第13話 味方か敵か

龍一郎は飲み街の暗い場所を選んでヴォクシーを止めた...

あの"ヴァンパイア"の出現を待つ...

龍一郎は二人に言った...

「九重 お前がターゲットを後ろから襲ってくれ マリナスは九重がアイツを動けなくする手助けに車内に押し込め 九重がターゲットを襲った瞬間車を出すから あとは洋館へ帰るだけだ どうだ?出来そうか?」

「やってみます!!」

「は...はい...頑張ります...」

「よし!!頼んだぞ!!」


...3人は所定の位置についた...

...飲み街から越赤峠へ行くにはこの道しかない...

...3人は辛抱強く待った...


深夜の3時をまわったところだろうか...

龍一郎はウトウトしかけていた...

突然 女の金切り声が辺りを響かせた...

龍一郎は飛び起き 辺りを見回すと九重とマリナスが何かを押さえ込んでいた...

龍一郎はヴォクシーを発進させ マリナスが後部座席に押し込む...

だか先程の叫び声で 飲み屋の店主が店から出てそれを見ていたのだ...

「もしもし警察ですか?誘拐事件です!!車で女を連れ去ろうとしてます!! 越赤峠近辺の飲み街です!!早く来てください!!車種は白のワゴン車 い...今Uターンしました!!市内へ走りました!!」

美崎警察本部はそれを受け取ると

「本部より各局へ緊急要請!!誘拐事件発生 犯人は白のワゴン車 市内へ向かっている 各局は直ちに捜査に当たれ!!」

...同時進行で龍一郎はヴォクシーを急発進させる...

...辺りに響くスキール音 白煙が上がった...

「ちきしょう...警察に連絡しやがった...」

後部座席では 2人がヴァンパイアと闘ってるようだ...

龍一郎には後ろを見る余裕もない...

...ただ ハンドルを握って逃げるだけだ...


...ふと後ろからサイレンが聞こえた...

「くそが!!来やがったよ!!」

「前方のワゴン車 止まりなさい!!」

警察官が呼びかける...

「こちら美崎交5 逃走中のワゴン車発見!! 犯人は白のヴォクシー!!ナンバー美崎322い 3588 車両特徴は電光ナンバー!! 現在医大西大通りを北上!!支援願いますどうぞ!!」

...警察無線の呼びかけに 各幹線道路で緊急検問も張られ 更にパトカーが集まる...

龍一郎はミラーを見ると 10台ほどのパトカーに追尾されていた...

...ふと前を見ると検問が張られていた...

龍一郎はアクセルを更に踏み込む...

だかよく見ると路面にスパイクが敷かれている...

「ちきしょう!!」

パトカーが左側についた...

龍一郎は思い切って逆走...

対向車の間を縫って歩道に乗り上げる...

...ヴォクシーは路駐の自転車や原付バイクを数台はねとばし カラーコーンも引きずった...

...1つ目の検問を突破...

パトカーを数台引き離し龍一郎は農道へ入った...

農道から旧道へ出るつもりだ...


...その時...


「...う...動かないで!!あ...あなたも...こ...殺すよ!!」

「うるせぇ!!」

龍一郎はヴォクシーを止め 後ろを見るとシートの隙間からその"ヴァンパイア"が顔を覗かせた...

「大人しく載っとけ!!...ってお前アイツら倒しな!!」

「ち...違う..わ...た...ただ失神させただけよ...」

「まあいいや 3年前のやつだろう?その大理石を壊したのはお前が殺した監督がしたんだよ!!俺と矢場ちゃんに手を出すんじゃねぇ!!」

...ところが...

「は?3年前?なんのこと?矢場ちゃん?監督?」

「とぼけんじゃねぇ あのグレートで俺達に突っ込んできやがってよ!!」

「なんのこと???」

「え?じゃ...3年前のは...別のやつか!!」

「3年前?わ...私はまだ南川洲の隣の飯食に居たわ...ぶらぶら血を吸ってここまで来たのよ...」

「ならば...3年前 現場で大理石に閉じ込められたやつは知らんか?」

「し...知らないわ!!あんなの!!」

...何かを隠してるようだ...

...それは龍一郎にも分かっていた...

「まあいい そのうち明らかになるだろうよ!!」

「ええ...ところで...あなた...わ...私にこんな乱暴な目に合わせて!!酷いじゃない!!」

「仕方ねぇだろ!!それ以外の方法は思いつかないからさ!!」

「...ならばお仕置きね...」

「うるせぇ!!運転に集中させてくれよ!!」

「な...何よその態度!!」

「態度が悪くて悪かったな...したきゃせぇ!!」

「...ならば...その血を...吸わせてもらうわ..

.」

「軽くぞ!!痛てぇのは御免だ!!...痛てぇよこの馬鹿野郎!!も...もちょい軽く噛め!!ねだったから今やってんだ!!」

「...ふふ...ありがとうね...」


...ヴォクシーは無残な姿で旧道へ走った...

洋館へ到着する...

「龍ちゃん大丈夫?」

「サーリン どうやら違ったやつや...」

「だから言ったのに...」

「マリナスちゃんと九重ちゃんは?」

「寝とる...」

...龍一郎はなんか申し訳なかった...


...その後の調べで 間違って捕らえてきた"ヴァンパイア"はシュリナといい 3年前の事件については何も知らなかった...

...しかし...

「でもね?私 あの飲み街の近くの山から変な感じがするの...いっかいそんな感じがする場所に行ってみたわ 道の横に隠れ道があるの

なんか...私より高貴なヴァンパイアが存在してそう...縄張りに入ったら命がないから下の飲み街に居るの」

「ありがとうね どうやら隠れ道が存在してるようね 龍ちゃん達を襲ったのはそれかもしれないわ...」

「行く?でも昼間は出てこんでしょ...」


...その時 龍一郎の携帯電話が鳴った...

「もしもし近藤です」

「すみません!!トラックの修理が終わりました!!代金支払いとトラックの引き取りに来てください」

「分かった すぐ行く!!」


「どうしたの?」

「こないだ修理に出したテラヴィが修復されて代金払いのついでに乗って帰ってくる」

「分かったわ 気をつけてちょうだい!!警察には連絡したわ 逮捕はしないように頼んだわ」

「す...すいません では行ってくる」

「気をつけて!!」


...龍一郎は修理代金を払い テラヴィに乗り込む...


...その時 また龍一郎の携帯電話が鳴る...

「はいもしもし?」

「龍ちゃん?サーリンよ!!場所も全て分かったわ...今夜決着を付けに行きましょう!!」

「おうわかった!!」

「詳しいのは帰ってきてから...ね!!」

「はいよ!!ちょっと燃料入れに行く 正午までには帰ってくる!!」

「は~い!!」


...その頃越赤峠の隠れ道の廃屋では...

...何者かがグレートのタンクローリーの車体をさすりながら...

「...バカね...あたしはここよ...悪魔のおにいさん...あたしがゆっくり 息絶えらせてあげるわ...」


龍一郎は燃料入れのついでにダンプを入念に洗い メッキを磨いた...

「矢場ちゃんやサーリン 九重の仇 俺が取ってみせる...」


...続く...

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