第2話 7月15日

今日はとても怖いことがありました。


プールクランが村にやってきたのです。


この村にはめったに来ないのですが、いままでにも何度かプールクランはやってきました。


僕たちのように生き残っている人間がいないかを調査しているのです。


僕とパパが食べ物を探していると、パパが持っている無線受信機がピーピーと鳴りました。


パパが村のまわりののあちこちに、プールクランに見つからないように仕掛けている警報器が作動したのです。


「ヒサヒコ、地下室に急げ」


パパは僕の手を引いて走り出しました。


秘密の地下室は森の中にあります。


地下室の入り口は木の葉で隠しているので見つかることはありません。


ここにはたくさんの食糧がありますので、何日でも隠れていることが出来るのです。


もしもプールクランと戦わなければならない場合のために、猟銃も置いてあります。



地下室に入るとパパはモニターのスイッチを入れました。


村のあちこちに仕掛けてある超小型カメラの映像です。マイクもあるので音も聞こえます。


しばらく見ていると、村のあちこち家をのぞき込んでいる、人間の男女のような姿が6つほど見えました。


「パパ、もしかしたら生き残っている人間かもしれないね」


パパは厳しい顔をしてモニターを見つめながら、スピーカーのボリュームを上げました。


「人間に擬態しているプールクランかもしれない。よく耳を澄ませるんだ」


プールクランは大きなナメクジのような姿をしていますが、体の形を自由に変えることができるのです。


そのため人間そっくりに化けることができます。これを擬態といいます。


プールクランが地球に攻めて来た時には、すでに地球上にはたくさんの擬態したプールクランがいたので、人間は負けてしまったのです。


人間の姿をしたそれらは何か気持ち悪いガーガーした声を出していました。


やはりプールクランでした。


プールクランは人間に化けても人間の言葉を話せません。


ガーガーした気持ち悪い声を出して会話するのです。



1時間ほどするとプールクランたちの姿は見えなくなりました。


パパはすべてのカメラの映像を注意深く確認してモニターのスイッチを切りました。


「もう大丈夫だ。プールクランは立ち去ったようだ」


僕たちは家に帰りました。


いつものように晩ご飯を食べて、お風呂に入りました。


この日記を書き終わったら、パパといっしょにおふとんに入ります。

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