第58話 支部と薬師

翌朝になり町中は騒がしくなっている

「領主が領軍で倒したと発表を、したみたいだね」

「はい、そうですね」

「これで動きやすいね」

「何から始めますか?」

「まずは商会の状況の把握と本屋の本を漁ろうかな?」

「私は商会の会計を確認します」

フレナークが言うと

「フレナーク頼んだね、あとミリシアも手伝ってあげてね」

「はい!!!」

「リリス本屋で魔法書無いか探そうね」

「あ!はい!」

出掛けようとするとギルド職員がやってくる

「エターナリア殿ギルドで話をしたいと支部長が言っています」

「解りました」

エターナリア達はギルドに向かい

「お待ちしておりました」

支部長が出迎えてくれて奥の部屋に通してくれる

「領主様は取り敢えず、エターナリア殿を英雄として称える事は諦めました」

「解りました」

「しかし領主様は復興したら英雄として称えたいと言っていました」

「それも遠慮します面倒になるので」

「やはりそうですか・・・本当に何もいらないのですね」

「面倒ですからいらない」

エターナリアが笑顔で言う

「解りました、今回の件はケーレストに手紙で伝えておきます」

「じゃあ帰るね」

エターナリア達はギルドを出て商会に向かう

「あ!奥にどうぞ」

フレナークは奥に通されて自分達は待たされる

「え?どうして私だけを通したのですか?」

「本店の担当者だからですが、どうかしましたか?」

「あなたは御主人様を解らないのですか?」

「え?どう言うことですか?」

フレナークは部屋を出てエターナリアの所に戻り

「御主人様申し訳ありません、どうやらまだ挨拶をしていなかったようで・・・」

「こちらの方々は?」

商会職員が言うと

「エターナリア様がアーガナルド商会代表です、エニス様は奥様です、レイン様や皆様は私より上の奴隷の皆様です」

フレナークが紹介をすると商会職員は青ざめ震えだす

「たた大変申し訳ありません」

「今回は初めてですので気にはしていないです」

「それよりも資料と店舗の確認を先にしちゃいましょう」

エターナリアとエニスが言うとみんなで中を見て回り

「汚いとは言えないですね」

「良い方だよね」

「商品が無いね」

「申し訳ありません、今は商品の仕入れがしにくかったので商品が有りません」

「いつもはどの様な商品を扱っているの?」

「行商人と交渉してよい商品を仕入れられたら店舗に置いています」

「こんな商品をとか決めていないのですか?」

「はい!売買出来るものなら何でも扱います」

職員が言うと

「利益が出れば良いと思っているのですね」

「はい!そうです」

「職人や他の商会との付き合いは有りますか?」

「あまり有りません」

「解りましたありがとう」

エターナリアはそう言って考え始める、商業ギルドの職員がやってくる

「エターナリア様どうでしたか?」

「考える必要があります」

「やはりそうですか・・・」

「因みにこの町の商業ギルドはどうなっていますか?」

「維持されていますが、あまり良いとは思えません」

「やはりそうですか・・・」

「私共はこちらの商業ギルドと付き合いをした方が良いですか?」

「無理ですね」

「え?何故ですか?」

「この町の商業ギルドは閉鎖的です、余所者を排除したい様です」

「なるほど、他に商業ギルドに入っていない商会は有りますか?」

「え?入っていない商会ですか?」

「そうです、閉鎖的なら有りそうですが」

「有るとは思いますが調べてみないと解りません」

「エターが悪巧みし始めるかな?」

「しないよ!色々聞くならこの町の商人に聞いた方が早いからね」

フレナークの所に戻ると

「御主人様、この資料素晴らしいです、行商人と買った物とどの町や村で仕入れたか解ります」

「季節も解るかな?」

「え?季節ですか?」

「季節で特産品見つけられるかも」

「あ!やってみます」

「収支もきっちりしていますが実際の状況把握する必要もありますね」

ミリシアが言うと職員は驚く

「全員集めて貰えますか?」

「あ!はい!解りました」

職員6人が集まる

「これまで良くやってくれているのは解りました、この町の状況や他の情報を集めながらこれまで以上の働きを期待します」

エターナリアが言うと

「私達はまだ働かせて貰えるのですか?」

「勿論です奴隷身分の2人は奴隷として自分の奴隷になりたいですか?」

「え?選べるのですか?」

「今は選ぶ権利を与えます」

2人は考えてから

「エターナリア様の奴隷にしてください」

「宜しいのですか?」

「はい!」

「では後程奴隷商人を呼んで契約更新しましょう」

エターナリアが微笑みながら言うと2人は頷く

「4人には少しお願いがあります」

「なんでしょうか?」

「商会運営を安定的にするためにこの町の情報を集めて欲しいのですが」

「どの様な情報ですか?」

「単純な事です、どの様な商品を扱う商店がどのぐらい有るかとどこらへんに有るかです」

「それで何が解るのですか?」

「調べて貰えれば解ります」

エターナリアが言うと4人は町に出て調べ始める

「2人には店番をして貰い行商人が来たらいつも通り取引をしてください」

「畏まりました」


「御主人様どうしたのですか?」

「この町の商売は難しい訳じゃ無いけど気を付けた方が良いかもね」

「どうしてですか?」

「商業ギルドと敵対したくないからね」

「あ!確かにそうですね」

「申し訳ありませんが行商人が来ました」

職員が呼びに来る

「フレナーク話を聞いてみて」

「あ!はい!」

フレナークが出ていき行商人と話し出す、そして商品を見てじっくり観察している

「良いものですね」

「勿論です、そうでないと町では売れません」

フレナークは2人を見て

「いつもはどのぐらいで買い取っているのですか?」

「え?私達の基準で良いのですか?」

「はい、今はまだ良いですよ、観察してから改善していきますので」

フレナークが笑顔で言う

「畏まりました」

2人は価格を決めて買い取りをする

「行商人さんは商業ギルドに加入している店には売らないのですか?」

「実は昔は売っていましたが今は売れません」

「え?何故ですか?」

「買い取り金額が安くて更に品質に煩いから売りたくないですね」

「なるほど、もしかして商業ギルドは店自体も貴族向けばかりですか?」

「そうですね、庶民に手が出ない価格になります」

「そうですか、もしかして商業ギルドに加盟している商店にも詳しいのですか?」

「そうでないと行商人は出来ません」

「フレナークこの方はどの場所辺りを回っているか解りますか?」

「えーと、多分西側の六個ぐらいの村だと思います」

フレナークが言うと

「え?何故それを!」

「当たりですか?」

「当たっている」

「ということは、布も作っている当たりですよね」

「その通りだ!」

「布を仕入れは可能でしょうか?」

「勿論やっているが高くなるので高級店にもっていっている」

「やはりそうでしたか」

「驚く事ばかりです、初対面で私の手の内を見透かされたのは」

行商人が言うと

「色々勉強していますので、地域が別ればどんな商品が手に入るか知ることも商会のためですから」

「何か欲しい商品があるのか?」

「布はあれば買い取ります、勿論最高級品は別の商会に売っても良いです、後は今はもう少し必要な商品が解れば依頼もしたいですね」

「わかった!」

「ところで逆に村で欲しい商品があれば教えてくださいね」

「え?わかったがどうしてだ?」

「行商人が回るには相手の欲しい商品を探す必要があります、しかし売ってなかったら探し回るしか有りませんが町の商会なら聞いておいて扱っている行商人や商隊に依頼が出せます」

「なるほど、じゃあ1つ薬が欲しいがこの付近では難しい」

「フレナーク今回の物の中に該当商品があるか確認してあげてください」

「え?有る可能性があるのか?」

「クエールバスコから来ていますのである程度の商品を持ってきています」

「本当か!頼む探してくれ」

フレナークに任せてリストから探し始める


「本当に有るとは思わなかった」

「1つ伺いますが、同じ症状の人が次々と発生していますか?」

「何故そこまで解るんだ!」

「薬師がもし必要で大量なら注意するようにと言われていましたので」

行商人は帰っていくと

「御主人様も飲んでおいてください」

「え?何故?」

「疫病の可能性があります」

「え?疫病!」

「薬師が言っていました、大量に必要なら疫病を疑えともし疫病ならすぐに薬の材料を集める必要が有るとも」

「そう言うことか・・・すぐに詳細を手紙でクエールバスコに送りこの薬を準備するように伝えろ、もし本当なら早い内に準備した方が良い!間違えでも可能性があるならやっておくように」

「え?宜しいのですか?」

「当たり前だ、薬師は過去に経験があるのだろうしね」

「あ!畏まりました」

「全員服用をするようにするよ」

「え?はい」


本を大量に購入してから宿屋に戻り出発の準備をするようにするそして翌日商会に顔を出して4人に調べてもらった内容を確認して

「薬屋が少ないね」

「そうですね」

「ここら辺が商業ギルドに加盟している商会かな?」

「布と服ですか?」

「その通りだね、宿屋も少し足りないね」

「あ!確かにそうですね」

「この2つの薬屋に挨拶をしておこうかな?」

「畏まりました」

2つ目の薬屋を訪れた時

「だから!すぐに来たに行って材料を買いに行かないとダメだって!」

「馬鹿者!素人が薬の材料を買いに行っても死ぬだけだ!」

「このままじゃ危ないから早く手を打たないと!」

「行商人に頼んでいるんだろう!」

「それでも間に合わないから言っているだよ!」

「しかしお前を失いたくない」

「兄さんも姉さんも説得してよ!」

「素人では無理だ辞めておけ、それに資金も無いだろ」

「うっ・・・何とかしないと」

少女は涙目でうつむいている

「あ!すいません、お客様」

女性が気が付き声をかけてくる

「お取り込み中すいません」

「見苦しい所を見せてしまい申し訳ありません」

「事情が有ると見ましたが、差し支えなければ教えてください」

エターナリアが言うと薬屋の主人が考えてから

「材料が足りないので困っている、材料は北の方でないと手に入らないので馬鹿娘が買いに行くと言っている」

「なるほど、そう言うことですね、その病気は薬がないと治らないのですか?」

「かなり難しい」

「薬はこれですか?」

エターナリアが薬を出して渡し、薬屋の主人は驚く

「何故これを!」

「町の薬屋を回りましたが同じ薬を扱っていないか確認していました」

「どうしてだ!」

「疫病の可能性が有るとクエールバスコの薬師のメモのある薬を欲していた行商人がいましたのでもしかしてと」

「そうか・・・西側の村の行商人か?」

「そうです」

「クエールバスコなら北の材料も手に入るか?」

「残念ながら誰かが買いに行った方が早いですね」

「やはりそうか・・・・クエールバスコからと言うと商隊なのか?」

「そうですが次は、ゲルトバナ・エレトに向かいます」

「結構離れているな・・・」

「乗せて貰えますか?」

少女が言うが

「商会メンバーでない人を乗せるわけにいきません」

「商会に入ったら乗せて貰えますか?」

「商会メンバーなら一緒は出来ますが、この町には戻りません」

「それでも乗りたいです」

少女が言うと

「馬鹿者!途中で降りて材料を買いに行くつもりだろうが、資金も帰りの道もわからん娘に行かすわけにいかん!」

「親父!じゃあ見捨てるのか!多くの人が困り死ぬのを!!」

「だから依頼を出しているんだ!馬鹿者が!」

「だけどこのままじゃ!」

「第一他の薬屋が持っていない訳無いだろ!良く考えろ!」

「じゃあ何で売らないだよ!」

「そう言うことですか・・・命がかかれば、借金しても薬を買い求めます、どんなに高くても!」

「そうだ!」

薬屋の主人が言う

「あなた方はそれをしないで先に備蓄を使ってしまったと言うことですね」

「そうだ!」

「と言うことはもうしばらく前から発生していたと言うことですね」

「その通りだ、半年前から始まっているが備蓄を使って押さえていた」

「御主人様!申し訳ありません」

「フレナークどうしたの?」

「今日も噂を聞いて来た行商人がいたのですが、状況が変わりました、西の町とその更に先にまで広がっている可能性があります」

「そこまで広がっている?」

「今日来た行商人は西の町から薬を求めて命懸けで来たそうです」

「その行商人も症状が出ているのか?」

「出ているように見えました」

「何処にいる?」

「西側の宿屋です」

「まずい!すぐに薬を与えて隔離しろ!この町で歩き回られたらこの町まで蔓延するぞ!」

「あ!畏まりました!すぐに手配します」

「え?まさか既に蔓延しているだと・・・・」

薬屋の主人が言うと

「親父!どうすれば・・・」

「申し訳ありませんが昔蔓延した人を見たことがあれば今回の商人を見て貰えますか?」

「あ!わかった!!すぐに見よう!」

エターナリア達は宿屋に向かい行商人会おうとすると

「御主人様は中に入ったらダメです!」

レインが言うとみんなが止める

「ここは俺に任せておけ!」

薬屋の主人が入ってフレナークと商人を見て帰ってくる

「残念だが疫病だ!昔見た症状のままだ!」

「大量の薬が無いと難しいのですね」

「残念だが必要だ!」

「初期症状で薬を服用し続ければ大丈夫ですか?例えばそれで人に移らない様に治すことも可能ですか?」

「その通りだが、このままでは何処まで広がるかわからない」

「レインすぐに出発するよ」

「あ!畏まりました」

「フレナークは商会だけでなく町の情報収集もしておいて!後は任せたから、ただし薬は無いと言うこと」

「畏まりました」

フレナークは商会に戻る

「申し訳ありませんが冒険者ギルドに来てください」

「え?冒険者ギルドに?」

「支部長にあの商人を隔離して貰えるようにお願いをして貰います」

「え?動かせるのか!冒険者ギルドを!」

薬屋の主人は驚くがついてくる、冒険者ギルドに到着すると

「支部長はいるか?」

「あ!奥にどうぞ」

応接室で待っていると支部長と同行した職員が入ってくる

「エターナリア様どうかしましたか?」

「疫病が蔓延し始めている」

「え?疫病ですか?まさか」

「詳細はこの薬屋の主人に聞いてくれ、後西門の行商人も隔離と治療を頼む、他も行商人の検査を徹底した方が良い」

「解りました」

冒険者ギルド支部長は薬屋の主人の話を聞いて青ざめていく

「まさか・・・またあの地獄が・・・」

「やってくれますよね」

「すぐに手配します!領主にも報告する準備と過去の経験がある者を集めて対処始めます」

「よろしく頼む、ケーレストにも緊急で行商人の出入りの強化をして貰えるように頼んで欲しい」

「勿論です、すぐに手配します」

「自分達もすぐに準備して出発するようにしますもう1つの目的地に向かいます」

「解りました、エターナリア殿がいなければもっと対処が遅れていたと思います」

エターナリア達はギルドを出て帰ることにする

「証言ありがとうございました」

「しかし何者なのだ、いきなり支部長を呼び出すとは!」

「知り合いなだけです」

「そう言うことにしておく!」

「おい!出発の準備をしてあるのだろ馬鹿娘!」

「は?してあるけど・・・」

「エターナリア殿この馬鹿娘を頼みます、修業中身だが薬の知識は有るから連れていってくれ頼む」

「え?親父どうして、良いの?」

「疫病ならこの方達は絶対かかって倒れられたらまずいだからお前がちゃんと薬を飲ませて管理しろ良いな!!」

「あ!はい!」

少女は笑顔で言う

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る