第12話 戦いが始まる

龍一郎はゆっくりと越赤峠へ走る...

行きは何も起こらない...

矢場が借りてるアパートの下へ到着した...

「龍さん本当に大丈夫なんですかね...心配ですよ」

「大丈夫さ矢場ちゃん 俺の運転技術知らねぇの?」

「ん~でも 相手は下り坂で押してくると思いますよ」

「な~に一遍出会ったからな~2度は怖くねぇ」

龍一郎はそういうとヴォクシーを発進させ アパートを離れた...

越赤峠へ通じる道にヴォクシーが走り去る...

...その頃 越赤峠の隠れた山道から 女の声がする...

「...そろそろ 決着をつかないとね...」


...ヴォクシーは越赤峠を登り始めた...

「ほ~ら大丈夫だったでしょ?下りも安全さ」

「龍さんよ 下りが危ないんですよ 」

「な~に 着いてきたら俺がミラーから消してやるからな~」

...その時...

...車内にヘッドライトの灯りが飛び込んだ...

...あのグレートのタンクローリーが追いついてきた...

「来ましたね...龍さん...」

「矢場ちゃん しっかり捕まれよ...」

龍一郎はアクセルを踏みつけた...

グレートのタンクローリーも加速する...

...タンクローリーが衝突をしようとする瞬間龍一郎はとっさに急ハンドルを切る...

間一髪 衝突は免れた...

だか次の瞬間 タンクローリーが真横に来てしまった...

...車内に強烈な血腥い匂いが充満する...

龍一郎と矢場はタンクローリーの排油口を見ると 赤錆と共に何かの液体がポタポタと垂れている...

龍一郎は思わずその光景から目を背ける...

...タンクローリーが幅寄せをしてくる...

龍一郎はワッパ勝負で幅寄せには慣れていたが さすがに恐怖を感じる...

...何か赤い液体がフロントガラスに飛び散った...

「うわぁ!!」

龍一郎は驚いたがすぐに冷静になりワイパーを作動させる...

タンクローリーは左へ右へ深夜の越赤峠で蛇行運転を繰り返す...

...真っ赤な"液体"を垂らしながら...

龍一郎は隙を見つけた...追い越しをかける...

龍一郎はタンクローリーの横にならんだ...

だか タンクローリーがそこへ幅寄せする...

左側は...ガードレール...突き破れば...命は無い...

ヴォクシーは車体をガードレールに擦り付ける...

火花と真っ赤な"液体"が舞い上がる...

次の瞬間龍一郎の目に急カーブ注意の看板が飛び込んだ...右カーブだ...

このまま左へ押されたら...確実に転落する...

龍一郎は無理やりアクセルを踏み込む...

急カーブまてあと20メートルもない...

ヴォクシーはガードレールとタンクローリーに挟まれながらタンクローリーを追い抜いた...

タンクローリーは左へ寄せ過ぎたせいでガードレールに突っ込んだ...転落は免れたが走行は不可能になったのだろう...

2人はホッとして越赤峠を下り 旧道へ走る...

龍一郎の帰りを待っていた4人はその悲惨な姿を見て 怒りと悲しみに溢れた...

4人はヴォクシーを調べたところ...

車体中に血が至る所に付着していた...

6人は洋館内でそれぞれの意見を出し合った...

「そうね...やはり3年前の事がきっかけの復讐のようね...」

「でも 私には犯人が分からないわ...」

「血...が関係...してるのならば...ヴァンパイア...」

「ヴァンパイア?吸血鬼の事かよ?あんなもん実在しないでしょ」

「龍さん 悪魔が俺を迎えに来てるんですからあり得ると思いますよ?」

「そうね...矢場さんの言う通りだわ...」

「だとしたら辺を探しましょう!!何か痕跡があるかも知れないわ...」

...しばらくの調査によって ひとりのヴァンパイアが浮上した...

...活動範囲は越赤峠付近の飲み街...

...夜な夜な酔っ払いを襲うらしい...

「この子の可能性が高いわね...」

サーリンがそういう...

「えっと...なんか見た目はどんなの?」

「あたしの調査では ピンクの髪なの...一応女の子みたいね...」

「よ~し!!今からあいつ捕まえてやる!!」

「そんな むちゃくちゃよ!!」

レミーナが止めにはいるがサーリンは

「いっておいで...私の下僕を傷つけるのは許さないわ...」

その声は怒りに震えていた...

「九重!!マリナス!!行くぞ!!あいつ捕まえて百叩きにしてやらぁ!!」

龍一郎は2人を呼んで ヴォクシーに載せた...

越赤峠下の飲み街へ走り去る...


...越赤峠の隠れた山道の奥に廃屋があった...

...廃屋の横にはあのグレートのタンクローリーが止まっている...

...何者かが排油口を開け 中から真っ赤に染る血が流れる...

...それを飲み干し 指を軽く舌で舐めまわし...

「フフフ...まだまだ足りないわ...」

...不気味な女のこえがする...


続く...

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