第7話 バトルメイド
「初めまして。ファーナ様のバトルメイドでホルンと申します」
「初めまし…て?」
今なんつった? バトルメイド? いやなんだよそれ…初めて聞く響きに俺は困惑した。確かにホルンさんはメイドの服装はしているが…
「あーーっ ユイナさんのご飯食べてたのっ? 私も食べたかった~」
「まだございますのでおだししましょうか?」
結奈さんがファーナさんへ食事を勧めた。たしかまだ残ってはいたはずだ。残すのは勿体ないので食べてくれるのならきっといいことなのだろうと俺は思う。
「なりませんっ ファーナ様の朝食はすでにお済です。これ以上の食事は必要ありませんので」
食事を勧める結奈さんとそれを阻止しようとするホルンさん…気のせいでなければ2人の間から火花が散っているようにも見えた。
「そうですか…では健太様より用意されたおやつなども撤去しておいたほうがよろしいでしょうか?」
「ええぜひそのように。ファーナ様の食事に関しましては厳しく言いつけられていますので、お構いなく」
「そっ そんなぁ~ 私の楽しみがーーっ」
ホルンさんの言葉にファーナさんが涙目だ。まあホルンさんの言っていることもわからないことはないんだよね…本人には言えないけど、ちょっとファーナさんは丸くなってきている気がするし。どこがとは言わないけどなっ
「由雄様食事も終わりましたのでそろそろダンジョンへ向かいませんか?」
「そうですダンジョンへ行きましょう。お世話になりますヨシオ様」
火花が…火花がっ え…俺この2人と一緒にダンジョン行くの? マジで? というかなんで会った早々こんなに仲が悪いんだよこの2人はっ
「あー…がんばれよっすー」
「おやつがぁ~」
健太とファーナさんに見送られ俺はしぶしぶダンジョンの1階層へと向かうことになった。俺の後に続いて結奈さんとホルンさんもやってくる。
「では由雄様まずはここ1階層の説明からお願いいたします」
「ああ…えーとこの階層はそこに見えているスライム系しかいない階層だよ。たまに火を吐いたり酸を吐いたり毒を吐くやつらがいるから気を付けて」
「なるほど…スライムマップなのですね」
「なるほど攻撃される前に仕留めてしまえば問題ありませんね」
とりあえず喧嘩をせず俺の話を聞いてくれるみたいだ。このことにはちょっとほっとした。
「で、ボスを倒すのが目的だからスライムを狩りながらボス部屋を目指すわけなんだけど、これが俺が持ってる地図ね。こう…いくとボス部屋につくわけだ」
地図を見せながら2人に道筋を説明する。俺が手に持っている地図を2人は覗き込んで静かにしていた。
「ではこの地図は私が預かりましてお先に進ませて貰いますっ」
そういって走り出したのはホルンさん。もちろんスライムは切り捨てながら、だ。武器を手に持っている様子がないのにどうやっているのかは全く見えない…
「あっ こら待ちなさいよ! 地図すら覚えられないメイドなんて飽きれてしまいますわね!」
それを追いかけながらスライムを殴り倒していくのは結奈さん…え? ちょっと待って2人ともアイテム放置だよ! 拾っていかないと装備とか揃えられないじゃんっ 俺は気持ち急ぎつつ2人が倒して放置したアイテムを回収して追いかけるのだった。
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