第179話 外交

広間に国の主だった者が集まるとエターナリアは部屋の中で見物する事にする

「お初にお目にかかります、クオンドセメルト王国よりの使者で参りました、ギゼルドナと申します。」

熊耳族の老齢な男が頭を下げながら言う

「リューセルド地方国王代理アジェリナです、どの様なご用件でしょうか?」

「クレセント陛下にお目通りと、友好の交渉に参りました」

ギゼルドナは明らかに残念そうに言う

「クレセント陛下は忙しい身中々会えないと思われますが、険しい道のりわざわざ来たのは、我らの様子見ですか?」

アジェリナが真剣に言う

「険しい道とは言え、もし黒龍連合国が隣国として有る以上、友好の交渉は必要なものです。」

「本当にそうでしょうか?同じ種族のレベストリアセメルト王国と戦争の最中、友好よりも援軍の工面では無いですか?」

アジェリナが真剣に言う

「それは・・・まさか・・・レベストリアセメルト王国から既に使者が!」

ギゼルドナが青ざめる

「両国の戦争に興味有りませんが、喧嘩売るなら覚悟してください、クレセント陛下は怒らせたら終わりです。」

アジェリナが微笑みながら言う

「畏まりました・・・」

ギゼルドナは青ざめながら言う

「交易交渉ならクレセント陛下に伝え相談しますが、どうなさいますか?」

アジェリナが微笑みながら言う

「え!・・・畏まりました、出来れば交易路を開いて頂けたら我が国としては大変な利益になります。」

ギゼルドナが真剣に言う

「クレセント陛下に伝えますが、恐らく決まった場所で商館を開きそこで交渉になると思われますがよろしいですか?」

アジェリナが微笑みながら言う

「畏まりました、帰国次第、陛下に伝えます。」

ギゼルドナが苦笑いしながら言うと出ていく


「ヘラにつけて情報を収集するように伝えて」

エターナリアがレインに言う

「解りました、すぐに行ってきます」

ヘラが後で微笑みながら言うと出ていく

「ヘラが後にいましたね」

レインが微笑んでいる

「気配が感じられなくなったな・・・」

エターナリアが苦笑いしている

「私達も見失う時が有ります。」

ケシルとミシルが微笑んでいる

「ヘラだけでなく、狐耳族、狼耳族の元兵士が情報収集に動き回っていますので、異変は見逃さないですね、御主人様が鍛えすぎですね」

レインが笑い始める

「それだから安心も出来るけどね」

エターナリアが微笑みながら言うとケシルとミシルが微笑んでいる

「クレセント陛下これで良かったですか?」

アジェリナが真剣に言う

「相手の内情を先に言ったから相手は探りを入れられず帰るしかないからな、ついでに交易交渉をしたのは良いことだ!手土産有れば帰り易い」

エターナリアが笑顔で言うとアジェリナが嬉しそうに微笑む


「御主人様ギゼルドナはすぐに帰り支度をして今朝立ちました、人には会っていませんでした。」

ヘラが笑顔で報告をする

「御主人様、恐らく援軍が欲しかったと思われますが、動かないと見てすぐに帰ったと思われますが気を付けた方が良いです」

レインが真剣に言う

「帰ろうとしたら、又喧嘩売られても嫌だからね」

エターナリアが笑顔で言う

「エターナリアは喧嘩売られやすいので気をつけてください!お願いします。」

レインが微笑みながら言う

「え?エターナリア?」

ヘラが微笑みながら言う

「え!あーー!聞かなかったことにしてください!ヘラ!」

レインが慌て出す

「ヘラ頼んだよ」

「はい!御主人様!レイン様が口を滑らすなんて珍しすぎます」

ヘラが笑顔で言うとレインが赤くなっている

「ヘラに心を許しているのと気配が無いから、普段のレインが出ただけだからね」

エターナリアが微笑みながら言うとヘラがレインを微笑みながら見ている

「ヘラ!絶対よ!」

レインが睨みながら言うとヘラが出ていく

「ごめんなさい・・・御主人様・・・つい失言してしまいました」

レインがしょんぼりして言う


翌日南の山脈に住むドワーフが謁見を求めてくる

「御主人様、もしかして旅立つ準備をしようとしましたか?」

レインが真剣に言うとみんな笑い出す

「え!何で解るの?」

エターナリアが苦笑いする

「だから立て続けて来訪が有るのです!!御主人様」

レインが言う

「エター!本当に喧嘩売られ易いだから気を付けてよ!帰れなくなるでしょ!」

エニスが笑いながら言うとみんな笑い始める

「取り敢えずドワーフだからクーラ一緒に聞いてね」

エターナリアが苦笑いして言うとみんなで広間に行く

「山間のドワーフ族の代表として参りました、ドランゴクタと申します。本日はお会いして頂きありがとうございます」

見事な髭のドワーフの男が笑顔で言う

「リューセルド地方国王代理アジェリナです。遠方はるばる来て頂きありがとうございます。」

アジェリナが微笑みながら言う

「知っているとは思いますが、我々は100人程の小さい村ですが、リューセルド王国からの物流が止まり非常に憂慮しており、又、どの様な関係をさせて頂けるか交渉に参りました。」

ドランゴクタが真剣に言う

「リューセルド時代確かに商会が取引をしていたと記憶に有りますが、今現在黒龍連合国となっている為、クレセント陛下に相談をする必要が有りますが、リューセルド地方に編入も難しい状況と思ってください」

アジェリナが考えながら言う

「クレセント陛下・・・黒龍王を従える英雄か、会って見たいが謁見は出来ないでしょうか?」

「非常に難しいと思いますが伝えておきます。」

アジェリナが苦笑いして言う

「出来れば交易・・・いや!武器や防具と食料の交換でも良いので出来ませんか?」

ドランゴクタが真剣に言う

「やはり、困っていますか?」

「その通り・・・実際鍛冶は好きだが、農業や狩猟は苦手ですから」

ドランゴクタが苦笑いしている

「取り敢えずは、支援を致しますが、クレセント陛下に伺いを立てないと交易に関して、交渉出来ません、国ではないので、どの様にするかだけは決めないといけません」

アジェリナが苦笑いしながら言う

「そうですか・・・我らは編入で構いませんが、どうにかなりませんか?」

ドランゴクタが真剣に言う

「それは・・・」

アジェリナが言おうとする

「ドランゴクタだったな、1つ問う、鍛冶師なら言葉より腕で示せ」

エターナリアが大声で言う

「腕で?」

ドランゴクタが苦笑いする

「お前が作った物を見せてみろ」

エターナリアが笑顔で言う

「これならどうだ!」

ドランゴクタが持っている短剣を見せるとエターナリアがじっくり鑑定する

「金貨5枚かな」

エターナリアが呟く

「なるほど、価値は解るのか!まだ宿屋にある程度持ってきているが見るか?」

ドランゴクタが笑顔で言う

「どうせ謁見するなら、手土産で持ってくれば良かった物を」

エターナリアが微笑みながら言う

「武器を持ってきたら襲いに来たと思われないか?」

「そうだな!所で編入でも構わないと言う事はリューセルド地方に入りたいと言うことか?」

「その通りだ!面倒だからな!どうせ交易が出来なければ、飢え死にだ!」

ドランゴクタが笑いながら言う

「黒龍連合国として、正式に降伏勧告をする!条件はリューセルド地方の傘下に入る事とお前達が作る武器と防具や生活用品をリューセルド地方の商会に扱わせる事と年に1回武器・防具を献上する事と税を払うことだ!どうだ?悪い条件じゃ無いだろ?」

エターナリアが笑顔で言う

「それは構わんが税はどのぐらいだ?献上は構わん!」

「アジェリナどうする?決められるか?」

「え!・・・決められません!農業がされてないので決めにくいです」

アジェリナが苦笑いする

「じゃあ、村で得られた交易の利益の2割だ!」

エターナリアが笑顔で言う

「ん?利益と言うと売った分から買った分を引いた金額か?そんなに利益は出ないぞ!」

「そうだ!飢え死にしなくて良いだろう!」

エターナリアが笑いながら言う

「わかった!降伏するぞ!ん?何で簡単に決定しているんだ!!」

ドランゴクタが苦笑いしてアジェリナを見る

「その方がクレセント陛下です。」

アジェリナが苦笑いして言う

「え!!はぁーーーーーーー!」

ドランゴクタが口を開けたままエターナリアを見ると慌てて平伏する

「今の事について反対意見は有るか?」

エターナリアが笑顔で全員に向けて言う

「御主人様!1つだけ有ります。正確に収支を見る為に商会を立てさせて全てドワーフの商会を通して交渉する事を進めます。又、リューセルド地方ではなく、黒龍連合国の主要国の下に諸部族として加盟をさせては如何ですか?今後の為にその様にしておけば、別の諸部族も支配下に入りやすくなります。」

レインが微笑みながら言う

「他に意見は無いか?」

「クレセント陛下私もレイン様の言われる通り、リューセルド地方より良いと思います。」

アジェリナが微笑みながら言うと全員考えながら話し合う

「レイン、任せた!」

エターナリアが笑顔で言うとみんな微笑んでいる

「どう言うことだ?」

ドランゴクタが苦笑いしているとレインが説明を始める

「わかった!何だか解らんが、全く悪い話では無い!商会を作り、税と献上品を黒龍連合に差し出すだけなら構わん!」

ドランゴクタが笑顔で言う

「そう言う事だ!黒龍連合国の連合会議で話し合いになるが不利な事が無いから可決されるだろう!」

エターナリアが笑顔で言うとアジェリナが頷いている

「クレセント陛下ありがとうございます。」

アジェリナが笑顔で言う

「すまなかったな!口出ししてしまって」

エターナリアが笑顔で言う

「クレセント陛下ドワーフの困窮は事実ですので、即断即決が必要になりますので、ありがとうございました。」

アジェリナが笑顔で言う

「安心して帰れるが会議には必ず参加するぞ」

ドランゴクタが笑顔で言うと帰っていく

「御主人様は解っていたのですよね、最初から黒龍連合に加盟させる為に準備もしていたのにわざと反対意見を出させて、クレセント陛下は1人で独裁で無いと見せる為ですか?」

レインが微笑みながら言う

「レインがいるからね」

エターナリアが微笑みながら言う

「え!・・・解らなかった・・・まだまだ勉強が足りないですね」

アジェリナが苦笑いしている

「外交は騙し合いも有るから、必ず情報は集めておく事だ」

エターナリアが微笑みながら言うとアジェリナが真剣に頷いている

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