第28話 11階層見学

 ステータスの確認とアイテムの補充を終えると俺と健太はタッチパネルを操作して11階層へと向かった。相変わらず突然変わる視界の景色に少しだけ顔をしかめながら、俺は11階層のダンジョンに初めて足を踏みいれた。


「……は?」

「やっぱ驚くよなーよっすー」


 ポカーンと口を開け上を見上げた俺を健太がニヤニヤしながら見ている。普段ならここで健太に文句を言うところなのだが今はそんな気分じゃなかった。俺が見上げているのは11階層のダンジョン内天井。


「ちょっと意味が分からないんだが…」

「まあな…だが魔物を見れば納得するぞ?」


 …とてもいやな予感しかしない。今まで見てきたどのダンジョンより天井が高い。空を模した物もあったが空の途中から落ちたのを体験しているので、多分そこが天井の一番上だったことは予想出来ていた。だけどこのダンジョンの天井は真っ暗で上限が見えないのだ。黒い天井だという可能性も捨てられないが…きっとそれはないだろう。それに合わせたかのように通路もかなり広い。


「じゃあまずこれがここの地図な」


 健太が取り出した地図を横から眺める。パット見た感じはそれほど複雑ではないが…この通路の広さから考えると次の角までどれだけの距離があるのか考えるだけでも頭が痛い。


「なるほど、これが時間がかかっていた理由なのか」

「もうこれだけでやばいだろう?」

「ああ」


 現在いる場所はマップの一番左下。ここから北へとまっすぐ通路が伸びているから今からここをまっすぐ進むわけだ。その途中右へ入る通路が2か所ある。地図を見た感じその2か所目がボス部屋へと続く道みたいだ。


「…ん? なあ健太この地図に書かれているバツはなんだ」

「ああそれ…気になる??」


 くそう…健太がニヤニヤしてむかつくっ 


「で…なんなんだよ」

「最初の通路入ったとこだし行ってみればわかるよ」


 そういいながら健太が歩き始めたので俺もその後ろをついていくことにした。むかつくけどっ


「ぬ…ゴブリン」

「うん」


 俺と健太ではゴブリンは狩れない。というか狩りたくない。だけどこのダンジョンを進む以上狩らないわけにもいかないと思うんだが、健太はゴブリンの攻撃を避け相手にせず放置した。


「追いかけてくるけどいいのか?」

「そのままがいいんだ」

「???」


 狩りたいわけじゃないが意味が分からない…後ろを気を付けながら進むなんて普通に危ないだろうが。しかも気がついたら2匹目が後ろをついてきている…


「よっすー角曲がったらすぐ角へ戻るぞっ」

「うん? なんで??」

「いいからっ」


 角をかがると…いた。それは視界を埋め尽くす毛皮だった。

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