第76話 領主来訪

翌朝屋敷でフレイが料理をはじめ、ケニーが革細工を並べていく

「ケニー結構増えたね」

「はい!御主人様、時間が有ったので沢山作りました」

ケニーが微笑みながら言うと

「そろそろ本当に販売しないと溜まる一方になるね、だけど出来が良くなっているね」

「作るのが楽しくて試行錯誤しているからですかね?」

「この辺り何てエニスがさっきから気にしているからね」

エターナリアがエニスを見て言うと

「エターばれていたの?」

エニスが苦笑いしている

「どのぐらいで売るのが良いかな?」

「これなら金貨10枚かな?」

「ケニーはどうしたいのかな?」

「え?私ですか?金貨1枚で十分です」

ケニーが苦笑いしながら言う

「ケニー安すぎるよ」

「え?そうですか?革代無いのでどのぐらいか解りません」

「材料代無いからいくらでも良いよね」

エターナリアが言うとみんな笑いはじめる


「御主人様お客様がいらっしゃいました」

「エニス来た様だから出迎えするよ」

エターナリアがそう言ってエニスを連れて部屋を出ると

「来たのは執事だけでなく数人で来られました」

「エター予想通りだね」

「レイン達は準備出来ているのかな?」

エターナリアがメイドに言うと

「既にお出迎えしております、御主人様には部屋に来て欲しいと言われていました」

部屋の前まで来るとクーラが気が付いて

「御主人様やはり領主様がお忍びで来られました」

クーラは微笑みながら言うとエターナリアとエニスは部屋に入るとレインが立ち上がり

「御主人様こちらはクエールバスコ領主様と奥方様です」

レインが紹介すると

「エターナリアと申します、よろしくお見知りおきを」

エターナリアが笑顔で言うと

「来訪を読まれていたようですな」

領主が苦笑いしながら言う

「そんな予感はしていました」

「大商会の代表になるだけはあるな」

「エニス、奥様を別室の革細工を案内してくれるかな?」

「あ!こちらへどうぞ」

エニスが案内に行くと

「本日の本当の御用件をお伺いします」

エターナリアが言うと

「話が早くて良いが・・・その為に別室に革細工を用意しているとは・・・」

領主は驚きながら

「ベトルセル商会の件だが買収を取り止めには出来ないか?」

「残念ながらそれは無理です」

「領主の顔をたてると思って・・・」

「領主様は誰に頼まれたか解りませんが、レインが断ったハズです、頼まれた相手は恐らく重臣か領主様の息子もしくは娘でしょうか?」

「え?何故それが・・・息子と娘から頼まれた事を!」

領主は驚き

「息子と娘はベトルセル商会にかなりの借金が有ると判明しています、更にエレストニ・バスコの領主とお付き合いは有りますよね」

「はぁ!何故エレストニ・バスコまで出てくる・・・まさかベトルセル商会が関係しているのか?」

領主は青ざめる

「ベトルセル商会を切ってエレストニ・バスコの領主と関係を一度辞めるべきです、どの様な関係かは解りませんが」

「息子がエレストニ家から嫁を貰うことになっている・・・娘はベトルセル商会の親族の貴族と婚約を・・・もしかして乗り気なのは借金の為か?」

「そうですね、暗殺に借金で人を操っていたようですから、手遅れの一歩手前の様ですね、もし結婚した後領主様を暗殺してしまえば、クエールバスコも乗っ取り完了ですからね」

エターナリアが言うとレインが微笑みながら頷く

「なんだと!そんな事が出来るハズは無い!いくらなんでも!」

「商業ギルドの調べではエレストニ・バスコ領主の借金が金貨3000枚を越えていてもですか?既に返済不可能です、この借金をクエールバスコで肩代わり出来ますか?」

「不可能だ・・・まさか本当なのか?」

「更に重臣の中にも借金漬けの者がいてその者がベトルセル商会の手先になっていればどうなりますか?」

「心当たりは有るが・・・」

領主が青ざめはじめる

「御主人様が貴族になる気が有りませんので、ベトルセル商会を吸収しても領主様に不利益になりません、又名誉も栄誉も名声も求めていませんので称える必要も有りませんので、口止め代わりにベトルセル商会を吸収する手助けをした方が得になると思います、借金漬けの貴族とどっちがこの先利益が有るか考えれば解るはずです」

レインが言うと

「その通りだが・・・レインは何者だ?判断力に考え方に知識・・素晴らしい過ぎる」

「レインは元は没落貴族の娘ですが、父親に奴隷として売り飛ばされたので、貴族の考え方や礼儀作法が有りますので、私の代理を全てこなせます」

エターナリアが微笑みながら言うと

「納得しました、レイン殿を奴隷として扱う事しなくて良かったです・・・姫様を看破してしまう程の実力も納得出来ました」

領主は苦笑いしながら言う

「これからも何かとレインが面会を要望する時は私の代理だと思ってください」

「わかった、しかし帰ったら息子と娘に借金の事を問い詰めて事実を確認する必要がある・・・問題が山積してくるな・・・」

領主は溜め息混じりに言う

「他に用件は有りますか?」

「疫病の薬の件だが実際どんな状況だ?」

「クレイト・ハレストの町に腕の良い薬師に材料を送り込み作らせ始めます、又別にクエールバスコで作った薬を3万包み送りました、又中継のこの町にも材料を送り込みました、この町は疫病に対して素早く対応をしてくれた薬師を頼るつもりです、追加の薬を作成していますが、材料が足りなくなると薬を送り込めなくなります」

エターナリアが説明すると

「どうしてこの町で薬を全部作らない?」

「もし、この町で薬を全部作るなら疫病が発生している地域の人が殺到して、この町に疫病が来ます、そうしたら対策は出来ますか?」

「え?何故・・・対策など不可能だ!」

「クレイト・ハレストは発生源ではなく、その先の西の町が発生源です、だからそこから行商人が来てクレイト・ハレストの西側の村で伝染して疫病が広がったと思われます西から行商人や避難民が来ないように2つの町に頑張って貰います」

「なるほど・・・こうなると何としても防ぎたい所だな・・・」

「出来ればこの町で疫病薬を行商人に販売しないと宣言して隣接する村に西から行商人や商隊が入らない様にするのが1番ですね」

「え?何故行商人や商隊を・・・あ!疫病が入らない様にか・・・わかった兵士を出して検閲をする様にしよう」

「後はどのぐらいの薬が必要か確認をとれれば、足りるか解りますが」

「無理だな・・・全くどのぐらい必要か試算出来ない、他の領主から情報が入ってこないからな・・・・」

領主は苦笑いしている

「今回ベトルセル商会が溜めていた薬はもしもの時の為に使わないでとっておいた方が良いと思います、もし薬が足りなくてこの町で使用しないといけない場合対策が取れませんので・・・」

「そうした方が安全だな、しかしどうしてベトルセル商会は溜めていたのだ?」

「商会代表がその薬の利益を出せなくなったのを逆恨みして襲って来ました、又半年前から知っていたと言っていました」

「は?なんだと!じゃあ薬の価格が上がるのを待っていたと言う訳か!何て事だ!」

領主は怒りはじめ言う

「だから許す気は全く有りません」

エターナリアが微笑みながら言うと

「許さなくてよい!」

「そろそろ奥様の方に行きますか?」

エターナリアが微笑みながら言うと領主は別室に向かうと奥様が気が付きどれにするか相談を始めるとフレイが軽食を持ってくると食べながら相談をしている

「これはいくらですか?」

領主の奥様が微笑みながら言うと

「ブラックリザードの革の鞄ですね、御主人様宜しいですか?」

レインが微笑みながら言う

「勿論今後の投資だからね」

エターナリアが微笑みながら言うとレインは頷き

「今回はその鞄は無償でお渡しします、出来れば王都や貴族の人の前で見せて自慢をお願いします、後こちらの赤大蛇のベルトもお持ち帰りください」

レインが微笑みながら言うと

「良いのですか?高価な物を」

奥様は驚きながら言うと領主も驚く

「欲しい人が増えれば、利益が大きくなりますから今回は将来への投資です、それに売り出して領主の奥様が持ってなければ恥をかかせてしまいますのでお持ち帰りください、後こちらのバックとベルトは姫様に奥様から渡してください、姫様なら何も言わなくても理解出来ると思いますのでよろしくお願いします」

レインが微笑みながら言うと

「遠慮無く貰っておくが王都に行ったら自慢も忘れずにする事も約束しよう」

領主は笑いながら言うと奥様は嬉しそうに持って帰る事にする

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