悲鳴を上げた。
やべぇ、やべぇーーーーーっ、これはマジで死ぬぜぇぇぇぇ、ちくしょう!
そして、たまらねぇーーーーーー。
ピアニッシモ、わかってきたぜぇお前の気持ち、死が近ければ、近いほど気持ちいい。
でもまだ、俺は死なねぇ。まだ、まだこんなんじゃいけねぇよぉ!
「…………もっとだ、もっとくれよぉーーーー」
声にならない声で俺はヤーハダにささやく。
「……なんなんだてめぇ、なんなんだよ、おいなんであそこをそんなにでかくさせてやがる。当たってんだよ、気持ちわりいやつだな」
「あててんだよ、……バカヤローが」
「な、な……」
明らかにヤーハダは動揺していた。
そして俺は、苦痛とも快感とも取れない状態で完全に力を取り戻した。取り戻したところではない、今までで最高の力が体中にみなぎっている。
電気のせいで俺の全身の性感帯が刺激された、そして脳も完全にトリップしてる。
その結果、俺のモッコリはフルバーストだ! 精力も、気力も、痛みも快楽も敵の電気の力でさえも、すべてが俺の海綿体に集中している。
「決めちゃえ☆」
「出しちゃって!」
脳に、ピアニッシモとシルアの声が響いた。
「——待たせたな、ヤーハダ・マルーカ!」
「……な、何を」
ヤーハダは俺の体を離さないが、奴が恐怖で震えるのを感じた。
ああああ、気持ちいいぜ。そのまま電圧を弱めるんじゃねぇぞ!
行くぜ、今度こそ最大最強で、精力全開のやつだ!
『——帯電スーパーギンギン全力ドーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!』
皆様のイメージではページ一杯の文字サイズでおねがいしまーすっ。
バチコーーーーーーーーーーーーーーーーン!
「ぐあぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ
最大のフルパワーで決まった俺の全力のフルドーンは、見事にヤーハダマールカを銀河系の外まで吹っ飛ばしたのだった。
キラッ☆
やつは、星になった。……多分。
そして出し尽くした俺もまたその場で倒れこむのだった。
「ぐっ」
……さすがに、たてねぇ。
「聖夜!」
俺の元へと、シルアが駆け寄ってきた。そしてそっと俺の上半身の下に膝を入れて抱きかかえる。
俺の顔とシルアの顔が近づく。
「大丈夫なの、聖夜?」
「……あぁ、やってやったぜ」
そして、シルアは俺の体をぎゅっとする。瞬間俺の体が軋んだ。
「……いてぇよ」
心は生きていても、体はボロボロの様だ。触られるだけでいてぇ。
「ごめんなさい……でも」
「……でも、なんだ?」
「下の方は、すごい元気みたいなんだけど」
……あぁたしかに、かつてないほどギンギンだ。そしてこんな状態なのに、いやこんな状態だからなのか、すげぇやりてぇ。目の前には豊かなシルアの双峰があって、気づけば俺はそれに手を当てていた。
「……どうするの?」
「……騎乗位で頼む」
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