第2話 奇妙な世界と不思議な住人たち~拠点となる場所の詮索vol.2拠点の街-City of base-+本役場(役所)とその周辺~

街に入り目に付いたのは高い壁と真ん中に佇む立派なお城があった


だが俺たちの目的は先ず"役所(本役場)に行くというのがある


寄り道していたら時間がなくなってしまう…空が暗いからなのか外壁や建物にはオシャレな街灯に火が灯っていた


それを見ていた俺は「綺麗だな…」と零していたようでササメが「綺麗でしょ~」と返事が返ってきた


しばらく道なりに歩くと見覚えのある顔がカフェのような居酒屋のような場所で何か飲み食いしていた


「あっ!ササメ~、サトル~、こっち!」とレイカが手を振りながら言った


「遅いですよ~、2人とも」


「悪い…門番に色々と聞かれてさ」

俺がそう言うと


「やっぱり人間って珍しいからなのかしら?」とスズコが言った


「そんなに珍しいのか?」


「人間は何百年・何千年・何万年に1度、この世界に転生してくるかどうか分からない人種なのよ。アンタは凄く貴重ってこと」


レイカが説明してくれた


「そうなのか…」

と顎に手を当てて考えていると


「ごちそうさま。んじゃ、食べ終わったし行きましょ」とレイカ


「代金は?」と俺が言うと


スズコが「こちらの食事処は前払いなのです」と説明してくれた


そういう制度ってこっちの世界にもあるんだなぁ…などと考えていたら


ササメが「皆さん、早く行きましょう!役所が閉まってしまいます」と言われレイカとスズコも「そうだわ、忘れてた。」


「そうですね…行きましょう!」


そして店を後にした俺たちは数メートル先の道を左に曲がり武器屋さんの右横の道を通りそのまま数メートル歩くと城よりも小さいがお店や家よりも大きく立派な佇まいの建物があった


入口の看板には"カルトラス役場"と書かれていた


「サトルさん、着きましたよ。

ここが本役場と呼ばれている役場です。

早速、中にはいりましょう!」


俺の背中を押して入るのを促した


レイカとスズコはまたもや先に行ってしまったようで姿がなかった…


役場の中に入ると受付の狼の耳を持つ獣人がレイカと話していた


スズコは背が小さいので受付から顔が見えるくらいなのでただ一緒に立っていた


「あんたたち、また遅いわよ。早く来なさい」とレイカに言われ小走りする俺ら


「あれ?見ない顔ですね。もしかして新規登録の方ですか?」と受付のお兄さんが俺を見て言ってきた


隣にいたササメが俺の肩を叩き

「はい。そうなんですよ、彼が新しく登録する冒険者の人で…」と言った


すると受付のお兄さんは

「ではこちらに名前と出身地、人種など分かる範囲でお書き下さい」

と四角くて茶色い紙と先の尖っているペンを渡された


だが俺はこっちの字はわからん。と思いながら普通に日本語を書くと不思議なことに自動で俺が書いた字がこっちの世界の文字になっていた


それを見て俺は凄い本当にゲームのなかに居るみたいだ…


だけど本物の異世界ってすごいな!と関心していると


「書けたみたいだから提出しよ?」

とササメが言ってきたので

「わかった。」と言って受付のお兄さんに借りたペンと一緒に紙を渡した


すると「キミ、出身地が"日本"と書いてあるが"異世界"ってどういうことだい?

もしかして"転生者"なのか??」


また言われた。なんでみんな俺が異世界からの転生者だって分かるんだ…?


やっぱり珍しいからなのか??と考えていた


ササメが「そうなんです。彼は異世界からの転生者でココ最近は無かったんですが急に来たもので…


珍しいしやっぱり無理ですかね」と苦笑いしながら言った


「尚更、大歓迎だよ!異世界からの転生者なら人種が"人間"なの納得だし。


とりあえず君たちのパーティに入れるんだろ?だったら安心じゃないか」と急に歓迎ムードになった


「ありがとうございます!

良かったね、ボクらと一緒だよ~」と満面の笑みで俺に抱きつき言った


「やめてくれ…スズコたちが見てんぞ」

と言うと「ごめん…つい」と舌を出しててへぺろポーズ


それを見ていたスズコが顔を真っ赤にして小さく「これはこれで良き。ご馳走様でした」と手を合わせ拝んだ


レイカはというと俺たちのことを呆れたような目で見ていた


そしてお兄さんは紙を持って裏方の方へと消えて行った


しばらくして先程のお兄さんが戻ってくると手には何か持っていた。


「はい、これ。キミの通行証ね」

と木で出来た紐が通してある縦に長い物を渡してきた


受け取った俺は、これが通行証なのか。

やっぱりゲーム出てくるアイテムに似てる。とにかくこれでこの街に出入りは出来る訳だ。良かった。と安心していると


「あとこれがキミの冒険者登録証。

さっき紙に色々と書いてもらっただろ?

あれから作ったからこの紙は無くさないようにしろよ~」と紙も渡された


俺が「サンキュ、お兄さん。」と言うと

「おう!頑張んなよ!」とニカッと笑い返してくれた


隣にいたササメが

「僕達、この街を拠点にするんだけど何処かいい宿屋とかない?」


受付のお兄さんに聞いたが「すまん。そこまでは俺も面倒を見切れなくてな…申し訳ない。」と苦笑いした


だがササメがめげずに「そうですか…でしたら紹介してくれる人くらいはいますよね!教えてください」と聞いたので「わかった。わかる人を呼んでくるから待っててくれる?」とまた裏方の方へと消えて行った


ササメがレイカとスズコに

「ボクらがこれから住む場所はちゃんと話し合って決めよう。サトルも含めて」と言った


俺は「もちろん。俺も一緒に決めるさ」

と言うとレイカが「部屋は2部屋ね。私とスズコで相部屋、ササメとサトルで相部屋って感じでいいかしら?」と提案した


ササメが「まだ宿屋を教えてもらうだけなんだから違うでしょ」と言うと


スズコが「レイカちゃん。相部屋の部屋が2部屋も空いてなかったらどうするの?」と言ってきた


「そうね…他にも考えなくちゃ」と慌てて言い直した


再び受付のお兄さんが誰かを連れて戻ってきた


隣にいたのは華奢で背の高い馬の耳を持つ獣人で見た目は女性でかなりの美人だった


「宿屋とか探してるって聞いたから私がオススメの場所、今から案内しますよ」と言ってきたので俺たちは揃って「「「「お願いします」」」」と頭を下げて言った


すると「わかりました。ではこれから見て廻るので役場を出ましょう」と受付から出てきたので改めて見るとうろを向いた時、馬のしっぽが生えていた。


やはりこの世界は獣人の世界なのだろう


そんなこと考えているとスズコに服を掴まれて「さっきからずっと考え事してて大丈夫ですか…?サトルさん。なんか変ですよ?」と涙目になりながら心配してくれているのを見て


頭を撫でながら「心配してくれてありがとう。大丈夫だよ」と言うと笑顔になり「良かったです!サトルさんが大丈夫で」と言ったのでちょっと照れてしまった


レイカが「ほら!2人とも行くわよ」

ササメが「お2人も早く行きましょう」

と言ってきたので


「わかった、今いくよ。」とスズコをつれて2人の元へと駆け寄り4人は案内人のお姉さんと共に新たな拠点となる場所を探すことに…


役場を出てしばらくすると奥の方へと歩いて行き何件かのお店を横目に見ながらひたすら歩いていた


「お姉さん、まだ着かないんですか?」とササメが聞くと「もう少しで着きますよ。オススメの宿屋」と言うので仕方なく4人は付いて行くことにした


するとお姉さんが立ち止まり1件の古びた外装の家が現れた


そこの看板には"ゴドラス宿屋&食事処"と書いてあり下には居酒屋のような店内がありお姉さんはそっちに入って行き何やら交渉し始めたようだ


数分後、出てきたお姉さんから

「空き部屋の見学していいって言われたから早速、見てみましょう!」

と俺たちを店の裏口にある2階へ行く階段へと案内した


階段もかなりボロボロだが修復したあとがありまだ大丈夫そうだなとも思った


だが部屋にあがると何故だが綺麗で俺たちはびっくりした…


あの外装で内装はかなりの綺麗さで家具はベットが2つ付いていてちゃんとトイレも風呂も別々に完備してある。


お姉さんがもう1部屋あるらしくそっちも見せてもらったがやはり内装は綺麗で同じ造りをしていた


奇跡的に2部屋も空いてるしここでいいのではないかと思っていた


スズコとレイカに相談すると

「そうね…内装はめっちゃ綺麗だし2部屋も空いてるしツイてるけど門まで遠いのが難点ね」とレイカが言ったが


スズコが「確かに役場からも少し距離はありますが内装も綺麗ですし問題ないのでは?」と言っていて


なるほど…確かにそうだよな。


だけど今回はどうするか考えてる余裕あるのか…?などと考えていると


ササメに「2部屋あるならここにしようよ。

役場と門から遠いのなら家賃めっちゃ安いかもだし」と無邪気な笑顔で言うと


「わかったわ。ササメが言うなら仕方ないわね」とレイカが諦め顔で言い案内人のお姉さんに「店主の方と話せますか?」と交渉すると「もちろんです!では呼んできます」と言って俺たちの傍を離れて店の方へと向かった


しばらくして案内人のお姉さんが豚の耳としっぽがある中年くらいのおじさんが白い厨房服に身を包んだ獣人を連れてきた


「私がここの店主だ。部屋が気に入ったのなら貸すが条件としてうちの店を手伝ってもらう。賃金も出す。どうだ?」と言われ俺たちは頷き合い了承し返事をする


すると店主が「これから宜しく頼む。男どもはキッチンで女はホールで接客を頼む。制服も貸すから今から働いてもらえるか?」と言ってきた


「大丈夫です。今からでも働きます!」とササメが言うと「そうか有難い。助かった!頼むぞ少年」とニカッと笑い背を向けて店の方へと戻って行った


しばらくして俺たちの制服を持って戻ってきた店主は俺とササメに厨房の制服とホールの制服(男性用)どちらも渡してきて「人手が足りない時は男どももホールを頼む。」と言いレイカたちには女用の制服を手渡した


それは紛れもなく完全にメイド服だった

俺も自分がもらった服を見てコック服と執事服だな…


喫茶店じゃないのにホールの服は執事とメイドってどんな萌えゲームなんだよ…と考えていると店主が「部屋で着替えたら1Fの店に来てくれ。入口は裏口があるから階段を下がれば扉がある、そこから来てくれ。」と言い残し店へと戻って行った


「とりあえず、これで住む場所と働く場所は見つかったしあとは休日に行けるクエストとか探そう!」とササメがやけに嬉しそうに話す


「私たちもようやく冒険者の端くれになれるのね!仕事がんばらなくちゃ」とレイカも素直な感情を露にしていた


ササメ・サトル、スズコ・レイカの組み合わせでそれぞれの部屋に戻り着替えを始めた


俺は無意識に来た時は店も忙しそうだったからという理由でホールの衣装を着ようとしていた


ササメも同じ考えだったようで同じ服に着替えていたようだ


「サトルも"執事服"にしたんだね!カッコイイ!」急にササメがサトルに抱きついて言ってきた


俺は「ありがとう…照れるじゃん」と顔を赤らめながらササメに抱きつかれてとても恥ずかしくなる


一方、女子はというとスズコは躊躇いもなく"メイド服"をテキパキと着る


レイカは可愛い服は苦手なようでフリフリが付いた服は着ないから躊躇いがあるらしい…

だがスズコに促され着る


「わたし似合わないから…見ないで」

恥ずかしがるレイカをスズコは満面の笑みで「大丈夫!かわいいよ~。食べちゃいたいくらい」と周りにキラキラマークとハートマークが共存した背景が見えそうな反応をした


4人が着替え終わり荷物を部屋に置いて部屋から出てきた


「あっ!スズコ、レイカちゃん?!その服すごい似合ってる!かわいい~」と鉢合わせた瞬間にササメがはしゃぎながら言う


だがスズコとレイカは俺の方を見て恥ずかしがりながら反応を待っていた


俺は「2人ともすげーかわいい!メイド服すごく似合ってる」と少し照れながら言ってみた


するとスズコは少し照れくさそうにして「あ、ありがとう…嬉しい」と顔を赤らめて言った


レイカも「に、似合ってる…当然よ!?私は可愛いんだもの。」とツンデレセリフを吐きながら顔を赤らめ言った


そして執事服の俺らを見た2人からは「あんたたちも"執事服"似合ってんじゃないの。か、カッコイイわよ、サトル」とレイカが珍しく照れた表情で言う


「レイカちゃんのおっしゃる通り2人とも似合っててとてもカッコイイです!」とまたもや照れながら言った


だがこんな事をしている場合ではない…これから食費と家賃分を少しでも稼がなくてはならないからだ


「よし!そろそろ1Fのお店に行こう。店主と客が待ってるぞ」と俺は真剣な顔をしながら言うと3人は頷き4人は順番に1Fへ

いざバイト先へ赴こうぞ!


数分もしないで貸家から店に来れた。

俺とササメが先に入る


すると店主より先に店にいた客が気づき「兄ちゃんたち見ない顔だねぇー

もしかして新入りかい?」と話しかけてきた


俺は「はい!今日からこちらでお世話になります。サトルです」と雅な動きで我が国の"執事"と同じ作法を見様見真似でしてみたが反応は薄かった


続いて「ボクも同じく今日からお世話になります。ササメと申します」と兵隊さんがする敬礼をしてから頭を下げて挨拶した


そして続けて後ろにいたスズコとレイカが入ってきて「皆様、はじめまして。これからお世話になります、スズコです。宜しくお願いします」と笑顔とともにスカートの裾を両方の指で摘み足はクロスさせて浅めにお辞儀をした


「アタシの名前はレイカ。今日からお世話になるわ、宜しく」と上から目線な態度で挨拶した


すると客たちは何故か騒がしくなり盛り上がったかのような雰囲気を出した


見た目は喫茶店じゃないのに中身は執事&メイド喫茶みたいな感じの居酒屋なんだな~と思ったサトルであった…………


厨房にいた店主が騒がしいのを聴いてホールに出てきた


すると俺たちが店に来た事を知りニカッと笑いながら「ようきたな~!ようこそピッグスダリア喫茶&居酒屋へ」と言ってきた


店名か…まさかの喫茶&居酒屋とは。

ハイブリッドな店だな~


とりあえず俺たちは忙しなく働いた。


こうして家賃と冒険する為のお金をここで稼ぐこととなったのだった

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