第111話 支部引継ぎと孫娘

数日後クエレスト・ハンストの町が見えてくる「どこから来た」

「クエールバスコが来ました」

「疫病にかかっている者はいないか?」

「体調の悪いのはいるか?」

エターナリアがみんなに聞いていくと門番も一緒に見ていく

「大丈夫です」

「問題を起こさないように気を付けるように」

門番がそう言って通してくれる


「宿屋を確保したら明日は支部に引き継ぎをするよ」

「はい、御主人様」

レインはそう言うとクリスと宿屋に交渉にいくと戻ってくる

「御主人様、宿屋に他の客がいませんでしたので、貸切りにしてもらいました」

レインが微笑みながら言うとそれぞれ部屋と警備を決めて、休憩をとる事にする


翌朝支部に向かい

「誰かいますか?」

「どちら様ですか?」

男が出てきて驚きながら言うと

「クエールバスコのアーガナルド商会ですが、引継の確認作業で来ました」

レインが微笑みながら言うと

「はっはい!こちらへどうぞ」

応接室で待っていると

「お待ちしていました、これが引継ぎ書類です、確認をお願いします」

入ってきた商業ギルドの職員が書類を積み上げるとクリスとセリカが確認を始める

「奴隷夫婦と息子が商会を切り盛りしていましたが契約変更しますか?」

「見てから決めます」

エターナリアが言うと夫婦と息子を連れてくる

「お前達は俺の元で仕事をしたいか?」

「え?私達に選択出来ませんが・・・出来れば息子だけは自由にさせてもらえれば嬉しいです」

「あなた!それを言ったら不味いよ・・・」

婦人が言うと

「お前は何かしたい事があるのか?」

「え?無いです」

「何歳だ?」

「13歳です」

「成人したらここを出ていくか商会の奴隷として一生過ごすか選択権を与える」

エターナリアが言うとレインを見るとレインが微笑みながら頷く

「本当によろしいのですか?息子に選択権を与えてくださって・・・・ありがとうございます」

夫婦は涙を流しながら頭を下げる


「御主人様、確認しましたが状況は余り良くありません、この町自体特産もなく商売に向いてません」

クリスが言うと

「気になる事が有ります、金貸しをしているみたいなのですが、領主様まで貸しています」

セリカが苦笑いしている

「これは事実か?」

エターナリアが夫婦に聞くと

「はい、この町ではそのぐらいしか利益が出ませんでしたので・・・」

「ベルトセル商会のやり口ですね」

レインが言うとみんな頷いている

「この町に商業ギルドは?」

「10年前に解散しました、商会も3件しか有りません」

「レインすぐに町の状況を調べて欲しい」

「はい御主人様」

レインが微笑むと護衛数人に町中を見て回るように命ずると夫婦から状況を詳しく聞き取る


「領主様と面談する必要が有ります、恐らく待っています」

「レインそうだね、ベルダート解っていたから仲良くしてくれって言ったな!!」

エターナリアが言うと

「確信犯ですね」

レインが苦笑いすると商業ギルト職員に面会を頼む、そして町中を見てきた者達に詳細を聞く

「やっぱり何も無いか・・・これは返済出来るのかな?」

「かなり無理が有ります」

レインも考えながら言うとクリスとセリカも頷いている、市場を見て回り珍しい食べ物を探してから宿屋に帰ると

「エターナリア様領主様は明日会いたいと言われました」

商業ギルド職員が言うと

「みんないいかな?」

「はい!御主人様」

レインが言うとみんな頷いている


翌日領主の館にエターナリアとレインとエニスとクリスと支部長候補とセレストリアを連れて向かう

「アーガナルド商会のエターナリアですが、領主様はいらっしゃいますか?」

「お待ちしておりました、どうぞこちらへ」

兵士に伝えると侍女が案内をしてくれる部屋に入ると白髪の男が待っている

「エターナリア殿よくぞ来てくれた」

「領主様にお会い出来て嬉しいばかりです」

「エターナリア殿用件は解っているが、もう少し時間を貰えないか?」

領主は挨拶をした後、頭を下げながら言う

「領主様、頭をあげてください、話が出来ません」

領主は孫娘を呼び出して

「約束が有効か解らないが、もうこれしか無いと思っている、孫娘は奴隷として引き渡すが来月孫の結婚が決まっている、そこまで待って欲しい頼む」

領主はそう言って頭を下げると孫娘も頭を下げる

「領主様、御主人様は話をしたいと言われております、御主人様は商会の引継ぎと現在の状況など詳しく話をしたいので来ています」

レインが微笑みながら言うと

「え?最終通告に来たのでは無いのか?」

領主は驚きながら言う

「その件も話しもする必要が有りますが、まずはここにいるのが、支部長として滞在します」

エターナリアが言うと支部長候補は頭を下げる

「こちらこそよろしくお願いします」

領主が言うと

「もしこの者が不正や威圧的な事で不快と思った場合は、クエールバスコの商会本部のエリスナかトリスナに連絡してください、本部で対応します」

「解りました」

「現状についてですが、この町の大きさに対して町中の人の数と特産品の無さが目立ちますが・・・」

「確かにその通りだ・・・鉱山が枯れてどんどん衰退している・・・麦など農作物で何とか領地は維持出来ているが、商人が取引出来る商品が無い」

領主が悔しそうな顔付きになると

「それで借金を?」

「その通りだ、言いたい事は解るが、既に金貨500枚を越えているが返済出来る見込みが無い、ベルトセル商会との約束で孫娘を奴隷として引き渡す変わりに金貨100枚分の返済価格にすると約束している」

「既に金貨513枚ですね、ここ数年返済額が落ちているのは何故でしょうか?」

「それは・・・息子夫婦が亡くなり重臣が離反した混乱で返済が出来ていない」

領主は涙目になると

「解りました、少し領内を見て回ってもよろしいですか?何か特産品になるものが無いか調べてみます」

エターナリアが言うと

「無いとは思うが見られて困る様な物は無い」

「本日はこれで失礼します」

エターナリアが言うと

「すまないが、領内を案内してきなさい、自由がある間に墓参りもついでに済ませて来ると良い」

領主が言うと孫娘は涙目で頷くとエターナリア達は宿屋に帰っていく


「御主人様早速なのですがどこから回りますか?」

「山側かな?何か有るとしたら山側だと思う」

エターナリアがレインに言うと

「セリカに留守番を任せる方針でよろしいですか?」

「セリカ頼んだよ」

エターナリアがセリカに言うと

「はい!御主人様お任せください」

セリカが微笑みながら言うと馬車に乗り出発の準備をすると領主の孫娘がやってくる

「よろしくお願いします」

孫娘は頭を下げると

「案内お願いします、後頭は下げないでください、領民に悪いイメージが出来てしまいます」

エターナリアが微笑みながら言うと

「あ!そうですね・・・」

「侍女は1人で大丈夫ですか?」

「はい、私には彼女しかいませんので護衛の兵士もいません」

「解りました、案内お願いします」

エターナリアが頭を下げて言うと孫娘は慌て出すが馬車に乗り町の門で孫娘に説明をお願いしてから出発する

「エターナリア様不束者ですがよろしくお願いします」

孫娘が言うと

「エターにそれ以上近づかないで!!」

エニスが割り込んでいる

「え?はい」

孫娘が驚いているとエターナリアが説明をすると

「奥様でしたか、申し訳ありません」

孫娘が頭を下げようとする

「あ!頭を下げないで!!私が悪者にしないで!!」

エニスが言うと孫娘は笑う

「レイン様も奴隷なのですか?」

「はい、御主人様の奴隷です」

「生き生きとしていて羨ましいです」

「御主人様と一緒にいられますので幸せです」

レインが微笑みながら言う

「護衛まで女性ばかりなのですね」

「全員御主人様の奴隷です、御主人様は冒険者でも有りますので全員迷宮で鍛えています」

レインが答えると

「凄いのですね、私等夜の世話ぐらいしか出来ないと思いますので羨ましいです」

孫娘が言うと

「ダメーー子供は作らせない!」

エニスが叫ぶと孫娘が驚く

「エニス様大声で言われる事では有りません、御主人様には跡継ぎも必要です」

「レイン!あなたが子供を生んで!今はエターから離れたくないから!!」

「え?よろしいのですか?」

レインが驚きながら言うとエターナリアを見ている

「え?エター言ってなかったの?また自爆?」

エニスがエターナリアを見て言うと

「え?自爆だね」

「うそーー!」

エニスが苦笑いしているとレインと話し合いを始めている

「凄く仲が良いのですね」

孫娘が見ていて微笑みながら言うと

「迷宮内でもみんな一緒にいますから仲は良いですね」

「エターナリア様が優しいからだと思います」

孫娘が言うと少し赤くなっている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る