第29話 でかい毛皮
俺はその毛皮の先を確認すべく見上げた。見上げているにはつらくなるほど上が一番上のようだ。目の前にいるのにこの大きさというのはかなりやばいレベルではないだろうか…
「よっすーっ ほらUターン!!」
「をっ」
ぐいっと健太に腕を引かれ元来た方へとすぐに戻る。その途中ゴブリン達とすれ違ったが急に向きを変えたことに対応できなかったのだろう。ゴブリン達はそのままその毛皮の元へと向かっていった。
「今のうちにあっちへ!」
俺は健太に引かれるまま通路を曲がらずまっすぐに進んだ。ちらりと右側の通路に視線を送るとそこにはなかなかグロイ状況が展開されていた。
「うげ…」
「しっ 気がつかれるっ」
どうやらゴブリンを生贄にして通路を渡るようだ。毛皮がゴブリンを襲っている間にさっさと先へと進む。たしかにあのでかいのを倒せるとは思わないが、健太とファーナさんは初回どう対処したんだよ。
「あれ何…?」
「トロール。まあ一応倒せないこともないみたいなんだが、時間かかるし危ないからね。ほらファーナさんの落とし穴にはめれば動けなくなるし?」
あれを落とすためのサイズとなるとかなり深そうだな…というか地図にはあのバツが後2か所あった。ということはまだ2回遭遇することになるわけだ。
「この階層はトロールとゴブリンしかいないから、主にボス部屋探してたんだよね」
「じゃあ見学はこれで終わりだな。戻ろうぜ」
「そうしたいんだが、そのためには少し進んでゴブリンを連れてこないとな」
言われてみればそうだ、おとりがいないと通路を渡れない。中々面倒くさそうな階層だ。俺達はもう少しだけ進みゴブリンを2匹引き連れ来た道を戻って同じようにおとりにし、ダンジョンの外へと出るのだった。
「流石にまだ戻って来てないか」
「健太…新たに11階層にいく2人の装備強化必要なんじゃないか? ちょっとかすっただけでもやばそうだぞ」
「あー結奈はいるかもな。ホルンさんはどんなタイプだ?」
俺は2人の戦い方を健太に教えた。2人ともどちらかというとスピードタイプだ。というかここのメンバーで盾を使っているのは健太とリノだけだわ。
「装備は変えずに強化だけがいいかもな」
「やっぱそうか…じゃあアイテム集めにいくかな」
「よっすー俺も付き合うわ。暇だしなっ」
頷きあった俺達は再び立ってパネルを操作し、3階層へと向かうことにした。それにしても毎回のことだがこのびしょ濡れになるのは何とかならないんだろうか…乾くまで気持ち悪いんだよな。そして帰るときもまた濡れるといううっとおしさ。必要なアイテムを集めるんだからと毎回我慢するしかない。水無効を装備につけるのもありだが、結局肌が出ているところは濡れるので意味がないんだよな…
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