命の対価
「……カネ、だと? なにを、いっている、こんなときに⁉︎」
「こんなとき
「どうぐ? なんだ、それは」
「いいから出してくださいよ。少しはお付きのサーバントにも給料払ってもらわないと、ね?」
「ね? って……」
なんだかんだといいつつ懐から財布らしき革袋を出し、丸ごと差し出してくる姫。中身を見れば金貨銀貨が合わせて十五枚ほど。逃走資金の全財産なんじゃないかと思うが、出し惜しみしている状況ではないと思ったのか。むしろ、状況が混乱しすぎて思考放棄したように見えなくもない。まあ、いい。
「……貴様、本当に、生まれ変わったのだな」
「だから、そういってるでしょうが。はい、どうも」
ぼくはマークスの記憶と意識が
「“
目の前に半透明の発光パネルが現れ、そこに
「“武器庫”って名前のわりに、しっかり有料なのね。しかも、
並んだ武器兵器弾薬はドル、ユーロ、ポンドなどと並んで、金貨銀貨で換算されたものが横に表示されている。違和感はともかく、値段がシャレにならないくらい高額だった。落ち着いて
焦って最安値のところまで一気にスクロールする。そこに並んだ商品はどれも極端に安いけれども、“状態難あり”が多い。しかも、ラインナップがヤバい。
M16にM60、M79の難ありセットが大量にあるって……どっから持ってきたか何となくわかっちゃうし。その下にはガーランドとグリースガンのセットとか、M1カービンとBARのセットとか。これ抱き合わせで買わせてどうすんだろう。米軍ばっかりかと思えば、そうでもない。欧州装備も東側装備も、あんまり見覚えないアジア圏の装備もある。単に供給が多いというだけなのだろう。いろんな状態と価格で並んでいるため、米軍装備が最も選択肢として多い。
いったい何が良いやら、兵器マニアというほどでもない知識では悩む。
「あ、これ。なんとなく、魔女に効きそう!」
「マークス、どうした」
「ああ、失礼。すぐ済みますから」
ぼくは姫から預かった手持ちの金貨を革袋ごとパネルに触れさせる。それが小さく光って消えたのと同時に、パネルの
お値段はそこそこ。予算の八割くらいか。
「さあ、迎えの用意は出来ました。始めましょうか、殿下」
「始める? 何をだ」
「いやだなあ、決まってるじゃないですか」
肩に担いでいた長大な武器を、ぼくは笑いながら魔女へ向けて構える。
トウの立った顔に嘲笑を浮かべて仁王立ちしていた杖持ちの中年女は、こちらを見てちょっとだけ怪訝そうな表情になる。杖を掲げて魔法攻撃を加えようとする。いつまでも、やられっ放しになってると思うな、ババア。
「
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