魔法で、元に戻れたよ。

その夜レイモンドは城へ帰り着く

や否や大学の教授を集めて

試験問題を作らせた。



女官から庭師、騎士団から

護衛兵、メイド、城に出入りする


全ての商人を呼び寄せ、

試験をする。


そしてレイモンドが必死に美桜を

捕まえる作戦を考えているその夜

美桜はと言うと・・・


ちゃらぁーちゃーらぁ♬

ちゃら ちゃら ちゃーらぁーら♬

ちぁーらら らら ら

ちゃーらーら ら らー♬


黙ったまま美桜の大独奏を聞いて

いた5人は苦笑いをした。

そこへ仕事を終えたチャールズが

合流した。


「随分ご機嫌ですね、美桜様。」


「あらっ‼チャールズさん



いらっしゃい‼」


と美桜はチャールズをニコニコ

しながら出迎えた。


「全く‼ 昼間は肝を冷やしましたぞ!

私が居なかったら、間違いなく

城にお持ち帰りされていましたぞ‼

ヴァルタン様もロベルト様も

勿論殿下も腕がたつのですぞ💢」



「だってぇー、ムカつくんだもん。

でもありがとうチャールズさん。」


チャールズは昼間の出来事を仲間に

話した。

まだ怒りは収まらなかったが

そう、のほほんと言われると何も

言えなくなる‼


「ん、んんっ‼

今日は多めにみましょう。

しかし、何時でも助けれる理由では

ありませんよ‼

気をつけてくださいね。」


まだまだ説教したかったが

アリアが首を振るのでこれ位で

やめておく。


「はーい、分かりました。」

ニッコリ笑う美桜の軽すぎる返事に

不安だが今日は此処でやめておくか‼


チャールズとアリアは実は夫婦だっ6人はこの愛らしい娘が本当にシャロンなのかと疑わずにはいられない。


彼らの知るシャロン、つまり、美桜前世になるが大人しく、穏やかで百合の花のように儚げで凛とした娘だ‼


日に焼けて、野生動物のような美桜とは真逆である。


一方レイモンド殿下は、ケインを思わせるそのままの性格で生まれてきた。


美桜の生まれた環境がそうさせるのか逞しい忍耐の持ち主‼

しかししかし美桜、よくこんな風に

育った物だ。


あんなにお淑やかで儚げで

支えてあげたい性格のシャロンは


今はしっかりと意思を持ち武道逞しい美桜と名乗り6人の前に現れた。


夕食の用意が出来て、食事が並ぶと

6人は頭を、美桜に向かって下げた。



「神のご意志とは言え

平穏に過ごしていた美桜を

この世界に引き込んで

すまなかった。」


6人の余りの豹変に驚いた美桜だったがマヤさんが静かに口を開いた。


「みんな長い間、ご苦労さま。」


ジュリアさんと蛇氏を星型の円の

中に立たせて、タニアさんとマヤさんが円の外に向い合わせに立ち


《《アウリットォーッゴゴン

無さはらな原うぇーいっ‼》》


意味不明なお経みたいな呪文を

唱えていると足元から白い煙が

ボフッ ボフッ ボフッ


マヤさんが、ポプリを撒くと沢山の

花が咲き又一つづつボフッ、ボフッ

と今度は蒸気を上げて消えた。


まるでフラワーショーを見ているようだった。



そうタニアさんは白魔術師だった、

あの日マヤさんが白魔術師の知り合いがいると言ってた事を思い出した。

何よりマヤさんも白魔術師だった事にはビックリだった。


それから円の中から現れたのは

痩せ細った背の高い、60歳位の金髪の紳士と、やはり40歳位の身長が160センチの

可愛らしいジュリアさんだった。


2人はニッコリと笑いながら

「やあ、美桜元に戻れたよ。

僕がピット、「私がジュリアよ。」」

そう言って美桜より背が高いジュリアさんとピットさんがいた。

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