第7話「毎日の営みという悪魔」
「落ち着いたか」
「えぇ、ごめんなさい。こっちの世界になれなくて情緒が不安定だわ」
本当だろうか、こっちの世界って言うけど、夢の中にいるじゃん今は。今後が不安でしかないんだが。
「で、ひずみが起きた結果どうなるんだ」
「この間の電車にいたような悪魔が現れる。それがまず一つ目、ひずみが起きたせいで、夢や想像の世界にしかいないはずの魑魅魍魎達が世界に干渉するようになるわ。昨日のは怠惰の悪魔ベルフェゴール、あなたがあいつを倒さなければ、世界中の人間が働く気力をなくしたでしょうね」
それはおそろしい、たしかにあのとき現実の車内では、すべての人がやる気をなくし、あげくには運転士のサボタージュによって電車が事故りかけていた。その後、運転士があわててブレーキをかけて事なきを得たのだが。
「・・・・・・でも、そんな話はほかでは聞いてないな。シルアの話では世界中に影響を及ぼすんだろ?」
ベルフェゴールが世界にいた時間は短かったはずだが、それでも世界中が怠惰だったならいろんな事故が起きそうなものだが。
「うーん、傷つくと思ったから言いたくないんだけど、ひずみはもちろん原因であるあなたを中心に、徐々に、いや加速度的に広がっていくわ。だからあのときはあの電車だけで影響がすんだのよ」
「あっ・・・・・・」
それは確かに傷つく・・・・・・じゃあ、もしあのまま事故ったなら俺のせい、俺のせいと言うことになる。それはいたたまれない。
「悪魔があらわれてから、そうね一日あれば十分かしら、一日で地球上ですべての人間が何らかの影響を受けると思うわ」
「ちょっと待ってよ、いうて俺はおまえに誘われてちょっとセックスしただけじゃないか、なのにそんな理不尽な業を背負わされるのか」
「理不尽も何も、サキュバスの快楽の対価は命なの。それほど高価なの。それを踏み倒したんだから相当の業を背負わされて当然じゃない」
いやいやいや、おまえらの世界のルールじゃそれが当たり前なのかもしれないが、知らんわそんな話、明らかに俺がかわいそうだろ。
「・・・・・・だったら俺は自殺する。世界は俺の肩には重すぎるよ、さすがに死ねばひずみとやらは解消されるんだろ?」
「うん、そうねぇ。それは残念ながら一度起きたひずみはそうそう戻らないのよ。あなたが死んでもひずみはそのまま。むしろ悪魔を退治してくれる人がいなくなるからやり放題ね」
「・・・・・・死ぬことも許されないのか?」
「うん、そうね絶対だめ、私も許さない。それと悪魔側だけじゃなくて神様って言えばいいのかな、秩序を守る天使達も大変よ」
「天使達・・・・・・そんなのがいるのか、じゃあ悪魔と戦ってもらえるんじゃないか」
悪魔がいる世界なら、天使もいていいよな。
「いえいえ彼らが狙うのは秩序を壊した私たちよ、責任をとるために命を狙ってくると思うわ」
「・・・・・・えっ、天使も敵なん?」
何のための天使だよ、俺に救いをくれよ。今からでもキリスト教に改宗するからさ。
「そもそも私だって悪魔だし、そりゃ現実世界にいること許さないでしょ?」
「天使も悪魔も俺の敵・・・・・・地獄だな」
「ごめんなさい、それだけじゃないわ」
「は?」
「サキュバスの仲間達も私を殺しに来ると思うのよね」
「えっ?」
「私ってもはやサキュバスの中では本当に堕落した存在なのよ。恥といっていいと思う、あなたのせいでね。だから、仲間達も私を狙いに来ると思うわ」
「四面楚歌かよ!・・・・・・でもそれは俺には関係なくないか?」
だって、さすがにそれは自分で責任とってくれよ。俺はそのサキュバス軍団に狙われる理由ないんだから。
「ひ、ひどい。守ってくれないの? あなたの力さえあればあんな奴らチョロいと思うわ」
「っていやいやだって、俺悪くないじゃん、それに関しては・・・・・・」
「私のことなんてどうだっていいっていうの?」
「・・・・・・いや」
「やれそうな女だったから、ただ抱いただけ・・・・・・そういうことなの?」
「いや・・・・・・ちがう、俺は好きだと思ったよ、もちろん」
好きって言う感情のゴールが俺にはわからないけど、少なくてもこの女を逃したくはない気持ちに間違いはない。
「じゃあ、私のこと守ってくれる?」
「ああ・・・・・・」
あれ・・・・・・、なんかうまい具合にのせられている。
「あと私はこの世界にいるために、毎日精を搾り取らなきゃいけないけど、聖夜はもちろん私とエッチできるよね?」
「ま、毎日?」
「嫌なの?」
「い、や光栄だよもちろん」
実際夢のような話だよな、こんな美人と毎日やれるなんて、普通の高校生じゃあり得ない。でも、うーん、いいのかなあこんな恋愛の形で。それに毎日って病気の時とかどうすんだよ。
「・・・・・聖夜が相手にしてくれないと、わたしほかの男とやるしかないんだけど。そうなったら、そいつは死んじゃうよね。聖夜のせいで」
「脅しじゃねぇか!」
っていうか俺のせいじゃなくて、おまえのせいだろ!
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