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 前の彼女の時と同じように、俺は高岡さんからの連絡先を全てシャットアウトした。しかし、彼女は別の電話番号やメールアドレスからしつこくアクセスしてきた。それらも片っ端からシャットアウトしていくと、さすがに連絡は全くなくなった。ようやく解放された……はずなのに、俺の心は晴れなかった。やはり、裏切られるのにはそれなりにダメージがあるものだ。慣れるようなものじゃない。


 そんな、年末も押し迫ったある日のことだった。


『桜田、と申します。実は弊社の高岡のことで、お話ししたいことがあるのですが……』


 職場の俺の電話に、女性の声でこんな電話がかかってきた。


 あの高岡さんのことだよな……


「お話しすることはありません。失礼します」


 俺が電話を切ろうとすると、


『待ってください!  彼女は何も悪くありません!  悪いのはわたしなんです!  お願いです、話を聞いてください!』


 という大声が、受話器から聞こえてくる。


 え……どういうこと?


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