第4話「イケメン! ゲットだぜ☆」
「
声が聞こえた。
優しい、暖かで、心温まるような……イケボ声優さんもドびっくりな程の超ハイパーイケメンボイスだ。
何て言うんだろう耳が幸せ。
だけどその言葉は私の知っている言葉とは違った。
明らかに日本語ではないのだ。
何ていうかこう……。
英語っぽい単語を無理やり和製英語風な発音にして、時々中国風な音が入り混じる感じで喋る、そんな珍妙な言語。
なのに脳裏に意味が浮かぶ。
言ってる内容が理解できる。
そんな不思議だけど気持ち悪い感覚を味わいながら、私は目を覚ます。
目と鼻の先に件の勇者様のお顔様があった。
……うわっ、めっさイケメンなんすけど。
眼前に突如現れたそのお顔様にどぎまぎさせられる。
それはもうなんだ。今時のライトなノベルなら“美形”の一言で通せてしまえそうなほどの整ったおフェイス様。
年は多分、私よりもちょい下くらいかな? 十八歳とか二十歳とか。若いピチピチな透き通るような白いお肌様。
ってかすっごい綺麗なまつ毛。
瞳なんてキラキラと擬音が発せられそうなくらいに輝いちゃってるし、なによりその端正な目鼻立ちよ。
やや十代にも見られそうな童顔ながら、ジョニー○ップだとかブラッド●ットなんてレベルじゃあ断じてない。もっと美しいものの片鱗を味わされたって言うか、私も何言ってるのかさっぱりわからないけれど、例えるならばそう、ディカ○リオが裸足で逃げ出し、GAKT○様でさえ土下座してひれ伏すレベル。
どこぞの量産型整形アイドルどもなんて勝手に記憶なくしてソナタしてろって感じ。
比べ物にすらなりゃしない。
そんなお顔様が目と鼻の先でリアルに喋って息してんすよ。
そりゃあもう視線だけで孕まされるわ!
正直、危うくそれだけで意識が飛びそうになるところだったよ。
無残にもアヘ顔Wピースを晒さずにすんだ自分の胆力に万歳。
つかその肌のきめ細やかさを半分だけでもいいから私によこせっ!
ぶっちゃけ気分は「今夜のオカズとったどーっ!」って感じ。
――とまぁ無駄な描写はここらへんにして。
長くて気まずい沈黙の後、開口一番にコスプレみたいな白銀の
「
差し伸べられた手に一瞬躊躇しながらも、それを握って起き上がる、いや起き上がろうとした……だがしかし!
――あ、腰が抜けてる。
情けないことこの上ない。
ってか手! その見目麗しい童顔には似合わないゴツゴツと使い込まれた手。これが剣ダコってやつ?
……こんな手で責められたら日にゃもう……。
ふぅ……。
ってナニ考えてんだ、自重しろっ!
いきなり発情してる自分にびっくりだよ。魅了系の魔法とか使ってませんよね?
「え、えっと……あ、あ、ああ、アリガト・ゴザマ~ス」
感謝の言葉をかけようとしたのだが、意図せずたどたどしい言葉が出てしまう。
しかも声が裏返った!
それ以前に私ゃ何人だ!
“気品正しい麗しの御令嬢っぽくして第一印象をよくしよう作戦”早くも大失敗。
なんかもう顔が真っ赤だ。
ってか大体ナニ意識してんだ私は。
……こんなに惚れっぽかったか? 私。
まだ会ったばかりだっていうのに……これが俗に言う一目ぼれって奴だろうか?
遺伝子がこいつを求めていると本能が訴えかけてくるこの感じ……。
恐るべし、
きっとつり橋効果って奴に違いない。
そんな風にテンパってる私を――。
「
美しい勇者たまは力強く起こしてくれた訳ですよ。
その後は、まぁお約束。
そのたくましい胸板さまにどっし~ん、からの、ときめきフォーチュンラ~ブ。
もう頭の中は真っ白小宇宙で六道輪廻で天舞宝輪っすよ。
えぇい畜生界でもどこへでも連れて行きやがれってんだ、どちくしょ~。
ぶっちゃけ軽く意識が飛んだ。ふんわり夢心地♪
――で、結局その後どうなったかっていうと。
あの黒い奴にやられたのか、会社かどこかで知らずに切ったのかわからないけど、なんか膝に出来てた謎の傷を魔法で癒してもらって。
いや、回復魔法ってやつ何ですかね。すげ~。
そのままお姫様抱っこでお家につれて帰ってもらっちゃいました。てへ♪
イケメン! ゲットだぜ☆
そんな訳で、次回はイケメソ様をお持ち帰りした後の物語をお送りいたしますぞ。
ナニが待っているのやら!
このままフォーリンラブって18禁な話になってしまうのか!? 次回へ続く!
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