アレンの企みを知る‼

妻や子を守れぬ王が一国の民を

守れるものか‼


ああーああああ━━━━━

レイモンドの悲惨な嘆きは、

国中を祈りの日々にした。


民の者、子供から大人迄城に

向かって祈りを捧げた。

「美桜様が、ご無事であられます

様に。」


国中の人々が美桜が月の乙女と、

既に知っていた。

ルチアマンダ国の民も次々に

やって来ては感謝と祈りを捧げた。

それは世界中の祈りでもあった。


しかしレイモンドの、

精神も弱り自分を責め続けていた。

美桜が苦しんでいる時に

のうのうと過ごしていた自分を

許せなくなっていた。


子供達が可哀想で堪らない。

美桜にソックリだったから

可愛らしいはずだ。

俺の、子供達‼ 俺の家族‼

死ぬ時は、父も一緒だ‼


レイモンドは、胸に短刀を

忍ばせる様になった。

美桜が息を引き取る時は、

自分も死ぬ時だと決めていた。

その日からレイモンドは、食事

を全く取らなくなった。


それと平行してアレンの裁判が

始まった。

レイモンドに魔女リザの調合した

強烈な、惚れ薬を飲ませ

エミリアとの既成事実を作らせ

王を殺害し妃であるレイモンドの

母親ミュウリアと、婚姻するつもりでいたと言う。


アレンは、否定したが言い逃れ

出来ない証拠が見つかった。


エミリアと、交わした契約書に

血判が押されていた。

鑑定の結果は、間違いなくアレンの

物だった。


レイモンドは、エミリアと世界を

征服し、アレンは、

ザブラルグルブ国の王になるはず

だった。


レイモンドから公開処刑の

申し立てがあった。


死刑執行制度は、奇しくも

アレンの提案した案件だった。


「まさか自分が死刑囚の一号とは

身に余る光栄だろう。」

レイモンドは、冷ややかに笑い

アレンを見た‼


「死刑は、王太子の願いであり

揺るがない!

国を戦に狩り立てようと企んだ

罪深さは、余りある!

にも増して我妻となる美桜に

耐え難い苦しみを与え

又我が子も死へと追いやろうとした!


反逆者そのものの

行為である。

全く持って許すことは無い‼


引き裂きの刑を希望する。

しかし我が国には死刑制度が

無い為、反逆者のみの制度と、

する。

テレビでレイモンドは、アレン

の死刑について、国民に説明した。


あくまでも!反逆者としての

処罰‼


裁判の結果、縛り首と、刑が

決まった。

レイモンドの怒りは底が無く

収まるものでは無かった。



ルチアマンダ国の船の技術も

言い出したのはアレンだった。


あのン千万のソファーもエミリア

の入れ知恵でアレンが王に

提案した物だった。


「アレも計画の内だったのか?

随分前から発注されていた。」


レイモンドは、アレンに面会した

時、アレンをじっと見て

「やり残した事をヤレ」

そう一言投げ掛けた。


アレンも長い間レイモンドと、

過ごして来たが、今迄聞いた

事の無い氷の様な冷えた声に

動揺していた。


「死刑は、裁判と言うより

決定事項だ、父王の命を狙って

いた事は母には言って

おらぬ!

父には話さねば死刑の許可が

降りないから仕方無く話した。

出来れば伝えたく無かった。


お前は我が家族を崩壊させようと

していたのだ‼

何も知らない母は、今もお前の

心配をしておる。

罪を軽くして欲しいと王に

懇願する日々を送っておるのだ‼


アレン、両親への裏切りお前が

死んでも償えるものでは無いぞ!


兄と、慕いつつ長年共にして来た

その歳月すら偽物と、捨てさせ

られたのだ‼

俺の怒りと苦しみは、いかばかりか

このぉ━┅┅┅裏切り者め‼」


黄色い銀杏の落ち葉がハラハラと、

風に吹かれて黄色い雪の様に

舞う。

つられて楓や、落葉樹も🍁🍁🍂🍂

ハラハラと舞い落ちる。


もう少し経てば色とりどりの

葉がこの道を埋め尽くすのだろう。

山肌も赤く黄色く萌える頃

アレンと、過ごした幼少期が

顔をだす。


ドングリを拾い豆鉄砲で遊んだ

剣を取り生きる事を教えてくれた。


馬で良く遠出に誘われた。

考えてみれば、アレンと過ごした

日々は危険も隣り合わせだった。

父を殺し俺を殺し

母親を妻にと、願って来たのか‼


アレンと過した日々は

全部嘘物語だったと、レイモンドは、

🍂落ち葉に顔を埋め

人知れず泣いていた。




美桜は、夢の中で遠い昔にいて

三百年前の家族と、暮らしていた。

それは懐かしい両親との再開で

あった。


「お父様、なんでもご存知なのね、

釣りもお上手‼」


「シャロン帰ったらシャロンの

好きなチーズ焼きを作ろう

頑張って釣らないと、アリアや

マヤや、ジュリアもタニアも

なんせ大食らいがおるでな!」


「はい、」

父オズワルドと、シャロンそれに

下使いのテリーは、3人で良く

川釣りに出かけた。

サワガニや川エビを取るのが

シャロンの仕事の様なものだった。


「奥様、奥様、今日は大漁です」


「ホントね、あ‼テリー

ハンナにも持って行ってあげなさい。」


母は、栗色の髪を結い上げて

いつも白いフリルの付いたエプロン

をしていた。

青い大きな目は何時も優しく

シャロンを見ていた。


母に飛びつくと何時もバターや

シナモン、焼きたてのパンの

香りがしていた。


「お母様、知ってる?

テリーはね、ウフフ

ハンナが好きなのよ。」


「シャロン本当に?

果樹園のハンナの事よね!」


「そうよ

お父様、ハンナとテリーを結婚

させて下さらない?」



「お、お嬢様、な、何を

言われてます。

オイラはこんなガサツ者で

ダサいし無理です。

ハンナは、村の人気者で

元気が良くて・・・」




・・・ん?「元気が良くて?なに?」

シャロンがおませな顔をして

テリーを覗き込む。


テリーは、大きな体を顔ごと帽子

で隠し


「♡(///>_<///)か、可愛らしい♡

んです

高値の華なんですよ~。

無理、無理です💦」


そばで座り込み聞いていた

シャロンは可愛らしい顔で


「大丈夫、いざとなれば

タニア、アリア、マヤに

ちちんぷいぷいってやって

貰おうよ‼」


みんなに説得されて、テリーは、

一大決心をした。


100本のスイートピーを抱え

テリーは、ハンナにプロポーズをし

に出かけた。


実は、父オズワルドは、ハンナの

気持ちを聞きに二、三日前に

ハンナの実家へと出かけて

いた。

ハンナが、テリーの嫁になるのは

とうに決まっていたのだ。



果樹園の🍑に花粉かけをしていた

ハンナに

「ハンナ・・・・」


「あら?テリーどうしたの?」


赤いスイートピーや

黄色いスイートピー

白いスイートピー

を差し出しながら・・・


「おっ、オイラの、よ、よ、よ、

顔を赤く染めて震える声で一気に

伝えた。


ハンナは、暫くじー( ⚭-⚭)


「あ💦、あははヤッパ嫌だよなー💦

わ、悪かった・・・よ。

ゴメンな‼

き、気にしないで・・くれ⤵💦」


じー( ⚭-⚭)


突っ立ったままガチンゴチンに

固まったテリーにハンナは、デカい

声で叫んだ。


「遅い、遅すぎる

私ずーっと待ってたの‼

テリー何してたの‼٩(๑`^´๑)۶コラ」


「ハ、ハンナ💦ホントか?

‎( ⸝⸝⸝•́‎ω•̀⸝⸝⸝)モジモジ

俺の嫁は

永遠にお前だけだ、何度、

繰り返しの人生を送っても

お前だけを嫁にする。」


抱き締められたハンナは、涙を

零しながらウンウンと、頷いた。


「ねえシャロン良く聞きなさい。」

一番上の姉がシャロンを抱き締めて

呟いた。

「私アリシアも妹トリシアも

一番下のあなた、シャロンが

気掛かりよ。

でも、何時も傍にいるわ。」


「はい、お姉様。」


父オズワルドもシャロンの頭を

撫でて

「愛しているよ

私達の可愛い天使‼」


母カレンもシャロンを抱き締め

「あなたを待つ人の所へ

帰りなさい。

神様がテリーもハンナもジュリアも

アリアやタニアやマヤも貴方を

待つように現生に残して

あるでしょ。

帰りなさい。

彼女達の為にも・・・

帰るんですよ。」



「嫌、嫌嫌、お母様、お父様

お姉様、私を1人にしないで

一緒に居たい‼」


「ダメよシャロン

あなたは、母親になるのよ。

一人にはならないの‼

子供は、あなたの子よ!

子供もあなたが私達と居たいと、

願う様に子供達も同じなのよ。


いい子に育てなさい。」


「そんなぁ━━━━━━嫌嫌

お父様━━━━━━

お母様━━━━━

お姉様━━━ァ」


「帰りなさい、そして

元気な赤ちゃんを産むんですよ

幸せになりなさい。」


小さく遠くなって行く母親や

にこやかに笑う家族の声に、

シャロンは、追いつけずにいた。

ただただ泣き叫び手をのばした。



泣き叫び

伸ばした手を握っていたのは

・・・レイモンドだった。



レイモンドは、やつれ果て

手も細くなっていた。

しかし暖かい温もりが伸ばした

手に伝わって来て

美桜は、何故か安心を覚えた。


「レイモンド・・・


どうしたの?

私を探さない約束でしょ。」


レイモンドは、ポタポタと、涙を

流し「良かった、良かった。」


「懐かしい家族の夢を見たの。

姉や両親がいたわ。

正直帰りたく無かったの‼」


「ゴメン、すまなかった。」


「なんで?なんで泣いてるの?

私を嫌ってたじゃない。」


「意地悪言うな‼

もう分かってるんだろう。」


「ケイン、思い出したの

あなたも、思い出したの?

私何もかも思い出した。

ケインと、別れた訳も、」


「シャロン、シャロン

悪かった。

会いたかったよシャロン‼」


もう光の柱は立たない

美桜と、レイモンドは、美桜の

肉下から光る薄いオレンジの光と


レイモンドの指肉の下から輝く

薄い黄色い光につつまれた指輪

は、静かに柔らかく光っていた。


それは今からもずっと輝き

続けるだろう。


「ケイン寂しかった。

あなたをリザに取られて

寂しかった。」


「シャロン、俺は君に

誓いを立てた証拠に

自害したんだ。

シャロン以外愛していない証として

君に信じてもらえるように。」



「うん。」


「やっと会えたな僕の天使

早く俺の腕にぶら下がって

遊べるように元気になれ‼」


「はい。」

美桜は、それからグングン良くなっ

て行った。

比例するようにレイモンドの体力も

元の様に戻るのはアッと、

いう間だった。


マヤさんや

ジュリアさん、

タニアさん


入れ替わり入れ替わり面倒を見に

来てくれた。


体力も、食事も元通りになると

フッフッと、怒りも戻ってきた。


あんなにエミリアにご執心だった

レイモンドをカンタンに許す?

な‼わけないでしょ。


「美桜、美桜、美桜」

レイモンドは、廊下の先から叫び

ながら飛び込んで来る。

それも朝早く‼


ばあぁぁ━━━━━ん

ドアが開かれると美桜は、ポカーン

として呟いた。


「え━━━━っと?

どちらさん?」


(꒪ꇴ꒪ (꒪ꇴ꒪ (꒪ꇴ꒪ ;)エエエッ?


「・・・・・美桜?

冗談か?」


「( ⊙_⊙)は?

どちらさん?」

真っ赤な薔薇の甘い匂いが部屋中に

漂っている。

美桜は、ポカーンとしてレイモンドを

見た。


ベッドの中の右手は

ガッツポオオオーズシャャャャャ


『グヒヒSHOCK受けてる受けてるw』


医者は、一時的なものですよ。

明日頭にドデカい注射💉打てば

直ぐ治りますよ。チラ(-⊡_⊡)

いやあ、あの注射は痛いんですが

直ぐ元通りですよ。」


美桜はΣ( ̄ロ ̄lll)ゲッ!‼


主治医に泣きついたレイモンドは、

本気にしたのか安心して

胸を撫で下ろした。


「ε-(´∀`;)ホッああ、そうなのか、

良かったなぁ~。」

(ꐦ°᷄д°᷅)ハァ良くねーよ!

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