第149話 兎耳族の国王

「御主人様やはり監視されています」

セレストリアが周りを見ながら言う

「踏み込んでは来ないだろうけど、しばらくは我慢するしかないね、馬車の方はカシム達が見ているから全員5人以上で行動するようにしてね」

エターナリアが微笑みながら言う

「御主人様それしか無いですね、来たことの無い国だけに何を仕掛けられるかわかりません」

レインが真剣に言う

「クーラはキャスカ達と一緒にいて欲しいけど良いかな?」

「はい!御主人様、キャスカとリリスは私が責任を持って守ります」

「アニタはエニスを守って欲しい」

「はい!御主人様!」

アニタが笑顔で言うとエニスの横に座る


翌日大臣の使いがくるとエターナリアとレインとクリスとケシルとミシルは大臣の元に向かう

「国王陛下に使いは出していたが、返事がくるまでに後4日はかかる」

「そうですか・・・町中の商店等見ることは出来ないでしょうか?出来ればこちらの商人と話をしたいのですが・・・」

エターナリアが申し訳なさそうに言う

「それは構わないが・・・」

「見知らぬ国の為出来れば護衛兼案内役を貸して頂ければ有り難いのですがダメでしょうか?」

「確かにトラブルになるとこちらとしても大変だからよいぞ!!」

大臣が笑顔で言う

「ありがとうございます、珍しい物があれば後でご相談致します」

エターナリアが笑顔で言うと大臣はニッコリする


エターナリア達は案内役に案内して貰いながら町中を馬車に乗りながら見て回る

「やっぱりパンの値段が割高だね」

エターナリアが呟く

「そうですが、市場に活気が有りません」

クリスが心配そうに言うと一軒の店に止まる

「ここがこの町でも貴国と取引をしていた店になります」

案内役が言うと中に入る

「もしかして隣国からの来た商人ですか?」

「そうですが、取り扱っている商品についてお聞きしたいのですが、よろしいですか?」

エターナリアが微笑みながら言う

「はい!勿論ですが、もしかして大臣様と一緒に来られたのですか?」

「はい!その通りです、こちらの状況と交易相手の確認ですね」

エターナリアが微笑みながら言う

「そうですか・・・」

商人は案内役を見ている

「どの様な特産品が有るのか教えて貰えますか?」

エターナリアが言うと商人と話し合いをしながら色々教えて貰う

「最後に食料がやはり足りてないのですか?」

「はい、その通りです・・・やはり交易も止まっていますので仕方無いですね」

「ありがとうございます」

エターナリアが微笑みながら言うと帰ることにする

「エターナリア殿、如何でしたか?」

「交易するにはちょっと難しいですね、欲しい交易品が有りませんでした、非常に残念です」

エターナリアが残念そうにしている

「そうですか・・・どの様な商品がよいのでしょうか?」

「そうですね・・・珍しい物ですね、後は相場より安いもの等ですね」

エターナリアが言うと案内役は苦笑いしている


「エターどうだった?」

「相当疲弊しているね、ここまで商品が無いと商人が隠している交易品ぐらいしか無いね」

「そうなんだね」

「更に人の数が異様に少ないね特に若い人がいないね」

「え!何で?どうして?」

「恐らく兵士に連れていかれたのかな?」

エターナリアが言う

「御主人様、このままだとこの国危ないですか?」

「農村を見てみないと解らないけど、人が少なかったら、飢え死にする人が出てくるね、交易品がなければ食料も手に入らないから大変な事になるね」

エターナリアが言うと外の兵士が聞き耳を立てている

「やはり食料が交易で欲しかったと言うことですね」

レインが笑顔で言う

「折角遠くまで来たのに美味しい食べ物が無いのか!!残念だよ!!エター!!」

エニスが大声で言うとみんな苦笑いしている


3日後の夜大臣の使いが来ると翌朝出発すると伝えて帰っていくと翌朝王都へ向かって出発する

「畑が荒れていますね」

レインが呟くとみんな見ている

「この分だとかなりの食料不足になっているね」

「エター!どうしてかな?」

「内戦で村人が徴兵されたんだね多分」

エターナリアが言うとエニスは周囲を見渡しているねとレインは悲しそうな目付きになっている


数日後王都に到着すると与えられた宿屋に入ると周囲を兵士が見張り始める

「ここまで警戒されると怖いね」

エターナリアが窓から外を見て言う

「御主人様、兵士はどっちを監視しているのですか?」

レインが聞く

「多分両方だね、警戒する相手がいるから、人と会わせたく無いだろうね」

「そうですよね・・・不安しか有りません」

レインが言うと紙に文字を書いて全員に見せて歩いている

「ん?使いかな?」

エターナリアが呟くとヘラが呼びに来る

「御主人様国王陛下が会いたいそうです」

ヘラが苦笑いして言う

「わかった・・・どんな人か見極めるしかないね」

エターナリアが言うとレイン達が付いてくる

「エターナリア殿1人で来られよ」

兵士が睨みながら言う

「何故ですか?」

「そう言う命令だ!!」

兵士が睨みながら怒鳴る

「・・・そのような事ならこのまま帰るとお伝えください」

エターナリアが言うと兵士が剣を抜く

「嫌ならここで斬る!!」

「そんな事をして良いのですか?こちらは隣国からワザワザ来た客に対して剣を向けると言う事は交易等不可能になりますよ、責任は全部あなたが取れるのですか?」

「は!ふざけるなよ!!言う通り1人でこい!!」

兵士が剣を向けながら言う

「仕方無いね、レイン何が有るか解らないけど、もしもの時は頼むよ」

エターナリアが微笑みながら言う

「わかりました、明日の朝までに帰って来られなければ、お迎えに参ります」

レインが微笑みながら言う

「じゃあ行ってくるね」

エターナリアが微笑みながら言うと王城に向かう


エターナリアが謁見の間に入ると国王と挨拶後

「何故あの材料は安くなるのだ!!」

「もう必要性が無くなったからです」

「必要が無くなったらあんなに安くなるのか?」

国王が怒り気味に言う

「必要な人がいなければ売れませんので価値はありません、多分今後もっと安くなりますね」

エターナリアが微笑みながら言う

「・・・・・」

国王は睨み付けている

「国王陛下交易について素人なので全く知りませんでした」

大臣が苦笑いしながら言う

「そうか・・・どうにかならないのか?」

「どうにかと言われますと?」

「ここまで来るまでに気が付いているだろう、食料が足らない!交易で手に入れられないかと言うことだ!!」

「今すぐは答えようが有りません、それぞれ専門の者に任せていますが、一緒に連れて来るのを兵士に拒否されましたので情報が足りません」

エターナリアが苦笑いしながら言う

「ん?そう言えばいつも横にいる女性がいないな」

大臣が気が付き言う

「どうして連れてこない?何回も会っている時間など無い」

国王が睨みながら言う

「知りませんね、兵士が1人で来ないなら刺し殺すと言われて脅されながら来たのでどうにもなりませんでした、客人でも無いようですからね」

エターナリアが微笑みながら言う

「何だと!!!剣を向けられたのか!!わざわざ遠くから連れて来た客人に剣を向けるなど有ってはならない!!」

大臣が大声をあげる

「誰か連れてきた兵士を呼べ!!」

国王が言うと兵士が呼ばれてくる

「この者の供は何処にいる?」

「何時でも抹殺出来るように監視下で包囲してあります、この者も何時でも処刑出来るように準備も出来ています」

兵士が笑顔で言う

「愚か者!!貴様は国王たる私の客人を殺そうとしていたのか!!!牢屋にぶちこんでおけ!!」

国王が激怒して言うと兵士達は驚きながら兵士を連行していくとエターナリアは見つめている

「ここまで連れてきて・・・こんな非礼許して欲しい」

大臣が頭を下げる

「やはり人族が嫌いなのですね」

エターナリアが呟く

「その通りだ!弱い癖に上から目線で大嫌いだ」

国王が言う

「仕方無いですね」

エターナリアが苦笑いして言う

「結構物分りが良いな・・・交易で食料を得る為に1番早い手はやはり金貨が良いのか?」

「そうですね、しかし町中を見た感じ、余裕は有りませんよね」

「その通りだ!何か他に手が無いか?」

「全てを見た訳では無いので判断は出来ませんが、逆に出せる物は何か有りますか?」

エターナリアが微笑みながら言う

「無いな!仕方ない後は侵攻して奪うしか無いか?」

国王は笑いながら言う

「侵攻して食料を奪うと・・・本末転倒ですね、食料無くして戦争は出来ませんが?」

「町に行けば多少は食料が有るだろう!そこまで攻めてしまえば、食料も手に入る!」

「そう言うことですか・・・」

エターナリアが苦笑いすると兵士が取り囲む

「ちょっと待て!!私がここまでお願いして連れてきた客人だ!!お止めください!!」

大臣が叫ぶ

「構わない!!こいつも牢屋にぶちこんでおけ!!」

国王が言うと牢屋に連行されていく

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