第15話「さすがにそろそろ18禁かという悪魔」
「なによ、躊躇してるの? そして変な目で私を見ないで、気持ち悪いわね」
体を震わせながら、ピアニッシモは震えている。そんな姿を見て俺はなぜかいつも以上にギンギンとさせていた。
「せ、聖夜、何してるのよ、早くとどめを……、なぜなぜいつもよりエネルギーの量が多いの、ひょっとして興奮しているの?」
自分でもわからないのだが、そうなのだろう。目の前の敵を見て、倒そうとするどころか欲情してしまっている。
「……おい、ピアニッシモだっけか。俺には女にとどめを刺すなんてことはできない、かといって力の差は歴然だろう、おまえにも俺を倒すことはできない」
「……何が、いいたいのよ」
もはやピアニッシモがこちらを見る目は肉食動物を見た時のウサギのそれであった。……まあそんな目を見たことはないのだが。
「おまえもサキュバスならば、サキュバスらしくおれを倒してみろ」
つまりは、そういうことだ。
「な、なんて破廉恥な……でもしょうがない、受けて立ちましょう。私だってお前のそそり立つソレに興味がないわけじゃないわ」
それはわかっている、女の目線はさっきから俺の顔じゃなくて、下部の方ばかりに行っていたのだ。
「何を言ってるのよ、二人とも……そんなの私が許さないわよ」
シルアが慌ててこちらに駆け寄ってくる、何も身に着けていないので、彼女の二つの大きな宝をプルンプルンと震わせながら。
ますます俺の興奮度が高まってしまう。そして聖夜は私のとばかりに、両腕を俺に絡ませながら、胸を押し付けてきた。
「……シルア、俺には女を殴ったりできねぇよ、だから他に手はないんだ」
そうだ俺だって浮気するつもりなんてないさ、しかし仕方ない、こうする以外に何があるっていうんだよ。
「ピアニッシモ、この私が勝てなかったのよ。あなたに勝てると思うの?」
「……ふふっ、さてはシルアお姉さまは恐れているのね、自分が勝てなかった相手を私があっさりと屈服させてしまうかもしれないことに」
「何を!? 私があなたに劣っているといいたいのあなたは」
「男に屈した時点で、劣るも何もお姉さまはもはやサキュバスではないわ。私はサキュバスの誇りにかけてこんな男になんて絶対負けない。見てなさいお姉さま、私はとっくにあなたの力なんて超えていたということを」
「何をふざけたことを」
俺をつかむシルアの手にぎゅっと力が入る。相当イライラしてるのだろう。
そしてそのつかむ腕を振り払って俺は言う。
「シルア、ここまで言われたら引き下がれないだろう。もはやこの決着をつける方法は一つしかない」
そういいながら、俺はズボンを下ろした。
「……仕方ないわね、見届けるわ二人の戦いを、ピアニッシモ後悔しないことね、伝説の男『ホーリーナイト』の力を」
「……まさかこの男が伝説のホーリーナイトだというの? そんなバカな、でもいいわ、相手にとって不足ないわね、本物かどうか私が確かめてあげるわ」
ホーリーナイトがなのことなのかいまだになんだかわからないが、どうもなんだかとんでもないやつなんだろう。
「待って、ピアニッシモ、勝負の前に傷を治してあげるわ。お互いに完璧の状態じゃなければフェアとは言えないからね」
シーツで身体をくるんだまま、シルアはピアニッシモに近づいた。そしてそっとピアニッシモを抱きしめる、すると見る見るうちにナイフによってできた傷口がふさがっていく。
シルアは今ものすごい隙だらけなので、ピアニッシモが本気でシルアを殺す気ならば今がチャンスだと思うが、そんなつもりはないらしい。
「ありがとう、シルア姉さま。ただ、後悔することになるわよ」
「ふふ、戦いが終わった後にそれが言えるかしらね。じゃあ私は一足先に現に戻るとするわ」
そう言い残してシルアは、すっと姿を消した。目の前でシルアが消えるのを見るのは初めてだが、不思議な光景だな。
「さて、ヤろうかピアニッシモ……」
ピアニッシモの唇を奪うために、俺はゆっくりとピアニッシモに向かっていく。
しかしそう言った瞬間、ピアニッシモは忽然と姿を消した。
「なに」
気が付いた瞬間、股間にぬめっとした感触を感じた。
こ、これは先制の尺八か!
下を見ると、ピアニッシモは膝をついて、顔を俺の股間の目の前に置いておいた。
「ふふっ、先手必勝よ。口技だけであんたの精力を吸いつくしてあげるわ」
長い戦いが始まろうとしていた。
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