第41話 外出準備とお粧し

 朝食の後はリビングでのんびりと過ごした。そして12時頃に昼食を摂り、あっという間に午後。


 出来れば午後もこのままのんびり……と行きたいところだが、実はこれから桔梗達には予定がある。


 ──そう、明日のピクニックに向けた準備である。


 ピクニックの詳細については、平日の内に彩姫と話をつけてある。


 今回ピクニックを計画した意図は、窮屈な生活を送っている少女達の息抜き。


 場所は人目が無くかつピクニックに最適な平原であり、こちらは彩姫の方で探す事に。

 また、ピクニック気分と言うべきか、行楽気分と言うべきか、とにかくそれを味わう為に、移動は沙織による送迎となった。


 持ち物については、弁当や飲料などの飲食に関するものは桔梗側が、それ以外の、例えばレジャーシートなどを彩姫側で用意する事に。


 そして今回、弁当はでかい弁当箱に纏め、水筒は皆それぞれで準備する事となった。


 という訳で午後は、こうした弁当用の食材や、少女達一人一人の水筒を購入すべく、デパートへと向かう予定なのである。


 そしてその事を少女達も事前に知っていた為、昼食後少しの食休みを挟んだ後、皆自身の部屋に行き、外出の準備を始めた。


 基本的に、休日外出予定のある女性は、メイク等支度に相当の時間を要するものであるが、彼女達はこの限りではない。


 というのも、彼女達は支度時間の大部分を占めるメイクを一切しないのである。


 加えて、現状この世界で着用しても違和感の無い服を2着程度しか持っておらず、服を選ぶ時間も殆どかからない。

 更に言えば、アイテムボックスの応用で服の着脱を一瞬で行う事ができる。


 よって10分もせずに、準備の整った少女達が続々とリビングへとやってくるのである。


 一番乗りは桔梗とラティアナであった。


 これといった特徴の無いTシャツとジーパンに身を包む桔梗が、抱えていたラティアナをリビングで下ろす。


 基本的に服装に関しては少女達に一任している桔梗。


 今回のラティアナの服装は、彼女お気に入りのフワフワとした白のワンピース。

 髪型はラティアナの注文によりおさげであった。


 ラティアナはおさげが気に入ったのか、ポンポンと下からおさげに触れながらその感触を楽しんでいる。


 その無邪気な姿に桔梗は柔らかく微笑んだ。


 と、そうこうしている内に階段を降りてくる音が聞こえてくる。


 桔梗達がそちらへと目をやると、そこには白髪をミディアムショートにした少女の姿があった。──シアである。


 彼女のファッションを一言で表すのであれば、ボーイッシュだろうか。


 ロング丈のパーカーとショートパンツというシンプルな組み合わせに、キャップを合わせている。


 パーカーの裾からはすらりとした真白い脚が覗き、彼女のスタイルの良さを十二分に伝えている。


 まさに活発な彼女を体現したかの様な格好であり、桔梗はよく似合うその姿に笑顔でウンウンと頷いた。


 続いてやってきたのはリウであった。


 彼女を包む服は、あいも変わらず黒のゴスロリであり、普通ならばかなり目立つ上に少々奇抜な服装と言える。

 しかし、彼女が纏うとどういう訳か、ゴスロリという服装が街中を歩く上でさも当たり前であると、そう錯覚してしまう程にしっくりとくるのである。


 くるりとその場で回ってみせるリウ。


 それにより、レース付きのスカートがふわりと揺れ、全身黒で覆われた彼女の真白い肌がチラリと覗く。


 その幼いながらに妖艶さを纏うリウの姿に、桔梗は思わずどきりとした。


 最後にやってきたのはルミアであった。


 ルミアはシンプルなドレスワンピースに身を包み、胸元に異世界で手に入れたこれまたシンプルなネックレスを輝かせていた。


 また、髪は毛先のみウェーブのかかった気品のあるヘアスタイルになっており、全体的に大人っぽい印象となっている。


 そんなルミアの完成された美しさに、桔梗はごくりと息を飲むのであった。


 ──と。こうして全員の準備が終わった。


 その為、桔梗は早速デパートへ向かおうと思ったのだが、お粧しをした少女達に期待の目を向けられてしまう。


 こうなった以上、無視をする訳にはいかず、桔梗は改めて一人一人褒めた後、買い物へと出掛けるのであった。

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