第4話 交通事故と新たな女の出現

龍一郎とレミーナはテラヴィのダンプで拡張工事の現場に入った

辺りを見回すと三十台ばかりの大型ダンプが止まって荷台を上げていた

龍一郎も端に止め荷台を少し上げる シリンダーの油膜を貼るためだ

するとある男が歩いて来た

「おはよう!!お前さんが龍くんかね~?」

「おはようございます!! そうです 近藤龍一郎です」

「君の事は金ちゃんから聞いたよ~まさか城河で一緒に走るとはな~」

「金村さん知り合いなんですか?」

「昔のダンプ仲間さ 有田さんとか熊ちゃんとかね~熊ちゃんもうダンプ降りて長距離らしいな~」

「ちなみに俺は江頭だ よろしく頼むぜ!! まだ時間あるからみんなに龍くんの事 紹介しないとな~」

「は...はい!!」

龍一郎は 昔の感覚が帰ってきたように感じた

レミーナはこれを見て人間の温かみを感じたのだろうか...冷酷な心も だんだん溶けたかもしれない...

「みんな聞いてくれ!!今日から新たな仲間が増えたぞ!! 南川州で走ってる近藤龍一郎くんだ!! 金ちゃんとか有田さんとか 熊ちゃんとも仲がいいぜ!!」

「みなさんよろしくお願いします!!近藤龍一郎です!! ダンプは端に止めてるあのテラヴィです 今日から拡張工事 よろしくお願いいたします」

「おう!!よろしく!!」とか

「いいね~~その飾り方!!」など

初見で歓迎された龍一郎だった


やがて監督がやってきて招集をかけた

「みなさんおはようございます!!今日から拡張工事現場監督を務める山田です!! まずは説明からしていきたいと思います」

「まず初めにみなさんの車番 これが積み込みの順番です 待機などの情報は各自無線で連絡してください くれぐれも携帯電話の使用は絶対に禁止です」

「次に 現場を出る時は必ず重量計測を通してから出発してください 最近警察のカンカンも増えました 過積載は厳禁です」

「そして走行ルートの変更 これも禁止とさせていただきます 昼休みをすませた後は現場に遅れない事 あとはケツブタの叩き これは騒音の元になりますので禁止です 毎年苦情が来てます」

「運行中不必要は警笛や空ぶかし これも騒音の元です 極力控えてください」

「最後に みなさん 安全運転を必ず心がけてください 事故が起きてからでは遅いので 周りの安全にも 自分達の安全にも 必ず 安全運転ですよ!!」

「それでは車庫の早い順から積み込みます 仕事開始!!」

龍一郎は監督の説明を聞いた後 ダンプに戻った

窓の外を眺めるレミーナに

「仕事だ~仕事だよ!! ってどうした? 具合いでも悪いのか?」

「い...いえ...とくに...」

「そうか...ところでなんで俺を消そうなんて思った?」

「そ...それは...あの方の命令に従っただけです...」

「あの方?誰だい?」

「あ...あたしもよくわからないです...」

「おいおいちょっと待て よう知らん人の命令を従うの?」

「だ...だってあの方...あたし達堕天使の...総督ですもん...あたしみたいなのは大体たらい回しされた事しか与えられないのです...」

「ふ~んよぅわからんけど お前さんもしたくてしてる訳じゃないよな...いいさいいさ...おっと俺達の番だ 行くぜ!!」

レミーナは思った...なぜこんな事をしなければいけないのだろう...

龍一郎は残土を載せ 砂切りで余分な土を落とした

コボレーンを上げると 測定し 現場から出た


...昼休み中 龍一郎は新しい仲間とダンプの前で話している

内容はあの監督が亡くなった話題だった

みんな葬式に出るらしい

...同時にその様子鋭く見つめる明らかに人間ではない"何か"も居た...


...午後の1セット目が始まる

龍一郎とレミーナはテラヴィのダンプでひたすら走った

他のダンプとスライドした時は注意など無視し 激しくラッパチャージしたりパッシングしたりした

辺り一面 響き渡った

無線からは

「龍くん~それは角ビックホーンかな~音むちゃくちゃええよ~」

「輸入品ですよ~ダブルで慣らしてます ちなみにアメリカ製です 井田さんのシフレットホーンもキレがあって好きです~」

「そうよ~ラッパにはこだわっとる!! 」

龍一郎はこんな感じのやり取りを無線でしていた...


...数時間が経った...

最終セットも終わり みんなが帰ってゆく...


龍一郎とレミーナはまた休憩場を探し

深くしかし短い眠りについた


...次の日も同じ仕事...のはずだった...


最終セットを終えようとした時無線が入った

「すみません!!龍さん!!実は...バネを割ってしまって...荷を載せれなくなりました 代わりに俺の最終セット走れますか?」

龍一郎は行きたくないが 仲間の為だ

「よ~し分かった 代わりに行っちゃる!! 」

「すみません 本当ありがとうございます!!」

レミーナはこの時 龍一郎の優しさも見つけたのだろう...龍一郎が見られたくない優しさの一面を...

最終セットも終わり 明日がいよいよ葬式の日だ

龍一郎はダンプを走らせた どこかダンプが止めれる場所は無いかと探す

と その瞬間 対向車線の海コントレーラーがジャックナイフし バランスを崩したのだ

...飛び出した軽自動車を避けるために...

40フィートのコンテナがテラヴィの運転台を襲った...

龍一郎はめちゃめちゃに潰れた運転台に挟まれた...意識が朦朧とし 大量の出血もしている

龍一郎は死を覚悟した...

そこから何があったのだろうか...

龍一郎へ知らない...

気づけば何故か豪華なベットに寝かされていた もう朝になっている

飛び起きると辺りにはあの旧道の風景が見えた

...まさか あの廃墟の洋館の中?...

...でも葬式に行かないと...

...なぜ俺はここにいるんだ?俺のダンプはどこだ?...

龍一郎は疑問で仕方がない

その時

「あらあら...目が覚めたのね あれほどの事故で出来た怪我から回復させたのが私よ...」

それは大森が言った通り 紅に染まる髪をもつ女だった...

...レミーナを拘束して連れてきている...

龍一郎は

「葬式に出なきゃ エンジンキーを渡せ!!」

紅の髪をもつ女は

「ああ...あれはちゃんとあるわよ...動かしてないわ...それより やっぱり 消されかけたのね...この堕天使めに!!」

「違う!! レミーナは何もしちゃいない!! 話は後!! もう出発しなきゃいけないのだ!!」

「ま...待ってよ!!」

「うるせぇ なんなら載ってけ!! レミーナも連れてな!!」

「わ...分かったよ...全く助けてあげたのに...」

紅に染まる髪をもつ女は仕方無さそうに言った

龍一郎はエンジンキーを回しギアを入れた

V8エンジンが気持ちよく吹け上がる

「行くぜ!!」

ダンプは凄まじい勢いで発進し会場へと爆走した...


続く

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