ガラシアン
ガラシアンのミシェル邸に着くと
クロードが出迎えてくれた。
山羊が何頭かいて犬もいた。
コリーとラブラドールレトリバー
この間来た時は居なかったのに
随分賑やかになった物だ。
山羊や羊もメーメー
かなりの数
「動物と暮らすのは
実に新鮮だし、癒される。」
クロードの母君も以前と変わらず
元気で美しい。
そこで初めて婚約内定取り消しの
真相を知った。
クロードには好きな子がいたらしく
その娘が居なくなった事で
争いは回避された・・・と言う。
未だ内定の段階だった為に
何事も泣く終わり
内定していたソフィには新しい
婚約者が出来た、と言うか
クロードの父親が裏から手を回し
婚約者を紹介したのだろう。
クロードの婚約発表はまだ
していなかったのだからソフィーに
キズが付いた訳でも無かった。
クロードが結婚に乗り気でないのを
俺たちは良く知っていた。
「クロードの様な男をフルなんて
そんな娘いるのか?」
ロベルトが興味深く聞いてくる。
ヴァルタンもレイモンドも是非
聞いてみたかった。
クロードを泣かせた女の事を・・・
クロードは
「まあ女と言うより可愛い系
勿論美人のうちには入るけど
愛され系だな。」
睫毛は長く目は葡萄のように丸く
真っ黒、頬は桃のようにふっくら
唇はサクランボの様にプックラ
ポッテリしている❤
黒髪は腰まであってクルクル
まさに女の子って感じ‼」
あ・・・💦
ヴァルタンとロベルトは顔を
見合わせた。
「まるでレイモンドのさがしている
チビじゃね、特徴が似てる‼(笑)。」
ヴァルタンはロベルトと小声で
話した。
「体型は?」
ヴァルタンが直ぐ聞きかえした。
クロードはニヤニヤして答える
「小柄で、華奢だけど胸は
あるな〜‼
可愛くて可愛いくて、忘れられない。」
お茶を出しに来たロザリーが
付け足す様に呟く。
「魚のチーズ焼きが大好きで
チョコレートケーキなんか
一人で食べてましたよ。
今頃何処にいるんでしょう。
いつも面白い歌を歌ってましてね
犬も山羊も凄く懐いて
片時も離れなかったんですよ。」
「ああ、美桜の奴心配かけて
早く帰って来れば良いのに!」
美桜‼
クロードの言葉にヴァルタン
ロベルト、レイモンドは咄嗟に
三人揃って声をあげた。
それに驚いたのは
クロード、ナタリー、ボブ、ロザリー
だった。
知っているのか?
クロードが叫ぶ。
ヴァルタンが美桜の写メを見せた。
4人は顔を近づけ、角度を変えて
覗いて見るが4人は首を振る。
「名前は同じでも
美桜とは違い過ぎる・・・💦」
4人の僅かな期待が消えた瞬間だった。
クロード達とは別にレイモンドは
ホッと胸を撫で下ろしていた。
特徴、顔全て美桜だった。
間違いない一致する美桜の素顔も
ついさっき知ってしまった。
美桜がここに来た経緯も
出て行った訳も聞いた。
記憶喪失?
オムリーは最近結婚した、その
妻タニアの娘が美桜なのか?
美桜はタニアの連れ子だし?
間違いない。
イタズラも美桜のやりそうな事だ、
益々美桜は何の為に俺に近付いた?
ココに美桜が住んでいた
その事実は間違いない
ここで何かがおきたんだろう。
解放された等身大の硝子の窓から
オレンジ色の金木犀が香りを
放っている。
オレンジ色の小さい花の絨毯の
上を走り回る山羊や羊、犬達は
美桜を待っているのだろうか?
だとしても美桜を渡す気持ちは
毛頭無い‼
クロードには俺が土下座謝罪しても
美桜を諦めて貰う。
俺自信美桜を手放すつもりは
ナイのだから‼
レイモンドは近況を聞かれた
ヴァルタンとロベルトが真実を
告げる。
美桜に惚れているが相手にされず
ヤキモチ妬かせる為に
見合いを承諾した事‼
大笑いされてしまった
レイモンドは的をつかれ反撃さえ
出来なかった。
見合いの日はクロードもやって来る
レイモンドの惚れた美桜に会いたい
と言い出した。
必死に断るも、無駄な抵抗
ヴァルタンとロベルトが見合い
を見届け人だからだ。
レイモンドはクロードに
「期待するなよ
お前の美桜と違って
俺の美桜は・・・ブスだからな‼」
しかしレイモンドがヤキモチ妬く
くらいのいい女なんだろうと
クロードはワクワクしていた。
レイモンドはクロードに横恋慕
しないと言う約束を取付
渋々了承した。
レイモンドは
「ロザリー、魚のチーズ焼きと
チョコレートケーキを焼いてくれないか? 土産に持って帰りたい。
ロザリーの料理は本当に
美味しいからね。」
「まあ、ようございますとも
たんとお作りしますよ。」
ロザリーは心良く引き受けて
くれた。
レイモンドは割と早くガラシアンを
出た、美桜に熱々のチーズ焼きを
食べさせたかった。
ヘリポートに待機するヘリに
乗り込み帰って行った。
美桜の喜ぶ顔を思い描きながら。
見送るクロードは、
「一日泊まると思っていたのに・・・」
と残念そうに呟いた。
「きっと会いたいお人が
おらっしゃるんでしょう。」
ボブがポツンと答えた。
クロードの見る空には美桜が
浮かんでいた。
城の王室用のヘリポートについた
レイモンドは、待ち受けた
車に乗り込み王太子用の通用門を
通り抜ける
玄関入口には王太子付きのメイド
側近、執事、が出迎える。
護衛が列を離れると
レイモンドは美桜に2人分の
お茶の用意を申し付けた。
「美桜、コーヒーとアップルテイな‼ 急げよ‼」
「え? 💦はい。」
トントン “入れ“
相変わらずの横着な物の言い方に
“ムカァ“
ときながらもセッセ、セッセと
言われた通りお茶の準備をした。
「お疲れ様でございました。
ごゆるりと・・・」
と言いかけた美桜の鼻に
ジャーン!と言わんばかりに
レイモンドは
ニジマスのチーズ焼と
よく冷えたチョコレートケーキ
を並べた。
“クロードの家のロザリーが
作った土産だ‼
お前にもらって来た、食べろ‼“
美桜はハッとして震える手で
ゴクッ!
“い、いえ﹏ 滅相﹏ もございません。
“メ “イ“ドごときに
お気ずかいは、ご無用でございます。“
と辞退したが・・・ゴクッ( ✧﹃✧)
と生唾は、美桜の口いっぱいに
ジュワジュワとわいてくる。
ゴクッ、ゴクッ!
「( ꒪Д꒪)チッ未だ根に持っているの
か?コレだから女は・・・」
((( ̄へ ̄井) フンッ!!
美桜はソッポ向いた。
レイモンドは
「せっかくロザリーが作って
くれたのに、分かった。
捨てよ「食う、食う‼」」
美桜はガダガダと席について
「ウワッ、ウンマッ
あ〜幸せになるぅ❤
ウマッうまぁーい❤」
懐かしい、味か?
コーヒーを飲みながらチョコレートケーキにフォークを差込みレイモンド
はパクリと食べながら美桜の
反応を見た。
美桜はポロリと涙を流し
「大好きな人の、味がします。」
と呟くとレイモンドに取られない
様にケーキをズズズーっと
引き寄せた。
食い意地の張った美桜に呆れながら
本当に美桜は可愛がられて
いたんだなぁとレイモンドは
ガツガツ食べる美桜を見ながら
思っていた。
クロードの話の美桜はやはり
俺の愛する美桜だと確信した。
「美桜」
「ん?」
「お前は、誰にも渡さない!
お前は・・・俺のものだからな‼」
表情を崩さず、睨みつけるような
キツい目をして釘を刺す様に
レイモンドが美桜を見る。
「は?(¯∇¯;)
見合いする癖に良く言うよ‼
でございます。」
「・・・💦アレは〜(꒪꒳꒪;)〜💦
お、お前が・・・💦」
「ん?(。・н・。)パクッŧ ‹”ŧ ‹”
お前が?って・・・ŧ‹”ŧ‹”」
「(≫д≪;)💦とにかく‼
お前は何処にもやらん。
ダメなんだぞ!分かったか
いや決定だ‼」
ズズズーとアップルテイーを2杯
飲満足した美桜は、たいして気にも
止めずハイハイと気の無い軽い
返事をする。
ワゴンを押しながら
あー美味しかった。
そう言うと何か物思いに耽る様に
美桜は、少し寂しそうな顔をした。
懐かしいロザリーの料理を堪能
した後ガラシアンに帰りたくなった。
ロザリー、ボブ、ナタリーや
クロード、ガラシアンの友達
皆心配してくれているのだろうか?
それに
日本の友達や家族
味噌汁や米、梅干し、漬物
日本の味を思い出した。
あー食べたい😍
そうとは知らないレイモンドは・・・
「ダメだ、クロードには渡さない!
美桜、俺はお前が好きなんだぞ‼」
パタンと閉まったドアに向かい
レイモンドは呟いた。
ノー天気な美桜が、わかる訳も無く
レイモンドの想いは美桜には
届かない。
美桜もレイモンドを好きだと
告げるワケもない
見合いをしょうとするレイモンド
が自分に気があるんだと
思えるはずも無いじゃないか‼
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