第22話 また会うとは思わんかったよ

「ホルンさん!!」


 聞こえていないのに俺はつい大きな声を上げる。そして自分の行動に恥ずかしくなり伸ばした手をゆっくりと下ろした。ソリスト状態だったからホルンさんにダメージは当たらないんだったんだよね…自分でかけておいて忘れるとかあほすぎるだろうと自分で自分に飽きれる。


 というか今のはもしかしなくてもこの魔物の攻撃なのだろうか。これは中々厄介だな。ボスがいなくなったことで状態異常をかけ続けるだけでは危険だと思ったのだろう。再び移動をしながら魔物は何やら口を動かしている。


「『ミニメテオ』!!」


 とにかく俺もどんどん攻撃をしていかないとまずそうだ。俺の使った魔法がたまに魔物へと当たる。それを眺めていると今度は結奈さんに突き飛ばされる。また剣が降ってきたようだ。ありがたいのだが…もう少し優しく助けてくれるといいんだけど。突き飛ばされるたびに床に叩きつけられるダメージがかさんでいくんだが…


「あまり減っていないですよ!!」


 俺のすぐ近くまでやってきたホルンさんが耳元で耳栓越しに大きな声で伝えてくる。そのおかげで聞き取れたのだがどうやらあまりダメージになっていないようだ。


「ヨシオ様、治癒のほうが効くかもしれませんっ」


 治癒…? 回復手段の一つだよな。


「ごふっ」


 再び剣が降ってきたようだ。また結奈さんに突き飛ばされた。よくわからないが鑑定してくれたホルンさんがそういうんだから試してみるしかないな。


「『治癒』」


 淡い光が魔物を包み込む。ミニメテオを受けた時より苦しそうに顔をゆがめている。つまり効いているってことだろう。ちらりとホルンさんを見ると満足そうにうなずいていた。それから連続で治癒を打ち込むと魔物の姿が消えた。


「ヨシオ様、宝を回収したら次へ行きましょうか」


 耳栓を外した俺達は宝箱の中身を回収すると次の階層…7階層へと向かった。ちなみに宝の内容はまたしても回復薬…やっぱり俺がとどめを刺すとあまりいいものは出ないようだ。


「…ん?」


 7階層へ足を踏み入れると勇者パーティ(?)が座り込んでいた。もしかして苦戦したのだろうか? まあ俺達みたいに耳栓とかないと状態異常かかりまくりだからな。内容によっては動けなくなるし、わからんでもない。


「な…何をじろじろと見ているのですかっ」

「ああ、お先にどうぞ? 僕たちはボス戦の後はいつも大事をとって休憩をしているのでね」


 なんか賢者(?)が睨んでるけど勇者(?)が先いっていいっていうから俺達は進むことにした。ちなみに踊り子(?)と僧侶(?)はかなりお疲れのようだった。というかまた会うとは思わんかったよ。

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