第13話「迷わず行けよとかっていう悪魔」
ずーっと、健文に嫉妬や妬みのようなことを言われながら俺は家まで帰ってきた。「俺がお前ならとっくにイブちゃんで童貞を捨ててる」とか何とか……はあっ、めんどくせぇ、健文には悪いが、昨日俺は童貞は捨てたんだ、それどころか、信じられないくらいやりまくってる。
昨日か……。
まだ昨日のことなんだよなあ。
すごく人生が変わってしまった。そんな気がする、いや実際にそうだろう。
帰ってすぐに俺は自室にこもって、ベッドに仰向けになっていた。疲れている、正直さっさと眠ってしまいたかった。
しかし考えることが山ほどある。
「とりあえずは、イブか……あの反応。もしかすると、もしかすんのかなあ」
と独り言を思わず口にしてしまう。
そういうことってあるだろう? 誰も聞かれてないところでドラマのようなことを言ってしまうそんなナルシストさ。
しかし、俺は忘れていた、いつどこでも、俺に一人の瞬間なんてないのだということを。
「もしかしなくても、イブちゃんは聖夜のことがラブだと思うわ」
「うわっ」
突然、隣から、シルアの声が聞こえた。いや突然ですらないのかもしれない、まるで、はじめからそこにいたようにだ。
ついでにがっつりおっぱいが俺の腕に当たってる感触もあった。
反射的に俺の体は、シルアから距離を置いてしまう。
「どうやってそこに?」
「うーん、いつでもあなたのそばにいるわ」
そういいながら離れた俺の体に引き続き、体を押し付けてくる。
「答えになってないぞ」
「あなたの夢に住んでいるようなものだからね」
さっき一緒に帰ろうとそう言われたときに、一体こいつはどこに住んでるのかということは瞬間的な疑問だった。
なるほど俺の夢に住んでるのか。
もはや夢の概念がよくわからなくなってきたな。
「それは悪夢だな」
「悪夢なの?」
「……わかんね」
「——好きだって言ったのは、嘘じゃないよ」
そういわれて悪い気はしないが……。
「シルアが好きなのは俺のアレだろ……それになんでイブにあんなこと言ったんだよ」
「あのこのためかしらね」
「どういうことだ?」
「聖夜だって、イブって子のこと好きよね。そんなのちょっと見てわかるわ」
「……誰があんな胸なし女好きになるかよ」
「うーん、そこなのよね。エロスとは関係なしに聖夜はあの子のこと大切に思ってるでしょ」
「だからっ、ちげえって」
「でも、自分の力に目覚めてしまったあなたなら、いつかあの子をを抱こうとするわ、そしてあの子は絶対にそれに喜んでこたえると思うの」
「なんでそんなこと言えるんだよ、イブにいまさら恋愛感情とかありえねぇよ」
「だったらいいのだけれども、むしろそうであってほしいけど、警告しておくわ」
「何を?」
「処女のあの子に、聖夜のそんなでかいものを突っ込んだらあの子死ぬわよ。というか入らないと思うわ。そのくらい、ヤバイのよ。あなたのものは」
「結局、下ネタか!」
盛大にずっこけるわ。
それにしても、そ、そんなにでかいのか俺のあれは……誰かと比べたことはないが。恥ずかしくて修学旅行の時とかも、なるべく隠して風呂入ってたし。まあそんなことはどうでもいいが。
「あいつが処女かどうかわかんねぇだろ」
「……明らかじゃない、あんな露骨なうぶ少女、平成の遺物よ」
「そもそも、なんでセックスが前提なんだ、何度も言ってるがそういう関係じゃないんだって」
「もし聖夜がイブちゃんの初体験の相手になったら絶対トラウマよ。セックスを嫌いになっちゃう。セックスを愛する悪魔としてそんなことは見逃せない。私はすべての男女にセックスを楽しんでほしいの」
むむっ、こ、こいつにはそんなポリシーがあったのか。
その割にはお前とやる男はすべからく死んでしまうわけだが、それってもうトラウマどころじゃないんだけれど。それはいいんだろうか。
「まあじゃあ、どっちみち心配はない。俺はイブを抱くことはない。そもそもあいつが俺のことを好きなんてこともないし。それに……見た目だけはイブはいいからな。ほっといても、誰か他の男がイブの処女をもらうだろうさ」
と半ば自虐気味にそんなことを言ったら、なぜか少し涙ぐんだ声でシルアは話しかけてきた。
「……ねぇ、聖夜はそれで寂しくないの、ずっと好きだったんでしょ。それが他の男にとられるのを前提にするなんてそんなの悲しくないの? 勘違いしないでほしいんだけど、私とあなたの間のは恋愛感情じゃないのよ? 現代風にいうのであればただのセフレ。私のことなんて気にしないで、私に対して操を建てる必要なんて何もないの! 恋愛は別にしてくれていいんだよ」
言ってることは無茶苦茶で、感情をむき出しにして、シルアは言ってきた。そんなことを言われたら逆にきゅんとしてしまうんだが……
そしてすぐに、シルアは俺の唇を奪い下を絡めてくる。さらには、股間に手を伸ばし始めて、裏筋の方から上手に撫で始めた。
シルアの顔を見ると、大きな目に思い切りの涙をためていた。
(どんな情緒だ!? 一体どうすりゃいいっていうんじゃーーーー)
と心で叫びながら、俺は再び数えきれないくらい、はめまくるのだった。
よかった、親が今日遅番で……。
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