第3話 初めての戦闘と報酬~元落ちこぼれニートの戦闘能力どのくらい?魔術side-MAGIC-
翌朝、俺は昨日のことを思い出した。
俺らがここに来てからまだ1日も経っていない…
そして日が昇る前にバイトを切り上げ部屋に戻った4人、現在に至る。
周りを見渡して俺は何か違う空気に気が付く
隣のベッドで寝ていたササメがいなくて洗面台に来るとそこには見知らぬパンダが居たのだ
「うわぁぁぁ~、マジか…
パ、パンダが何故ここいるんだ!?」
びっくりした表情で目の前にいるパンダに言った
すると聞き覚えのある声で「サトル?どしたの?びっくりした顔して」と落ち着いた表情と声色で話す
「えっ…?その声はまさか"ササメ"なのか…?マジか!」と更にびっくりした表情をすると
「そうだよ!ボクはパンダの獣人だったけど昼間は話すパンダになるんだ」と誇らしげに言う
「そうなのか…知らなかった。
仕方ないが最初から話してくれないか?
凄く混乱してるんだが」と慌てて言う
すると「そうだね…このことは話さないといけないって思っていたからベストタイミングだね!」と人差し指を立てて言った
俺たちはクエストを探しに役場へ向かう前に部屋で今朝の出来事をササメが説明してくれることになった
「ボクたちは昼間は言葉を話す獣の姿で夕方~夜明けまでは獣人の姿をしている生き物なんだ
理由は分からないけど産まれた時からそうらしい…
スズコとレイカちゃんもそうだからこれから確認してみたら?」
そう言って微笑む
だが俺以外がそうだとしたら店主もそうなのだろうか…
「わかった。スズコたちにも聞いてみる」とクールに言う
するとササメが「ずいぶん落ち着いてるね、最初はあんなにびっくりしてたのに」と言う
「別に…これからずっとお前らと一緒に過ごすなら慣れないといけないだろし。落ち着いてて悪いかよ」焦りながらツンな態度をとってみたりした
「そうだよね~、こんなことで驚いてちゃボクらとはずっと一緒になんて入れないよ?」と言ったのだった
「それじゃ、スズコたちを呼びに行こう」とササメが言うので頷き一緒に外へ
すると既に待っていたのかメイド姿のペンギンと小さくて分からなくなりそうだったがレイカの肩に"ちょこん"と乗っていたメイド姿チョコレート(サイズが小さくなっていた)を着て座っていた
服のサイズも自動的に変わるというのもゲームの中のような感じだ。
俺はずっと"人間の姿"だからサイズは変わらなかった
「みんな揃ったしバイトしに行きますか」とササメが手を叩き後ろを向き歩き出した
俺・スズコ・レイカも頷き合いササメの後ろについて行きながら下宿先の階段を下がり開店前のバイト先へと入っていく
すると奥の厨房からコックの格好をした豚が出てきて「よう!お前らか、早いじゃないか。まだ開店前だが開店の準備を手伝ってくれ」と困ったような表情をした
スズコとレイカは「わかったわ、何からやればいいのかしら?」
「わかりました、何から手伝ったら良いのですか?」とそれぞれで聞いていたが俺とササメも「店主、俺らも手伝えることないか?」
「ボクらも何かお役に立てればと思うのですが出来ることありますか?」と店主に訊いていた
すると店主は「お嬢さんたちはテーブル拭きとフロア内の掃除を頼む、あんちゃんたちは店の外の掃き掃除と開店時間になったら店の暖簾と看板を出すのやってくれ」と言ったので「了解しました」とだけ俺が言うと3人は「分かりました」と返した
そして開店準備の作業が始まり店内は静まり返り外はガヤガヤし始めていた
「このお店は昼はカフェ?で夜は居酒屋とかそういう感じなのか??」と店主に訊いてみた
店主は「本業は親が残した昼間のカフェなんだが夜はカフェできないから居酒屋をやってる訳だ」とあっさり説明してくれた
そうなのか…昼間のカフェってメイド・執事喫茶とかいうジャンルで商売をし夜は居酒屋として働くということか
だが制服はまだ執事服とメイド服だけしか支給されていないのだが居酒屋もこれでやるとは限らないよな…??
「ちなみになんだが店主、夜の居酒屋はこの制服じゃないよな?」と質問すると「そうだな。夜は居酒屋用のTシャツとズボンが支給されるぞ、それはカフェがおわった後に皆に支給するから宜しく」と言った
なるほど…まだ支給されないのか昼間のカフェ、頑張ろう。
そして時刻は朝10時半、店主が外に居た俺とササメに声をかけ「開店時間だ、暖簾と看板を出せ」と支持してきたので「了解っす!」「わかりました!」とそれぞれ返事をし俺は看板をササメは暖簾を出した
直後、近くにいたのか直ぐに獣姿の客が群がり店内へと入って来た
店内に居たスズコとレイカはびっくりし「えっ?もう開店時間なの?すごい数…」
「そうね、すごい数ね。頑張らないと」
とそれぞれ言っていると入ったか客は皆、席につきその中の1人が手を上げてスズコたちに声をかけた
「君ら昨日の子たちだね!夜だけじゃなくて昼間のカフェも出るんだ、注文いいかな?」とニコッと笑いながら言った
スズコは相変わらずレイカの肩に居たがパタパタっとゆっくり羽ばたきながら手を上げた客の机へ一目散に飛んで行った
レイカも2番目に手を上げた客の所へ注文を取りに行った
そして外にいたサトルたちも店内に戻ってきた為、他の客に声をかけられ注文を取りに行った
店内はかなり混み合い4人は忙しなく働く。雰囲気は昨日の居酒屋とは違い明るくて素敵なカフェになっていた
小さな照明が付いてるのと付いてないのとでは雰囲気がまた違うということだな
さて昼間のカフェが終わり夜の居酒屋へと変わる間の休憩時間、その前に13時頃に食べた賄いはめちゃくちゃ美味かった
夜の賄いも楽しみだ。などと考えているとササメ達が店主の元へと集まり何やら会話をしていた
俺は近づき「どうしたんだ?何か相談ごとか?」と訊くと「今日の夜は初めてのクエストをしに行こうかと思って店長に相談してたとこなんだ」とササメが説明した
「クエスト?休憩時間にか?」と問うと「違うよ、夜のはお休みして本格的に最初の簡単なクエストをしようってレイカちゃんたちとも話してたんだ」と笑いながら言った
「なるほど…わかった、とりあえず別のやつらを招集して店は開けるから初クエストやってこい。頑張れよ」と店主も応援してくれた
かくしてこれから役場に行きクエストを探すのだが本当にこんな時間で簡単なクエストなどあるのだろうか…?
「とりあえず部屋に戻って着替えて行こう!いく頃にはサトルが知ってるボクらの姿になってるだろうからやり易いでしょ?」と気を使ってくれたらしい。
とても有難い。
「んじゃ、早速だが戻ろう」とスズコたちにも声をかけて店主に挨拶をして4人は店を後にした
それぞれが部屋に戻ると姿は獣人に戻っていて着ていた服もサイズに合わせて縮んでいた
「この格好はキミに見られるのは二回目だね、んじゃ早速だけど戦闘服に着替えよう。」と脱いでクローゼットの中にある戦闘服を出して着ている執事服を脱ぎ始めた
俺はいきなりだった為か恥じらい手を顔の前にやり顔を隠した
「サトルも早くしないとクエスト無くなるよ?」と着替えを催促する
「わかったよ…着替えるから待ってくれ」恥ずかしがる顔のまま俺も着てきた戦闘服に着替える
一方、スズコとレイカも四苦八苦しながらも着てきた戦闘服に着替え4人は部屋を出て再び合流した
時刻は16時頃、空はたいようが傾き始め夕焼けになっていた
宿屋の階段を下がり直ぐ役場へと向かう
しばらく道のりを真っ直ぐ行くと役場に着いた
俺たちは役場に入りクエストの掲示板へ
掲示板にはランクS~Eまでの冒険者向けに分けられて張り出されていた
俺たちはまだ初心者の為か1番、低いランクのEと記載された貼り紙を確認
するとレイカが「みんな、これなんかどう?1番、簡単なクエスト見つけたわよ」と誇らしげな態度で指を指した
それは"野生の魔獣の退治および懐柔"と書いてあった
俺はこれを見て『何処が簡単なんだよ。どちらも最初から出来たらすごい』と考えていたのだがうっかり声に出しそうになった、でも堪えた
しかしササメは「これは確かに簡単なやつだね」とレイカが示した張り紙の内容を見て改めて言った
『ガグガラは弱いし初心者にもオススメなんですよ!Eランクの冒険者さんが最初に選ぶクエストです』と受付の女性も言っていた
「そんなに簡単なら俺も出来るのだろ?
頑張ってみるから、このクエスト受けてくれないか?」とレイカにお願いする
するとレイカは少し恥ずかしそうな顔をして照れながら「わかったから近寄らないで」と慌てた様子で顔を隠した
なんで恥ずかしがるんだ?意味わからん
とりあえずリーダーであるレイカにお願いしてみたが、やはりだめなのか…
するとレイカの隣にいたスズコが笑いながら「多分、OKだと思うよ?レイカちゃん何故がずっと恥ずかしがってるけど気にしないであげて」と言ってきた
俺は「わかった。とりあえずレイカに代わってクエスト受ける為に受付に行ってくれるか?」とスズコに優しく言うとスズコも何故か照れた様子で頷き無言で受けるクエストの用紙を取り受付まで小走りで受付しに行った
その様子を傍で見ていたササメも何故か恥ずかしそうにしていて顔が赤い。
理由は俺がレイカとスズコにいつもとは違う態度で接していたということだろう
普段は大雑把で無駄を嫌う面倒くさがりな性格の俺は女子にも優しくなんてしない
この世界を生き延びる為には何かと猫を被らなくてはならないと思っただけだ。
しばらくして何かを持って小走りで帰ってきたスズコの手には道具が沢山あった
「スズコ、この道具はどうしたんだ?
クエスト受けただけで貰えるのか?」と頭に?マークを浮かべなら質問する
スズコは「これはクエストを初めて受けた人たちに配ってるキャンペーンの物みたいです。
何でも初めてだとお金もなくてサポート道具を買えなかったりするかららしいですよ」と説明してくれた
いつのまにか近くに来ていたレイカは恥ずかしがっていた態度からいつもの態度に戻っていて「要はこれでクリアしやすくしてくれてるってことね、有難いわ」とドヤ顔で言う
ササメも「これだけ回復グッズや初期の武具が揃ってるならクエストはクリアしやすいよね!嬉しいキャンペーンだね」と満面の笑みで言った
「そうだな!それじゃ、早速だが武具を選んで装備してクエスト行くか」
それぞれ貰った武具を全身に装備して俺たちは、ようやく最初のクエストへ
ちなみにクエストの場所は役場を出てしばらくあるくと俺たちがこの街に来た時に通ってきた砂漠だった。
砂漠に出るという魔獣"ガグガラ"
ボディは全身を骨が覆っているがちゃんと心臓や肺など器官は存在している不思議な生き物だ
クエストのビラに描いてあった絵と同じやつが現在、俺たちの目の前に3~5体はいる。それぞれが配置につき武器を敵に向けて構える
それと同時に敵も動き始め俺たちに向かって来る
武器を構えたもののコイツらは魔術や魔法が弱点らしい…
だから近接戦をしたところで切ってもまた体が再生するからだ
とりあえず魔術と魔法を使えるレイカとスズコに任せ、俺たちも僅かながら使える初期魔法とやらを唱え放つ準備をした
俺は構えた剣を鞘にしまい右手と掌を敵に向け冒険に出る前に予めササメに教えてもらい魔法の唱え方と出し方を実践した
「我は誓う。聖なる炎よ…我が力となれ!ファイアーブロー!!!」と言うと同時に掌から中くらいの火の玉が現れ火のビームを放った
同時にササメも左手と掌を敵に向けて「我は誓う、聖なる緑よ…我の力となれ!リーフブロー!!!」
すると俺とササメが向けていた敵1体づつ倒れ消えるのと同時に緑色の宝石のようなキラキラとアイテムを落とす
前方にいた2人はレイカが装備品である杖を使い魔術を唱えスズコが装備品である魔導書を使い魔法を唱える
後方にいる俺たちは彼女らを援護する為に先に技を打ちまくり最後に出てくるボスを彼女らの魔術と魔法で倒すという作戦を実行中
今のところは順調に進んでいる。
しかしいつ作戦が失敗するか分からない為か俺たちは必死になって初期魔法を打ちまくっていた
そして周りにいた雑魚どもはいなくなりアイテムは何故か自動で俺たちのカバンへと吸い込まれていて落ちていた場所には何にも無くなると奥の方からデカいガクガラが登場…
見た目は巨大なサイの形をした骨だ
「やっとボスが来たか。レイカたちも魔術と魔法が打てそうだな」と俺が言うとササメはレイカたちに目配せした
それを見た2人は同時に魔術と魔法を敵のボスに向けて解き放った!!!
「業火の炎に燃え裂かれ!ゴッドファイアー!!!」とレイカが叫び
「冷たい氷に突き抜かれろ!アイスストリーム!!!」とスズコが叫んだ
レイカは装備品の杖から魔法陣が出てその魔法陣から強い力と炎が出てきてスズコは左手に持っている魔導書から強い力と青い光に包まれて光って開いてる様子が伺えるがスズコの場合は魔法はかざした掌に魔法陣が現れ、その魔法陣から放たれてるようだった
レイカとスズコが同時に技を出したのでかなり強力だったようで敵のボスは一撃で倒れ消えるのと同時に重厚な宝箱が現れた
宝箱を4人で開けて見ると、そこには4人分の新しい武器と装備品(鎧など)があり初めてのクエストは無事に終わった
「しかし日が昇る前にクエストが無事に終わって良かったね~」と呑気な顔でササメが俺に言ってきたがスズコが「本当にそうですよ、作戦が上手くいって」と可愛らしく微笑む
するとレイカも照れながら「あんたら2人が時間を稼いでくれたから私らが魔術と魔法を出すことが出来たんだから感謝してるわ、ありがとう。」と言ったので俺は2人に笑いかけ「そうだな!サンキュー」と言った
そして俺たちは無事に街に戻ってきた
宿舎へ戻る前にクエストの報告をしに役場へと向かう
役場に着くと直ぐに受付カウンターに行き役場の人に報告をした
受付をしたのは最初に登録手続きした際にいた男の人だった
彼が「よう、兄ちゃんたち!無事に初クエスト終わったのか、ご苦労さん!これが今回の報酬だ。金と貴重なアイテムだぞ、良かったな」
こうして受付をした俺たちは報酬とアイテムを貰い宿舎へと向かった
しばらくして宿舎に戻って楽な格好に着替えると下の店はまだ営業してるらしい
だから打ち上げも兼ねて初クエスト報酬の金で4人は飲み食いしようと考えた
そしてそれぞれが着替え終わって外で合流すると下の店へと向かった
店に4人で入ると待ってました!とばかりに彼らを店主と客が「兄ちゃんたち、おかえりなさい!初クエスト達成したんだって?
おめでとう!!!
今日は店主の俺の奢りだ、パーッと飲み食いしろよ~」と言いニカッと笑う
それに釣られて俺たちも笑顔を交し空いている用意されていたような席に4人は向かい合って座り、店主から運ばれたデカいジョッキに入った飲み物と作りたての大皿メニューを2・3個ほど置かれ箸と小皿も渡され4人は好きなものから取り分け口へと運んだ
「主役たちが帰還したところでパーティの始まりだ!」と店主が言い周りにいた客どもが「おぉー!!!!」と拳を上にあげて叫んだ
すると楽しい宴が始まったのだった
宴が始まり夜が明ける前に俺たちは打ち上げを切り上げ、それぞれの部屋へと戻り男子組と女子組で反省会をし始めた
男子組はというとサトルとササメがお互いに向かい合って自分のベッドに腰掛けていた
「今日は初めてのクエストだったけど何とかなったね~
保有スキルを出撃前に先ず皆で確認したのも良かったと思う。
それぞれの属性にあった防具を討伐クエストの報酬として貰えたのも先行き良くて受けて良かったかなってボクは思ってるけどサトルは?」と問いかける
それに気がついたサトルは考える人のポーズをしながら「俺もササメと同じだ。
討伐クエストも初心者向けで簡単なものだったし初めてにしては無傷で討伐できたのは優秀だよな~
とりあえずいいスタートになったと思う」とだけ言った
一方、女子組はというとこちらはレイカが椅子を反対に座り腕を背中の背もたれの所に乗っけている
スズコは自分のベッドの上に女の子座りで座っていた
「今日の討伐クエストだけど本当に簡単すぎたわね、でも近接攻撃がそこまで効かない敵だったから初期スキルや保有してる魔術・魔法を事前に確認したのはGoodだったわ。
ササメたちが無駄な近接攻撃をして時間を稼いでくれたおかげでアタシたちは集中して唱えることが出来てタイミング良く技を繰り出せてボスも倒せたのよ。
それで無傷でクエストをクリアできたし何よりも討伐報酬がアタシたち4人分の新しい武器と装備品で、それぞれ属性にあった物が貰えたから幸先よいスタートね」と言った
「私もレイカちゃんと同じ。
本当に簡単だったけど最初のクエストとしていい討伐クエストだったと思う。
サトルたちが囮になってくれたから私たちが無傷で呪文を唱えられたしボスを一撃で倒せたのも2人のおかげだもんね」とスズコは少し苦笑いしながら言った
こうして最初の討伐クエストの挑戦は無事に幕を閉じたのであった
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