第30話 冬休みが始まる

「…ん?」


 アイテムを集め終えた健太と俺が部屋に戻ってくると、床に座り込んでいるホルンさんと寝そべっている結奈さんがいた。その様子からみるに10階層を突破して帰ってきたのだろう。その部屋の隅では普段ならお茶を入れてくれる2人が動けないので、リノとミネが頑張ってお茶を用意している。


「おかえりー」

「これで、今後、7人だけど、どうする?」


 さりげなく俺も数に含まれていたが、まあ抜いたとしても6人でパーティの人数をオーバーしている。


「3、4だとまずいよね…」

「初級じゃないからな~」


 とりあえずファーナさんとホルンさん。それと健太と結奈さんの組み合わせは決定だとして…ミネ、リノ、それと俺。俺とリノが回復として分かれてやっぱりミネはリノのほうへ行った方がバランスがよさそうだ。


「な、なんだここは??」


 そんなことを考えていると新たな声が上がる。あいつは確か勇者(願望)だっけか…なんでこんなところにきたんだろう。


「きゃっ」

「いたた…」


 さらに(将来の)賢者と踊り子(未熟)も現れた。後僧侶がくれば全員だぞおい。この部屋にあらわれた3人はボロボロ…多分10階層へ行ってきたんだろう。だが俺達には関係のないことだ。

 俺がさっき考えた案をみんなに言うとやはり2パーティで動くしかないので、それでいいんじゃないかという話にまとまった。


「なあおい…ここはどこなんだ?」


 俺たちの話が終わるのを待って勇者(願望)が声をあげた。そのころにはホルンさんと結奈さんも復活しており、2人が勇者パーティ(仮)にお茶を差し出している。簡単にこの部屋のことを説明すると、僧侶を待たさせて欲しいと言われ俺は頷いた。


 それから1時間ほどして俺達は解散したのだが結局その間僧侶はやってくることはなかった。


「そろそろ俺も部屋閉めたいんだが?」

「ああわかっている! だがあいつが戻らないんだっ あんただって仲間が戻らなかったら心配だろう??」


 勇者(願望)の言うことは理解は出来る。だがここは俺の部屋だ。いつまでもいられると寝ることもままならないんだ。


「はぁ…聞いてやるからそしたら帰れよ」

「聞くって…」

「おーいレイノアール。どうせ見てんだろう? ちょっとこいつらの仲間どうしたか教えてくれよ!」

「これから仕事だったのに…」


 俺が天井に向けて声をかけるとレイノアールがすぐに部屋に現れた。


「えーとその子達の仲間よね。たしか9階層ボス部屋から帰っているわ」

「なに…? というか誰だヨシオとやら」

「めんどくせぇ…教えてもらったんだからもう帰れよ。どうやら10階層にすら行ってないみたいじゃないか」

「そんなはずは…おい、帰るぞ」

「「はい!」」


 少し納得のいかない顔をしていたが勇者パーティ(仮)が帰っていった。これでやっと静かになるわ…


「じゃあ私は仕事へ」

「ああ、ありがとな」

「ん…」


 レイノアールもいなくなってやっと一人だ。さて…明日から冬休みが始まるが今回も健太に付き合うことになりそうだな。あんな危険なところで知らない間に友達が死んでるとか簡便して欲しいものだ。


 

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