………妻の身体は急激に体温を失っていった。


私は妻のぬくもりを逃がさぬようずっと腕に閉じ込めていたが、最早それも限界だった。


妻の命はもう還らない。

私がこの手で殺した。


でもそれは失う為でなく得る為のものだった。

そのはずだった。


それなのにこの深い悲しみは何だろう。

私は何をしたんだ。

何の為に。


――――決まっている。


妻という存在“そのもの”を得る為にどうしても必要だったんだ。


だから私は妻を殺し、そして………。

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